桜、いとしくも憎きもの
覚えているだろうか4月上旬の頃を。今年もこんなに見事に咲いていたのが、まるで去年のことのようだ。今は東京あたりじゃすっかり花は落ちた。
ちょっと暖かくなってきたと油断すると、いっせいに見ごろを迎えてしまうあいつら。当方はその景観に焦りつつもなかなかスケジュールが合わせられず、足踏みするうちいつしかシーズンオフに…毎年その繰り返しだ。その焦りも込みで「桜」なのかと思う。
きっちり週末に咲くとか、せめて見ごろを1週間持続させるとか臨機応変に対応してくれればいいと思うが、彼らはおかまいなしである。こっちが合わせなければならないとは、なんと鷹揚なことだ。育ちがいいに違いない。
ああ花見したい。花なんてほとんど見ちゃいないようなもんだろうが、桜がまだモコモコしているうちにその下で宴会を、ぜひとも、したいのだ!
ステレオ、わくわくする響き
そんなとき、ふと一冊の蔵書を思い出した。「ポケットに仏像」(新潮社)という本。「3D STEREO MUSEUM」とある。
ステレオ写真とレンズが一体化した3Dビューワーが、そのまま本になったというものだが、これが実にいい。レンズから覗けば、目の前に立体化された仏像がどんと鎮座している。陳腐な言い方であるが、まさに「そこに仏像がある!」という興奮。ポケットに仏像、とはよく言った。
この「すぐそこにある!」というシステムを、タイミング外した花見に使えないだろうか。上のような装置を、手ぶらで頭に装着できれば、両手が使えて宴会ができる。さっそく、作ってみよう。
ところで当然のことながら、ステレオ写真が必要になる。ステレオカメラを持ってないので、今回とりあえずはタカラトミーの「3Dショットカム」というお手頃デジタルステレオカメラを買ってみた。ビューワーも2つついている。さてどんなものだろう。
このカメラで、見頃の桜を撮っておく。そしてビューワーをちょっと改造して、3D花見の道具がそろうわけだ。
申し訳ないがさっそくビューワーを解体させていただこう。買ったばかりの品にハサミを入れた。