まずは理論から
今回3D世界を表現する方法は、あの「赤青メガネ法」である。いや、本当はちゃんとした名前がある。「アナグリフ」というのだ。
その立体写真について詳しいサイトがあったので、参考にしたい。関谷隆司氏の「立体写真STEREOeYe」だ。こちらに、立体写真の種類、原理、撮影法、アナグリフ作成ソフト…などなど、飛び出し坊やのこんな企画にはもったいない情報がつまっている。
本当のアナグリフとはどんなものか、まずはご覧いただこう。赤青メガネの入手は上記サイトなどから各自行っていただくとして、そのメガネでこちらの写真を覗いていただきたい。立体写真を初めて見たときの、懐かしいあのワクワク感を感じると思う。
このような奥行きを楽しめるような被写体が立体写真に向いているわけで、「飛び出し坊や」などのイラストは果たしてどうなるのかという不安はあるが、看板があの赤青チャンネルに分解されたさまを見るだけでもいい、作ってみようそうしよう。
次にフィールドワーク
ところで。実物の飛び出し坊やは、いったいどこに立っているのか。たぶん見たことはあるけど、特に意識せず「飛び出してるなー」くらいの気持ちで通り過ぎて来たような気がするので、いったいどこの何番地に立っているのかわからない。わからないのに探しに出るのは、考えただけで途方に暮れる。
ネットで検索すれば、それは多くの飛び出し坊やマニアのサイトが見られるわけだが、やはり実際に目で見てみないと。調べると、関西方面にけっこう多くあるようだ。ちょうど大阪に出向く用事があったので、ネットの情報で特定できた場所へと写真を撮りに行った。
スクールゾーンや公園など、子供の往来がある場所に立っているのではと思っていたが、商店街・飲み屋の連なる道沿いに立っていたのが妙だった。この向きだと、交番からおまわりさんが飛び出してくるから注意!という意味にとれるのではないか。
この実物や、画像検索で出てきたさまざまな坊や(ちなみにお嬢ちゃんもいる)を参考に、地域のPTAになった気分で、自分なりの「飛び出し坊や」を描いてみよう。
「子供」「キャップ」「半ズボン」「飛び出すポーズ」…あらゆる飛び出し坊やエッセンスを加えて、ラフを描いた。ところで各地で見られる飛び出し坊やは、たいていヘタウマ系の味がある。単に「ヘタ」なのもある。
自分はイラストは得意ではないが、ドヘタというわけでもなさそうであり、ヘタウマの匙加減が難しい。
「ヘタ」加減を真似したいのだけど、どうも“うまく描こう”という心理が変に働いて、中途半端なあたりさわりのないものになってしまうのだった。