デジタルリマスター 2023年3月17日

船で往復50時間(デジタルリマスター)

この船で50時間以上、ただ闇雲に時間を潰したその記録

年末年始、小笠原へ行ってきた。

小笠原には民間人が使える飛行場は無く、船でしか行くことができない。 その名もズバリ「おがさわら丸」という定期船が週一便、 東京の竹芝桟橋と父島を結んでいる。

しかし、父島は東京から南へ遥か1000km。 その乗船時間も半端ではなく、片道25時間強、往復で50時間以上もかかる。 そんな長い時間、船に乗っていなければならない。

さてはて、どうやって暇を潰そうか。

2008年1月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1981年神奈川生まれ。テケテケな文化財ライター。古いモノを漁るべく、各地を奔走中。常になんとかなるさと思いながら生きてるが、実際なんとかなってしまっているのがタチ悪い。2011年には30歳の節目として歩き遍路をやりました。2012年には31歳の節目としてサンティアゴ巡礼をやりました。(動画インタビュー)

前の記事:青森県の田舎館村には弥生人の足跡と土器カレーがある

> 個人サイト 閑古鳥旅行社 Twitter

午前10時すぎ、船が出る

私の乗るおがさわら丸は、予定時刻の10時から15分ほど遅れて出港した。 大きな汽笛を二回鳴らした後、ゆっくりと岸を離れて行く。

船が東京湾岸沿いを進んでいくにつれ 景色が移り変わっていく様子はとても楽しいもので、私を含め大勢の客がデッキに出てその風景を楽しんでいた。

……まぁ、最初のうちは。

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汽笛が鳴って、船が離岸する
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さらば東京(行き先も東京都だけど)
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程なくしてレインボーブリッジをくぐる
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そうして始まる工業地帯
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しかし、羽田空港沖を過ぎた辺りのその頃は
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私は寒さに打ちひしがれていた

船の上では冷たい風が容赦なく吹きつけもの凄く寒い。 出港から1時間半たち、最初の興奮がすっかり冷めた今、その寒さをモロに感じてしまう。

あれだけデッキにいた人々も、いつの間にやら船内へと消えており、 いつまでも景色を見ているのは寒さに震えながらたたずむ私だけになっていた。

あぁ、太平洋ひとりぼっち。

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さてこれからが問題だ

結局寒さに耐えられず、私も船内へと移動した。

さて、これからどうしようか。まだまだ先は長いが、景色を見るのにはもうすっかり飽きてしまった。今この時点でやることが無くなってしまったというのなら、これからの残り時間、一体何をしていればいいというのだ。

……いや、まだやることはあるぞ。船内探検だ。そうさ、男なら探検だろうが。まずは船内をぶらつくき歩く。それが基本。

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ここが行動の拠点、二等客室
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一等客室の廊下(ぶら下がってるビニールはゲロ袋)
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セルフサービスのゴザなんてあるものだから
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船内はもう、いたるところで花見状態

……なんていうか、もう既にあちらこちらで宴会のようなものが始まっていた。ロビーのように多少広いスペースがあると、そこにゴザを敷いて仲間で酒を飲む。そのスタイルがこの船では基本らしい。

しかし、ロビーがこんな状態あると正直どこにも行きようがない。二等客室とロビー、ちょっとした公共スペース以外は立入り禁止だったりと行動範囲の制約も多く、船内は意外なほどに狭く感じる。

しょうがないので、結局私は再びデッキの上に戻っていった。まぁ、デッキはデッキでなかなかぐっとくる設備が多く、おもしろいのだが。

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デッキは相変わらず誰もいない
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救命ボートを吊るすクレーンとか、右のライトとか、いいね
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こういう機械的なモノもたまらんですな
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操舵室の曲線はセクシー路線

……さて、いよいよやることが無くなってしまった。

船内探検で稼げた時間はもうしわけ程度。出港してから経過したのはまだたったの2時間。残りは往路だけでも23時間。復路を含めたら48時間。

おがさわら丸は、一体私に何をしろというのだろう。

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