特集 2015年6月7日

こわれたまま使ってるもの見せて ~あるこわれっぱの死~

今回はドラマあるで!
今回はドラマあるで!
壊れたまま使ってるもの、かっこいい。
なんというか、歴戦の古強者感があって、かっこいい。
傷ついてボロボロになってもまだ動くタフネスが、かっこいい。
新品のままとか逆にダサいわ、ぐらいの勢いで、皆さんから自慢の『壊れてるけど使ってるもの』写真を募集しています。

投稿していただいた#こわれっぱ写真、とにかく味わい深いです。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

前の記事:世界はすべて消しゴムだった

> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

どっこい生きてる(かどうか判断しにくい)こわれっぱ

企画スタート前には「壊れすぎてるものはさすがにドン引きするかも…」と考えていたんですが、「でもまだ使えてる」という辺りが、程良いリミッターになっているようです。
本当に、イイ感じに味わいのある写真がどんどん送られてきています。

いや、「これ本当にまだ使ってるのか」と恐れおののくようなのもいくつかありますが、でも、使えてるんですよね…。
ギリギリでまだ死んでない財布。これが生命力。
ギリギリでまだ死んでない財布。これが生命力。
2年前2万円分千円札をいれたらぶっちぎれた小銭入れのファスナー。強引に差し込んだら使えそうだったので。ここから先開けたらまたファスナーが使えなくなる(笑)貰った財布は捨てられない。

丸越アピタ名古屋南店 @054758373
個人的には「お願い、もう休ませてあげて!」と言いたくなる状態ですが、でもまだ現役で使えてるんですよね。中身パツパツに入ってますし。
ファスナーの閉じた部分のよじれ具合に、財布の生きてやるという意志というか、ど根性的な精神力を感じます。どっこい生きてる、ど根性財布。
というか、もう精神力だけで保ってるんじゃないかこれ。
使うたびに「がんばれ!まだ負けるな!」って言ってあげた方がいいと思います。
壊れによる開放感。
壊れによる開放感。
とある日曜の朝に突然扉が片方だけ落ちました。
コサンジ @kosanjiyamato
「とある日曜の朝に突然扉が片方だけ落ちました」
なにか、ここから壮大な物語が始まりそうな書き出しでワクワクします。ラノベなら食器棚が異世界につながってるとかそういう展開になるんじゃないですかね。中から美少女が出てくるとか。
現実としては、単に食器棚が風通し良くなっただけでしょうけど。
しかし、突然落ちるもんなんですね、扉。けっこう怖いぞ。

こわれっぱからゴミになるまでドキュメント

前のがラノベだとしたら、次はドキュメンタリーですよ。下手するとナショナルジオグラフィックであるぞ、これ。
まだ生きてるし、まだがんばれる。
まだ生きてるし、まだがんばれる。
家用の髪留めにしているシュシュですが、ご覧のようにビリビリの穴だらけで、中の白いゴムが見えています。下手に広げると、ちぎれるというより、ほぐれるように布のかけらが取れてゆきます。いつか衣が完全に剥げるまで使い続けます。

りんぬ@a_rinne
すいません、これ僕にはもうお亡くなりになっているとしか見えないのですが、でもまだ生きてる。
「下手に広げると、~ 布のかけらが取れてゆきます。」という描写が、現役で使われている持ち主ならではのリアル感。たぶん、布にダメージを与えず髪に巻くためのベストな広げ加減とか、使っている人だけのノウハウがあるはず。
ともあれ、このシュシュと一緒にいられる時間が少しでも長く続きますように、お祈りいたします。

…というコメントを書こうとしていたところ、なんと持ち主の方から続報が。
シュシュの残酷描写だ。R-15ぐらいあるな。
シュシュの残酷描写だ。R-15ぐらいあるな。
先日投稿したシュシュですが、あれから一週間でご覧の有様になりました。我ながらこんなボロ布は見た事がありません。脳裏によぎる「もう使い物にならない」という言葉を飲み込んで、また髪を束ねます。

りんぬ @a_rinne
ダイソーでこの状態のシュシュが売られていたら、商品名は「ザ・ボロ布」以外あり得ないと思います。
僕も、近来ここまで見事なボロ布は見た記憶がありません。
しかし、まだ生きてる。
もはやゴム周りにまとわりついた布にどんな意味があるのか、持ち主の方にも分からないんじゃないでしょうか。

…そして、ここからさらに6日後。
ついに我々は「こわれっぱの死」を目撃する事になるのです。
きれいな布してるだろ、死んでるんだぜ、それ。(きれいではないと思う)
きれいな布してるだろ、死んでるんだぜ、それ。(きれいではないと思う)
シュシュがついにシュシュだったものになりました。最後までゴムと繋がっている箇所は縫い目ですので、これ以上剥げることはないと思われます。これほど裂けて尚、輪の形を保ち続ける布地に泣かされました。今までありがとう。捨てます。

りんぬ @a_rinne
まずは、シュシュだったものに黙祷を捧げたいと思います。
縫い目でゴムとつながっている部分は、シュシュとしての存在意義をかけた最後の執念なのかもしれません。木口小平は死んでもラッパを離しませんでした、みたいなやつ。
そして死してなお輪を保つ布。これも執念ですよ。

前回、僕は

このコーナーは皆さんの肝っ玉の太さとか人間としての器の大きさを表現する企画と言えましょう。
壊れものを通して語られる、人間賛歌です。


とコメントしたんですが、ごめん、それだけじゃなかった。
#こわれっぱ は、人間サイドだけの話ではなくて、壊れたままでも使い続けられる道具の生命力礼賛の話でもあったのです!

そして持ち主さんの「今までありがとう。捨てます。」というあっさりしたコメントも胸を打ちますね。
不覚にも僕まで泣きそうです。

いや単に、すごくボロいシュシュが壊れたから捨てる、というだけなんですけども。

雑修理による、その場しのぎ術

とはいえ、壊れたままで使い続けるというのは、道具の生命力だけでどうこうできる話ではありません。
人間側の工夫も大事なのです。そして、時にその工夫は雑な修理という形でイイ感じに発揮されます。
この、雑なツギハギ感がしびれる。
この、雑なツギハギ感がしびれる。
紙袋を絵の具を入れるために半年使ってます
雑に扱ってたので角から割けはじめ養生テープで修理&補強
取っ手はしっかりしてるので不自由なく使えます

だめ @Rodame

さすがに紙袋は破れたら捨ててもいいと思うんですが、サイズが絵具入れに最適とか、なにか理由があるんでしょうねえ。
それにしても、破れた所からパッチをあてていく、いかにも泥縄な修理がとてもいいです。
このまま破れていくと、どんどん紙の比率が減っていくんでしょうね。
紙袋のサイボーグから、紙袋のアンドロイドへ。
手間をかけた雑修理。
手間をかけた雑修理。
急須の蓋が割れたので、プラスチックのお椀に焼いた金串で穴をあけて使っています。耐熱温度が70/℃だったせいでお湯を入れるとパキパキ不穏な音がします。

Kiyosawa/HidakaKaori @witch_99e
こわれっぱにおける修理とは、回復とか治癒とか現状復帰とかそういうんじゃなくて、延命処置なんだな、とはっきり理解できる傑作です。
とりあえず使えればいいや、という思いがありあり。

この修理、急須が勿体ないから、という理由で施されたわけじゃないですよね。だって代わりにプラのお椀を一つ潰しちゃってますし。
おそらくは、不燃ゴミに出すの面倒くさいとか、新しい急須買いに行くの面倒くさいといった理由によるその場しのぎではないでしょうか。
その気持ち、わかります。面倒くさいことは、とにかく先延ばしにしましょう。

お椀に焼いた金串で穴を開ける、という手間とどっちが面倒かとか考えたら負けです。

引き続き、皆さんが日常的に「壊れたまま使ってるもの」「壊れたのを雑に修理して使ってるもの」の写真を撮って見せてください。

Twitterから「#こわれっぱ」というタグをつけて、ご投稿ください。
できれば、「どうやって壊れたか」「使い続けるのにこんな不具合がある」「いや、不具合なんかないぜ」などコメントしていただけるとありがたいです。
もちろん「むしろ壊れた方が便利だ」というのもありです。

Twitterやってないよ、という方は、こちらの投稿フォームからでもOKです。
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