桜どうこうよりビール
アナログ・バーチャル3Dヘッドセット(伸び縮み式紙メガネ)を装着したとたん、ひとつの難題に直面した。目の前がスクリーンいっぱいの桜で、手元がまったく見えないのだ。当たり前だ。
手探りでビールの缶を探し、プルトップを開けるが、飲み口を自分の口に合わせるのも一苦労だ。桜を見る暇もありゃしない。
ゆっくりとした所作でお茶会のようにバーチャル紙花見は進む。攻殻機動隊が2人羽織りしたらこんな感じかもしれない。
ちなみにここまで、今まさに目の前にある満開の桜についてのコメントは、2人からは皆無である。それどころではないのだ!
それでも、徐々に手探りにも慣れてきて、「桜」を見る余裕もできてきた(今頃!)。そのままその景色をお見せできないのはもどかしいが、桜は今私たちの目の前に厳然とある。
どこを向いても桜、桜、桜。ぴったりと、視線の先についてくる。もう、一生このままなんじゃないだろうか。
そう思えてきたのでメガネを外せば、ぐるんぐるんと目が回る。オェー。酒でなくてこのメガネで酔った。至近距離でステレオ写真を見続けたらいけない、ということがわかった。
そもそもメガネかけて視界を覆っちゃうんだから、桜の木の下で花見しなくてもよかったかもしれない。それこそ職場とか居酒屋とか寝台列車でもよかった。
そして視界を覆ったら飲み食いが困難だ。今度は外界も見える透過型3D紙メガネを作ってみよう。戦闘用スコープにも近いうち応用できるかもしれない。
【おまけ】
というように、いつでもどこでも、まさに「ポケットの中に花見」という状況がステレオ写真で作れるわけで、うまいものの写真や懐かしい実家の様子などもこまめに撮ってライブラリに加えるといいのではないか。雑事に忙殺される世の中、精神の安寧にいくぶんか寄与するのではと思う。
私事ではあるが、帰省のおりに必ず車内で食べる「崎陽軒のシウマイ」と、実家のダイニングの様子を3Dで掲載しておくので、お暇な方はご覧いただき、乙幡家への旅に招待された気分におなりください。GW予定のない方とか、さあぜひ。