特集 2023年4月28日

クマが太鼓をたたくあのやつ、作ってるメーカーに行ったら商品ぜんぶかわいくて泣けてきました

動くおもちゃの昔から今まで聞きました!

子どもが3歳になり、おもちゃ屋に寄る機会が増えた。
トイザらスにもイオンにもどこにでも売られている、かわいい動物の動くおもちゃがある。

このおもちゃを作っているメーカーに取材させてもらえることになった。
軽い気持ちで行ってみたら、今年で創業100周年だという。

ひゃ、ひゃくねん!?

取材に行ったら、いろいろな歴史を知ることが出来ました。

1987年兵庫生まれ。会社員のかたわら、むだなものを作る活動をしています。難しい名字のせいで、家族が偽名で飲食店の予約をするのが悩みです。(動画インタビュー

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> 個人サイト むだな ものを つくる

このおもちゃたち、見たことあるでしょう

我が家にこういうおもちゃがある。

「あかちゃんビーグル」だ。

中にモーターが入っていて、スイッチを入れると歩く。歩くだけでなく、首やしっぽを振ってワンワン鳴くのだ。

これがもう、めっちゃくちゃにかわいいのである。

3歳の娘にあげたら一瞬で気に入って、折り紙のリードをつけて散歩していた。

こういう「動物の動くぬいぐるみ」といったおもちゃが、どのおもちゃ屋やおもちゃコーナーに行っても売られている。
大定番商品と言ってもいいだろう。

あまりに大定番すぎて、当サイトでも様々なおもちゃが改造を施されている。

太鼓を捨て、ねるねるねるねを作るクマのおもちゃ より。「こぐまのトンピー」という太鼓を叩くおもちゃだが、ねるねるねるねを練るように改造された。
人造ネコがキーボードの上に乗ってきて仕事ができない より。先ほどのイヌのあかちゃんのシリーズのおもちゃで、ネコがキーボードの上で寝てしまうようになった。

NHKの「魔改造の夜」でもとんでもない改造をされていて、改造されがちな存在になってきている。
(僕のあかちゃんビーグルも6年ほど前に別媒体の記事で使うために買ったものだった)

これらのおもちゃを作っているのが、「イワヤ株式会社」である。

千葉県の松戸駅からバスで10分ほど行くと到着。ここからあのかわいいおもちゃ達が生まれているのか!
そして玄関に堂々と貼られているのが、100周年の文字だ。

1923年、大正12年の創業なのである。

ちなみに当サイトは20周年だ。デイリーポータルZの歴史を5周もしているのか。

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100年の歴史を見た、聞いた

今回お話を伺ったのは待井さんと開発課課長代理の中野さんだ(以下、敬称略)。対してこちらはそれぞれ子どもがいる編集部石川・橋田、そして爲房の3名。

左から開発課課長代理の中野さん、筆者 爲房、編集部石川

まずは昔のおもちゃからお見せしましょうか、ということで2階の一角へ。

うおお!

すごい!

昔のおもちゃがズラリだ。
おもちゃマニアの人が見たら泣いて喜ぶかもしれない。

爲房:もともと動物のうごくおもちゃを作っていたんですか?

待井:最初はゼンマイで動くセルロイド(という合成樹脂)やブリキのおもちゃを作っていたんですよ。

セルロイド製の赤ちゃんのおもちゃ。
箱には「OCCUPIED JAPAN(占領下の日本)」の記載が。戦後すぐの1947~1952年までこの表記があった。

待井:セルロイドは白木屋さんというデパートで火事になったという事故があって、それで使えなくなってしまったんですね。ブリキよりも軽いセルロイドが出てきたというのでゼンマイのカバーを作っていたのが出来なくなって。
そのうちプラスチックが出てきてたんですが、当時はカバーに使うのが難しいということでプラスチックでカバーを作るのではなく生地をかぶせたんですよ。

動物のおもちゃは窮地から活路を見出すために考えた産物だったのか。
イワヤのサイトでは、創業者の岩谷慶吉によるエピソードが書かれている。

当時セルロイドでできたゼンマイ玩具が大変好評でしたが、セルロイドが原因の火事が国内外で発生し、使えなくなってしまいました。
困り果てた慶吉は、代わりに布帛(ふはく)を使い始めました。ドイツではこういった玩具がありましたが、毛が立たず、手縫いに高いコストがかかってしまいました。そこで自ら和歌山県に出向き、生地会社と一緒に半年間研究し、本物の毛のように立つ編み素材生地の開発に成功しました。これを機に日本で布帛玩具が製造されるようになったのです。

ここから様々な動物のおもちゃが生み出されていくことになる。

歩きながら首を振るライオン。1970年代のものではとのこと。
ボールを追いかけ回す犬。かわいい……!

爲房:今でも全然動きますね……!

待井:そう、ゼンマイはね。モーターだと動かなくなったりしますけども。

ゼンマイはすごいんだ。何十年も前に作られたおもちゃが平然と動くのに興奮する。

ゼンマイ駆動の中でも有名なのがこちら。

シンバルを鳴らすチンパンジーのおもちゃだ。
映画「理由なき反抗」でジェームス・ディーンと共演している。1955年の映画だ。

当時のイワヤはおもちゃメーカーの開発・製造を請けていたということもあり海外にイワヤ製のおもちゃが多く輸出されていたが、それを象徴する映画出演エピソードだろう。

⏩ 次ページに続きます

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