
100年の時を超えて育つ「ひよ子」
ニワトリ化するために、改めて自分で「ひよ子」を買ってきた。ひよ子ってなんとなくもらったりあげたりするものというイメージがあって、自分用に買うのは意外と新鮮。


こんな箱のデザインだったか


相変わらず愛らしいフォルム

調べてみたところ、「ひよ子」が誕生したのは1912年。もう100年以上経っているのだ。一世紀もの間、ひよ子はヒヨコであり続けたのだ。
ひよ子自身も「おかしいな…いつかニワトリになるって聞いてるんだけど……」といぶかしんでるんじゃないだろうか。
ひよ子自身も「おかしいな…いつかニワトリになるって聞いてるんだけど……」といぶかしんでるんじゃないだろうか。


君も成長できるはず

そんなモヤモヤを解消すべく、私が勝手に立ち上がろう。用意したのは、アイシング用の粉砂糖。クッキーなどにかけて、きれいにコーティングして飾るためのアレだ。普通の粉砂糖と違いと、乾燥卵白があらかじめ混ぜてあるらしい。


テカテカしてきたひよ子

溶かしてかけると、地の茶色が透けて見えつつも白っぽくコーティングされた。これをベースにして、毛羽立った感じを演出するために準備したのはココナッツの乾燥果肉。


あ れ…大丈夫か、これ?

ココナッツをくっつけていくと、だんだんなんだかわからない物体と化してきた。もはや完全にひよ子ではなくなっている。


チョコペンで命を吹き込む

それでも、もともとあったところにチョコペンで目とくちばしを描き、顔らしくしてみよう。


ちゃんと成長できた「ひよ子」

仕上げにドライクランベリーを頭頂部にくっつけたら、一気にニワトリっぽくなった。さすが親子だ、全体的な形状は共通しているらしい。


つぶらな瞳も親子共通


「お母ちゃんだよ~」

並べてみると、一回り大きくなって成長した様子が読み取れる。ニワトリ、ではなく、「ひよ子」の表記にならって「にわ鳥」と呼ぶべきだろうか。
食べてみると、なんだかトロピカル。あくまでクラシックな味の「ひよ子」と比べて、「にわ鳥」はココナッツの風味で一気に南国ムード。ベースの饅頭ともよくマッチしてして、食感にもアクセントがある。これはちゃんとうまい。
食べてみると、なんだかトロピカル。あくまでクラシックな味の「ひよ子」と比べて、「にわ鳥」はココナッツの風味で一気に南国ムード。ベースの饅頭ともよくマッチしてして、食感にもアクセントがある。これはちゃんとうまい。

超進化するひよ子


別アレンジを試そう


図工っぽくなってきた

一定の成果があった、ひよ子のにわ鳥化。さらに成長させてみたい、と思ったのだが、ニワトリってもう完成形だよな。
では別バージョンにしようと、用意したのは赤い食用色素。粉砂糖に混ぜると、嘘っぽいくらいに赤い。急に図工の時間みたいになってきた。
では別バージョンにしようと、用意したのは赤い食用色素。粉砂糖に混ぜると、嘘っぽいくらいに赤い。急に図工の時間みたいになってきた。


濃い絵の具をたらしたみたい


なんだかオブジェ気取り

コーティング性能もばっちりで、いよいよ工作っぽい。多めにかけて垂れたアイシングが広がり、地獄から這い上がってきたひよ子のようにも見える。
ここにチョコペンやアーモンドスライス、粒状の駄菓子を加えてデコレーションしていくと、こんな感じになった。
ここにチョコペンやアーモンドスライス、粒状の駄菓子を加えてデコレーションしていくと、こんな感じになった。


炎の海から生まれました

不死鳥である。いや、「ひよ子」にならうと「ふし鳥」となるか。
そう表記するとなんとなく小料理屋っぽい雰囲気も出てくるが、ビジュアルはあくまでフェニックス。かつてひよ子だったあいつが、こんな立派になるなんて。
そう表記するとなんとなく小料理屋っぽい雰囲気も出てくるが、ビジュアルはあくまでフェニックス。かつてひよ子だったあいつが、こんな立派になるなんて。


ちょっとお引越し


もう少し進化させたい

もうひと羽ばたきさせたいと思い、お皿を変えてさらなる演出を加えよう。ふし鳥本体にデコレーションした材料を再び用いていく。


伝説っぽさがアップ

おお、不死鳥度がアップしたぞ。ただ、大空を華麗に舞うという風ではなく、不死鳥のヒナという感じか。
そうか、考えたことなかったけど、不死鳥にもヒナの時代があってもいい。
そうか、考えたことなかったけど、不死鳥にもヒナの時代があってもいい。


「と、父ちゃん……?」

隣にひよ子を置いてみたが、ふし鳥は血縁ではなさそう。突然変異にしても、大ブレイクしちゃった感じだ。


不死鳥だけど物理攻撃には弱い


改めてひよ子出身を確認

不死鳥を名乗りつつも、実体はお菓子なので食べられてしまう。包丁で切ると断面がくっきりわかって、出自がひよ子であることが思い出される。
では食べてみよう。ベースの饅頭、アイシング、アーモンドスライス、粒上の駄菓子、それらが口の中で一体となって……なんだこりゃ? そもそも一体となっていない。モサッ、バリッ! モサッ、バリッ!と繰り返される食感。味のバランスもおかしい。
では食べてみよう。ベースの饅頭、アイシング、アーモンドスライス、粒上の駄菓子、それらが口の中で一体となって……なんだこりゃ? そもそも一体となっていない。モサッ、バリッ! モサッ、バリッ!と繰り返される食感。味のバランスもおかしい。


味の不協の原因はこれだ

粒上の駄菓子はフルーティミンツという商品名で、パッケージには「禁断の甘酸っぱさ」と書いてある。なんだか変な酸味があるなと思っていたが、これが原因だ。
できたら想像してみていただきたい。饅頭とアーモンドとフルーティミンツのハーモニー。
いや、だからハーモニーはない。味の折り合いのなさに食べながら爆笑。もしこれから不死鳥を見かけても、食べるもんじゃないと思わされる味わいだ。
できたら想像してみていただきたい。饅頭とアーモンドとフルーティミンツのハーモニー。
いや、だからハーモニーはない。味の折り合いのなさに食べながら爆笑。もしこれから不死鳥を見かけても、食べるもんじゃないと思わされる味わいだ。







こっちはほんとにおいしかったよ



銘菓ひよ子を成長させる試み。ただ、「ふし鳥」は成長と言うよりメタモルフォーゼ。見た目のらしさはいいが、食べ物としては破綻していた。それでも、まさに成長である「にわ鳥」はちゃんとおいしい。
「たけのこの里」を竹に成長させることも考えたが、おいしくする自信はあんまりない。
「たけのこの里」を竹に成長させることも考えたが、おいしくする自信はあんまりない。
