社内すらもかわいいイワヤ
おもちゃの歴史をびっしりと浴びた取材だった。
それから、社内のイラストがいちいちかわいい。それらを紹介して終わろうと思う。
そして、海外向けのおもちゃは箱がまたいいのだ。
待井:瓶に水を入れるとコップに注いで、飲む動きをすると口から腕を通って瓶に戻るんですよ。
なんと実際に水が循環するおもちゃだ。すごい。
これは中にふいごが入っていて口から本当に空気が出る。それでシャボン玉を吹くというおもちゃだ。
ギミックがすごすぎないか。
また、これは電池で目が光らせるようになっている。
メインの動きはゼンマイ駆動だが、一部に電池が使われてきている。
モーター駆動になる前のおもちゃでも電源を必要とするものがあったのだ。
1つのゼンマイを動力源に、3つの違う音を鳴らす。上の飾りもグルングルン回る。
待井:これは土台はブリキですけど、プラスチックが使われ始めてるんですよ。
よく見るとラッパや太鼓のバチがプラスチックだ。だんだんと移り変わってきた様子が見て取れる。
ここからだんだんとモーター駆動のものが出てくる。
石川:ゼンマイからモーターへの移行って、素人目ではただ電池で動くようになったんだなと思ってしまうんですが全然違うものなんですか?
中野:ゼンマイは力強くゆっくりした回転をするので、それをギヤで増速して動きを作ります。モーターはゼンマイよりも力は小さくて回転が速いので、ギヤで減速します。なので作りとしては結構違いますね。
石川:なるほど、アプローチが逆なんだ。
単に駆動を変えました、だけでは済まない話だ。
待井:ゼンマイ駆動に生地をかぶせたおもちゃはドイツであったんですが、モーターに生地をかぶせたのはうちが早かった。ドイツは海外に出て来ないのでうちに注文が集中するようになったんです。
ただ、プラザ合意で円高が起きてしまって。5年くらいかけて中国に生産拠点を移したんですが、そうしなかったメーカーは廃業したところもありました。
また歴史をおおいに感じるワードが出てきた。
プラザ合意がなされたのは1985年。僕はまだ生まれていないので現代史で聞いたことがあるワードでしかない。
プラザ合意が当時のおもちゃメーカーの大きな分かれ目になっていたのだ。
それでは、最近のおもちゃについてもお話を伺っていこう。
ICが使えるようになってさらに高機能になった。全員夢中になって遊んでしまった。
中野:あかちゃんシリーズのネコは最初ゆっくり歩いていて途中で早くなる、イヌは最初から元気にしっぽを振る、といったように小さいおもちゃでもそれらしい動きを作っています。
同じ動きになると「どの動物のおもちゃでも同じ動きじゃない?」と思われてしまうので。これを1つのモーターで動きを作ったりしています。
動きに対してのこだわりよ。イワヤでは「動く動物玩具"憲章"」というのを定めているのだ。
アイザック・アシモフはロボット三原則を定めたが、それに匹敵する素晴らしさがあるじゃないか。
また、ICなどで高度化しているおもちゃが多いが、昔ながらのゼンマイ駆動のおもちゃも作られている。
中野:電池を使わない、というのがエコの観点でゼンマイに回帰している、というシリーズです。
モーターもゼンマイも両方必要なんですね。
ゼンマイにつながるヒモを引っ張ると、カエルが鳴く。
爲房:これは中の音が出る部分を作って「これはカエルっぽいね」となってカエルのおもちゃを作ったんですか?
中野:中身はもっと小さかったんですよ。で、「カエルをやりたい」という企画だったのでカエルらしい鳴き声になるにはどうしたらいいかを試行錯誤しました。
企画を立ててもらって、いかに企画を活かすメカを作るかということを考えています。
まさに技術で応えるといった感じでかっこいい!見た目はかわいいが、中身のメカはしっかり複雑でそのギャップがとてもいい。
爲房:子どもが使うおもちゃなので壊されないようなものを作るのは大変かなと思うのですが……。
中野:おもちゃはSTという安全基準が対象年齢によって分かれているので、それを守るのが大変ですね。
例えば部品を引っ張って取れてしまうと誤飲につながってしまう。なので、誤飲してしまう大きさ以下の部品は引っ張っても取れないようにしないといけないですね。押しても壊れないように、だけでなくて引っ張っても取れないようにするという。
あとはお子さんの指って細いので、5ミリの治具が入らないようにするとか、中に入ってしまっても13ミリ以上開けて挟まらないようにするとか。
橋田:細かい……!
待井:安全基準の低いところをつかって同じようなおもちゃを低コストで、見た目が同じような製品を作って、それらを売られるということが起こっています。安全を求めるとコストが上がるので、より安い価格を求める消費者にアピールしにくいのが難しさがありますね。
動くおもちゃは触りたくなってしまう。小さいこどもならなおさらだ。
かわいいし安全、そしてどんどん楽しい動きを追求するイワヤのおもちゃ、ファンにならずにはいられない。
途中から転職出来ないかな……と思いながら話を聞いていた。100年の歴史の一部になりたい。
ところで……。
魔改造の夜などでも取り上げられることについて、率直にどう思うか個人的に気になっていたので聞いてみた。
待井:動く動物玩具となるとうちの製品が市場に多くでていますので、目に留まる可能性が高いと思います。この辺は嬉しくもあり、また長くやってきた印とも言えるのではという自負も開発者達にはあると思いますね。
これが老舗の懐の深さか!かっこいい!
やっぱりファンにならずにはいられないです。
おもちゃの歴史をびっしりと浴びた取材だった。
それから、社内のイラストがいちいちかわいい。それらを紹介して終わろうと思う。
この太鼓をたたくクマは「トンピー」。名前だけでも覚えて帰ってください。
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