おちょこ製造ラインができあがる
どこでもらったか全く忘れたが、うちにザ・猪口とでもいうようなおちょこがあった。これの型を取って、そこにチョコを流し込んでちょこを作ろう。ああややこしい。
型を取る、とひとくちに言ってもだ。このようなお椀型のものを型取りして、チョコを流し込んで成形するにはどうするか。言葉ではややこしいのでだいぶ省くが、下図のようにプレス方式で生産することにした。この図に沿って、さっそくシリコーンで型取りだ。
8時間後……、一晩明け、シリコーンが固まった。ひっくり返して、土台の油粘土を取り去る。今度は上側の型(凸のほう)を作る。
地味な上に、またも8時間後……、すっかり日は落ちて、シリコーンが固まった。そうしたらブロックを取り去って、型を上下にパカッと分けてみよう。
はかなき器
この凹のほうに、猪口、じゃなくてチョコを注ぐ。ああややこしい。
どれくらいの容量が必要かわからないが、少なかったら目もあてられないので多めに注ごう。おっと、型を洗って、油を塗るのを忘れずに。
こうして外にチョコがはみ出るくらい注げば、大丈夫だろう。後ではみ出た部分を取るのは大変かもしれないが、バリ取りは好きだ、任せろ。
しっかり固まるよう、念には念を入れて冷やしたい。冷蔵庫に入れたこと自体を忘れるために他のこと(YouTube閲覧、たまに仕事)に時間を費やし、1時間か2時間か3時間。さてもういい加減固まっているだろう。理論的にはチョコちょこができているはずである。
ここで変に型に力を入れると、チョコが割れてしまうかも……、と危ぶみつつそろそろと進めるも、やがてポコッ!手に伝わる意外な堅牢さ。チョコちょこができていた。
想像以上に、チョコちょこだ。そのトンチキな名前とは裏腹に、陶器のような実に深きたたずまい。
陶芸家は、出来上がった作品に不満があればその場で叩き割るという。啓山には特に不満はないが、さっそくこれで酒を飲んじゃおうと思う。
お味は「ポッキーオンザロック」や「スナックでキスチョコつまみながらブランデー」といった様子を思い出していただければと思う。まあ、チョコと洋酒の味だ。
「チョコで器なんて!」と興奮したが、よく考えたらビン型のチョコにウイスキーの入った菓子も同じようなものだったと思い返す。「チョコちょこ」って言いたかっただけでした。
実は、チョコがちょっとシリコーン臭かったので、あまり真似しないでいただければと思う。