年末とくべつ企画 2023年12月30日

この記事のここを読んでほしい! ~2023年 編集部古賀のおすすめ~

 ポップセンスそのものの記事

推しポイント

商品が強いことによって勝っている記事ではあるんだけど、それを置いてもJUNERAYさんのセンスによって成したヒット記事。

見つけること、切り取ることの才能がいかんなく発揮されて、近年らしいポップセンスそのものがある。

なにしろタイトルが秀逸。商品に目を奪われる記事だからこそほめたかった。

古賀:
商品紹介のヒット記事って、こういう年末の「よかった記事」みたいな特集からはちょっと漏れがちかなと思うんですけど、この記事はよかったなと、記憶に残ってます。JUNERAYさんのポップセンスは本当にすごい。

安藤:
うんうん。

古賀:
見つけて的確に紹介する力がほとばしってます。良い商品だから記事もヒットしたってことじゃないと思うんですよ。タイトルが秀逸ですよね。魅力的な記事です。

なにしろタイトルが強い!
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強いエンジョイ力を確実に記事化する

推しポイント

とくべつ企画「お店別・レジ袋なしの限界を探る」のなかの1本。この企画自体が、人間のいたしかたのなさを企画化しており、編集石川くんらしくて本当によかった。

なかでも高瀬さんは本当に楽しそうにしていて、強いエンジョイ力と、その記事化のちからをまざまざと感じさせてくれた。

古賀:
これは企画自体もすごく良い。「エコバッグ持たずに買い物行って、レジ袋買うのが悔しくてかかえて持って帰る」って、レジ袋有料化の生んだ思わぬ情緒なわけじゃないですか。
そこを企画にする、人間のいたしかたなさ、やむを得なさに思いを寄せる石川くんの力量が出てますよね。
高瀬さんの記事をピックアップしたのは、やっぱり本当に楽しそうなんですよ。エンジョイ力と、エンジョイした様子を記事化する力が強い。

林:
おもしろい人だよね。笑顔でね。

古賀:
楽しそうな笑顔だから沿道から声援までかかるんですよ。知らない人から。

安藤:
人がいいですよね。人のよさが見える。

古賀:
キャプションのとぼけた書きぶりもいい。

安藤:
これ最後、落とすんですよね。

古賀:
そうそう。安定飛行に入ったけど、落とす。実直だけど軽快で調子いいんですよね。

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食への圧倒的ポジティビティと唐突な情緒

推しポイント

圧倒的フォトジェニックに注目があつまりがちな月餅さんの魅力は、フォトジェニックの前の段階、食へのポジティブな向き合い方に濃縮されていると思う。そのさまがぞんぶんに楽しめる記事。

ラスト、突如訪れる情緒もいい。

古賀:
これも正月のとくべつ企画からですね。安藤さんと江ノ島くんと月餅さんが3人で手分けして良い肉を食べると言う企画。

安藤:
そうですね。豚、牛、鶏をね。

古賀:
月餅さんは豚肉担当でとんかつを食べに行って。さっきの佐伯さんが食への意外なネガティビティを見せてくれたんですが、月餅さんは突き抜けたポジティブが書けるのが強みですよね。

単品でカレールーをつけた。わたしは平気でそういうことをします。

古賀:
月餅さんの記事にはどれもはつらつとした良さがあるんですが、この記事は最後に急な情緒がくるんですよ。 

店内には倖田來未が流れている。隣の卓のお兄さんが絞るレモンのさわやかな香りが届く。年の暮れの寒い日、15時のことである。

林:
ははは!

古賀:
それがまた本当にしんみり来るような書きぶりで。よかったです。

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マクドナルドが、なんでこんなに可笑しくて、楽しくて、うれしい

推しポイント

ちょっとした思い付きで、マクドナルドでご飯を食べることがこんなにも可笑しくて、楽しくて、滋味深くなる。
頼む人と、頼まれる人がいて、そこに距離があるということ、人と人が遠く離れながらけれどつながれる、原始的な驚きをこれ以上なく感じさせてくれた企画。

安藤:
あ~! これね!

古賀:
この記事、ネタを聞いた時と実際やってみた時の感情の乖離が意外だったんですよ。もっと、ただおもしろい、サービスのハックみたいな遊びだと思ってたら、ものすごくエモーショナルだった。

951kmも離れた佐世保から、自分のことを考えたプレゼントがすぐに届く。もちろん作っているのは店内だけど、直接手渡されたような感動がある。なんだこれは。 

林:
うんうん。

古賀:
人と人が遠く離れながら繋がっているっていう原始的な驚き。海外にいる人と電話で喋れるとか、ちょっといまだにびっくりするじゃないですか。そういう体感の奇妙さが、感動的に伝わるんですよ。しかもその入れ物がマクドナルドという。

安藤:
意外な感動ですね。

古賀:
ナオさんと山本さんが協力してくれたんだけど、2人ともすごい興奮して。3人のバイブスが本当にどんどん上がって。ちょっとキュンとするような感覚さえあった。
自分が頼んだのに遠くの店で作ってるくらいで感激するなんて、やっぱりやってみなくちゃどうなるかわからないよなと、目があいた記事でした。

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起きたことをそのまま情緒として目撃する力

推しポイント

3ykさんの、自身のエモーションに頼らない、起きたことそのまま情緒として目撃する力はすごい。

レポートとしての足場はくずさずに、そこにいるひとたちひとりひとりを見たこの記事は真骨頂だった。

古賀:
この記事、レポート記事としての足場がかなりしっかりしてるんですよね。事実関係とかもちゃんと書いてある。

そのうえで、あたりのひと、ひとりひとりを見つめるところが良かった。3ykさんは自分の中にエモーションがあるんじゃなくて、外に見出してすことができる人なので、すごく強いと思います。

一台、また一台と車が通って、ああこれは血液と同じだ。手の先に血が通ってじんわりとあたたかい。もう大丈夫。

古賀:
人が全員主人公だって気づいて、それを忘れず携え続けるのは本当に大事だと思うんですよ。

みんなめちゃめちゃ主人公だ
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 臆せず堂々と手渡される「シーン」

推しポイント

岡本さんは急に臆せず堂々と「シーン」を書くことがあって、そのときの強さがすごい。今回はそれがラストに入ったから余韻は過去のDPZの記事で一番じゃないでしょうか。

本当に、ただ手渡すだけ手渡して去っていくかっこよさ!

安藤:
これ、よかったですね。最後が衝撃の終わりでしたよね。フェリーに乗る記事だよね、で、波がぶつかるんですよ。船体に。

林:
そうそうそう。

安藤:
それで高校生がはしゃいでね、小学生も来るんだけど、きみらは危ないよって言う。

林:
そこで終わる。

安藤:
うん、これ確かにな。衝撃でしたね。

古賀:
岡本さんはまとめ枠が苦手だってご本人ずっと言ってて。何を書いたらいいかわからないって。結局いつも上手にまとめてくれるんだけど、苦手でどうしたらいいかわからないからこその風情が毎回あるんですよ。今回は切り取るようにシーンを書いた。切り取ったまま手渡していなくなってった。

林:
「〇〇だった。笑った」じゃなくて、「〇〇だった」と書く。それでいいんですよね。「死ぬかと思った」を編集しているときもずっと思ってました。

古賀:
「〇〇だった。笑った」って書くくせが付いてる人は、SNSで多くの人に文章を見られる経験のある人なんじゃないかと思うんですよね。SNSだと感情も書かないと誤解されやすい。
「〇〇だった。笑った」まで書かずに「〇〇だった」とだけ書くと「残念でしたね」なんてリプライがくる。
え、ネガティブなつもりで書いたんじゃないのになって。

林:
あー。

古賀:
読み手が勝手に感情をのせてきちゃう。

安藤:
行間を慎重に読んでくれないですよね。
あとさ、これさ、小豆島で遊んでるシーンがあんまりなくて。行って帰ってくる話なのもよかったです。本当にフェリーのことだけ書くんだなって。

古賀:
ははは。そうなんだよな、岡本さんの記事はそういう思いがけない真面目さがあるんですよね。以上、古賀からのおすすめでした! 今年も良い記事たくさんあったなあ、選ぶの大変でした!

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