これがズルドミノだ
ということで、もういきなり結果の動画を見て欲しい。
自信がある動画なら,記事の最後まで引っ張ってラストに「どうだすごいだろう!」と見せるのが一番だ。
まず見せちゃってる時点で、僕の弱気はお察しはいただければ幸甚です。
流れとしては、自宅玄関を出て近所の公園を通り、打ち合わせと称してニフティ社内を突っ切って、最後は知り合いの古文房具屋でゴールというルートである。このルートは直線距離で30kmぐらい。
今回、ドミノを2cm間隔で並べているので、30kmなら150万枚。すごい。
個人によるギネス記録が現在32万個なので、余裕で大勝利である。(ズルしてなければ)
問題は、その距離以上に壮大なドミノを目指してカット割りをしすぎたため、全くつながってないように見えることだけだ。
ズルドミノの作り方
自覚しているが、僕は根気がない。
先日は大量にハンバーグを作ろうとしてタマネギをみじんに刻み始めたが、3個ぐらいで刻み飽きて、挽肉とタマネギの炒め物(刻んでない)に変えた。それぐらい根気がない。
でも、なにか大きいものを作るのは好きだ。例えばすごく長いドミノ倒しとか、前から挑戦したいとは思っていたのだ。
ちゃんと日本ドミノ協会公認のドミノ牌。何事もカタチからだ。
大きいドミノを作りたい、と言いつつ牌を90個しか買ってない辺りでもう根気のなさが露呈している。
しかも、実際に立ててみたら50個ぐらいで根気がつきた。情けないことこの上ない。小学生だってもうちょっと頑張れるような気がする。
仕方ないので、50個ぐらいしか立ててなくても多めに並んでいるように見える仕掛けをつくることにした。
カット割りというズルをする上に、さらにズルを重ねるのである。こういうことを繰り返して、少年は大人になっていくのだろう。たぶん。
お手軽、置くだけで自動的にドミノが長く見える仕掛け。
仕掛けというか、透明のクリアファイルを帯状に切って、30枚のドミノを貼り付けただけのものを2セット。
しかも視覚効果で遠近感を出すため、わざと普通よりドミノの間隔をほんの少し狭く配置してある。
これをきちんと立てた30枚のドミノの先に置いておけば、ちょっとでも長く延ばして立てた感が演出できるはずだ。
これが並べた状態。
わりと長く見えてるが、かなりの割合でズルい。
後から気付いたのだが、実はこの装置のせいで動画のカット間のつながりが悪くなり、結果として「長いドミノっぽさ」が出なくなっていた。
でも、この時はとにかくちょっとでも楽をすることに必死だったのである。
ズルドミノも意外ときつい
今回のズルドミノは、屋内・野外を縦横無尽に移動する壮大さを演出してみたかった。
さぁ、壮大なズルドミノのスタートですよー。
しかしやってみると、これが考えていたよりかなりキツい。
まず野外は、風が吹く。ちょっとしたそよ風でもプラスチック製の軽い板なんか簡単に倒してしまう(やる前に気付くべき)。
風でドミノが倒れるのをふせぐポーズが変質者っぽい。
立てるそばから倒れていくドミノ。賽の河原か。
一見平坦に見える場所もけっこうデコボコで、思ったようにドミノが立たない。
風とデコボコのコンボは「磯野ー、野球やろうぜー」ぐらいの気さくさで、サクッとドミノと僕の集中力を刈り取る。
知らないおばさんが地獄の鬼に見える瞬間。
あと、ようやくドミノを立てて、風が吹く前に急いで撮影しよう、と思った矢先に通りすがりのおばさんに「あらドミノやってるの。風が強いし大変じゃないの?」と話しかけられたり(この直後に風で倒れたが、おばさんの話は続いた)。
屋内もそんなに楽じゃなかった。もうドミノ並べるの辛い。
では屋内ドミノは簡単かというと、またそうでもない。
野外よりは確かにスムーズに進むが、集中力が切れたら、並べている途中でうっかり手に当たったり。たかだか30枚で何度もやり直しだ。
これを個人で32万枚とか、たぶんギネス記録の人はロボだ。
ズルに荷担する藤原くん。もうこれで彼も同罪だ。
あまりに疲れたので、ニフティ社内分は編集部の藤原くんにも並べるのを手伝ってもらった。
どうせ最初からズルしかしてないんだから、そこにもうひとつぐらいズルを重ねても大したことはない。これでもう個人記録ですらなくなったが、こんなにしんどい思いをするぐらいならズルでいい。
ただ、藤原くんが並べながらぽつりともらした
「これ、デイリーお馴染みの、楽に結果を出そうとして逆にしんどいことになるパターンですね」
というのは間違いだと思う。
本当に30km150万枚のドミノを並べる労力はこんなものの比ではないはずだ。
かなり面倒くさかったが、とりあえずズルをして良かったのだ。結果の出来映えはともかくとして。
今回、野外ドミノの撮影をしている途中で同じく動画撮影をしていたライター大北さんと出くわした。(実は家がすごく近い)
怪しげなズルをしている現場を知り合いに見られて非常に気まずい思いをしたが、よく見たら大北さんも何か怪しげな撮影用の物体を持ってウロウロしていたのだった。お互いになんとなく気まずい感じである。
あと、僕がお婆さんに話しかけられている写真は、その気まずいままの去りぎわに大北さんが撮ってくれていたものだ。