餅好きの多いデイリーポータルZ
当サイトでは過去にも
餅の万能性を検証したり
雑煮合戦を取材したりと、餅にたいして並々ならぬ情熱を注いで取り上げてきた。
そんな餅好きなウェブサイトの中から次の精鋭三人が、なんちゃって雑煮のうまさを検証したい。
右から宮城、古賀、西村
粉末タイプのインスタント汁物に限定
世の中には「お湯を注ぐだけ」という大変簡便で便利なインスタントスープが存在する。その中でも今回は粉末タイプのスープに限定してなんちゃって雑煮を作って食べ比べた。
餅は切り餅を使い、オーブンで一回焼いてからスープに投入した。
焼いた餅にスープを注ぐ
数が多くなってしまったので、以下から個別にリンクするので、気になるところからご覧いただきたい。
キャラメルミルクティー&まとめ
餅を入れる場合は……わからない
つくり方に忠実に作りました
コーンクリームに餅を入れる場合のつくり方なんて書いてないので、とりあえず、つくり方に沿ってきちんとお湯の量を計って作ってみた。
見た目は……うまそうだ!
うまそうな見た目はじゅうぶん合格点といえる。実際の味はどうなのか?
いっただきまーす
古賀「うん、うまいね……うまいけど、お雑煮のほうがおいしいですね、餅もコーンスープもおいしいけど、パンの方がいいですね……」
宮城「おいしいけど、合わさってうまいかというと……パンチ力不足だなあ、ちょっと胡椒を効かせるとかしたほうがいいかなあ……」
西村「餅の甘さは引き立ちますね、たしかにおいしいけれど、ぼんやりした甘みですね」
どうやら、コーンクリームと餅、どちらもおいしいのはわかるけれど、相性がいいかというとそうでもないようだ。おいしいけれど、今ひとつ。
いいやつだけど、決定力に欠ける。最近の新入社員みたいな評価になってしまった。
おいしいんだけどねー
雑煮オススメ度……★★★☆☆ 3点
※悪くはないけれど、餅には合わないかも
飛行機でスープを頼むと出てくるあれだ!
箱の能書きによると、JALの飛行機に乗ると機内サービスの飲み物で、スープを頼むと出てくるあのスープをベースに作ったらしい。
ぼくはコーヒーが苦手なので、飛行機に乗るとジュースかこのコンソメスープを頼むことが多い。それだけに期待は膨らむ。
しかも、というか実は買ってから気づいたのだけど、箱の後ろに「洋風雑煮」としてこのビーフコンソメに餅を入れたレシピが載ってるのだ。
実はオフィシャルでオススメ
見た目は高級料亭の雑煮みたいだ
公式にオススメのレシピなので失敗するわけがない。さてその味はいかほどのものか?
うまいなー
西村「うん、完全に雑煮ですねこれ、うまい。オフィシャルでオススメするだけありますね」
宮城「さっき(コーンクリーム)より餅にあってますねー、おいしい」
古賀「これ、すごいおいしい! 洋風というより、鰹だしっぽい風味がありますね……このまま菜っ葉と鶏肉を入れれば完全に和風の雑煮ですね、不思議」
三人ともおいしい!との判定。
餅と一緒にスープをいただくと、洋風のコンソメスープがたちどころに和風のテイストに変わってしまうという、だまし絵みたいな味。餅という食材の味の強靭さを再認識できた。餅、すごい。
だまし絵っぽい雑煮
雑煮オススメ度……★★★★☆ 4点
※おいしい! クルトンもアクセントになっていてよい。
やたら長い!
「西洋の味噌」と言われるトマトの旨味にビーフコンソメでその存在感を見せつけた餅がどのようにからむのか?
これも見た目は十分うまそう
「トマトリゾットみたいになればうまいんじゃないか?」などという淡い期待が味のハードルをどんどんあげてきた。
んー?
古賀「あ、すっぱい。これスープ自体がけっこうすっぱいですね……餅と一緒にたべると、餅が意外と強情で餅とスープを別々に食べてるみたい」
思ったほどではない……。トマトの味も餅の味もそれぞれ自己主張がありすぎて別々に食べてるような感じがする。
ここで宮城さんが胡椒を投入してみると言い出した。
ブラックペッパーをかけてみる
一手間感出た
宮城「うーん、さっきよりかは歩み寄った感じは出たけど、そんなでもないかなあ」
胡椒は、いくらかは味の触媒として機能したようだけど、完全に結びつけるというほどでもないらしい。胡椒の援護射撃弱すぎた。
スープも餅もうまさの個性がありすぎて、あまりうまく合わさらなかった。晩年の藤子不二雄みたいにそれぞれ別の道に進んだほうがいいかもしれない。
しるこのような見た目とは裏腹にわりとすっぱい
雑煮オススメ度……★★☆☆☆ 2点
※自己主張が強すぎたのか、餅に合わず今ひとつ
続いてはお茶漬けだ。
永谷園の松茸のお吸い物を使ったインスタント雑煮を作るテレビCMは見たことあるけれど、永谷園の本丸である「お茶漬け」でも十分うまい雑煮ができるのではないか?
これお得です!
永谷園のお茶漬けはノーマルのやつ、鮭茶漬け、わさび茶漬、梅干し茶漬けなど、幾つか種類がある。
今回、梅干し茶漬けにしたのは、梅の風味が餅に合うんじゃないかと思ったからだ。果たしてその目論みは吉と出るか凶とでるか。
なんだか新鮮なビジュアルのお茶漬け
海苔やあられの存在が華やかさを演出
見た目の良さは今までで一番ではないだろうか? 海苔やあられの存在が餅に華やかさを添える。
安心のおいしさ
宮城「海苔とかあられがあって、お餅が安心している感じがしてますね……これはすごい、なんの言うこともない、うまい、お雑煮に飽きてきたときのちょっとした変化と思えば」
普通の光景
古賀「ほらこれ、餅に相性抜群の海苔ですよ、うーん、うまい、なんの変わったところもない安心のうまさですね」
あまりにも「普通に」うまくてツッコむ隙がない。「キリンの首が長い」ぐらい普通すぎてツッコむ隙がない。
永谷園のお茶漬けで雑煮は、既にやっている人が全国に何人もいるかもしれない。味は文句なしのうまさなのだけど「普通」すぎて面白みがあまりないのが難点である。
雑煮これでいいや
雑煮オススメ度……★★★★☆ 4点
※味は満点なのだけど、今ひとつ面白みに欠けるのでマイナス1とした。
続いては韓国料理ユッケジャンの素で試してみたい。これは古賀さんが一番期待していたものだ。なぜなら、スープに温かいご飯を混ぜてクッパにして食べることも可能。などと謳われてるからだ。
ご飯投入推奨
ご飯を入れておいしいのであれば、餅だってそうだろう。だってどっちもお米だもの。
たまらないのか
古賀「わ、おいし…辛い! けっこう辛い! 辛いけどおいしい! やっぱサラサラしてる方が餅に合いますね!」
宮城「今のところ、これが一番好きです」
西村「辛い、辛いけどたしかにうまい……雑煮のだしの効いた柔らかいうまさじゃなくて、けっこうパンチ力のあるうまさだけどうまい。辛いけどうまい。」
ぼくにはちょっと辛かった……
宮城さん、古賀さんは今までで一番これがいいという。強い辛味も、餅がしっかり受け止めていて、なかなかよい塩梅だ。ただ辛いのが苦手な人とそうでない人で好き嫌いが分かれそうだ。
戦国武将の人気に例えると、おしなべて評価は良いのだけど、好き嫌いで人気がはっきり別れる織田信長といったところか?
見た目は韓国のそういう料理のように見える
雑煮オススメ度……★★★★☆ 4点
※辛味が苦手な人とそうでない人で好き嫌いが分かれそう
次は韓国料理で使う「カムチミ」という牛肉だしで雑煮を食べてみたい。
量が多いので一袋の半分使った
韓国風牛肉のスープの素だ。韓国料理でももちろん餅は使うだろうし、トックという韓国の餅が入ったスープも実際にあるらしい。これがまずいわけは無いはずだ。
スープと餅だけのシンプルな雑煮
と、ここであることに気づいた、これってさっき食べた「ビーフコンソメ」と成分がほぼ一緒じゃないのか? ということだ。
たしかに、牛肉エキスと野菜のだしということはそのまんまビーフコンソメだ。うーむ、まさに後の祭り。しかし、ここは洋風と韓国風の牛肉スープに差があるのかを確かめてみたい。
古賀「ん?ビーフコンソメと同じ? でもちょっと野菜感はある。餅も合う、トマトスープやコーンクリームみたいなトロッとしたスープよりも、こういうさらさらしたスープの方が餅には合いますね」
宮城「スープおいしいですけど、ビーフコンソメとそんなにかわんないですね」
やはり、ビーフコンソメとそんなに変わらなかった……。若干こちらの方が野菜っぽい風味がする気がするけれど、気のせいかもしれない。
ただ、味は文句なくうまかった。とろみのあるスープより、さらさらスープの方が餅には合いやすいということを認識できたのは大きな収穫だった。
牛肉だし=ビーフコンソメ
雑煮オススメ度……★★★★☆ 4点
※ビーフコンソメとそんなに変わらないおいしさ。お好みでどうぞ。
粉末じゃなかった
これ、買ってから気づいたのだけど(今回、そんなのが多いけれど……)封を開けたら粉末じゃなく、ペーストだった。
自分で決めたルール「粉末スープに限る」を軽やかに無視してしまったのだけど、まあ、1個ぐらいペーストが混じっててもいいよな。と思ったのでこれでもOKということにする。
トムヤムクンっぽいオレンジ色の油だ!
古賀「あートムヤムクンだ。これだけでトムヤムクンになるんだ! これあうんじゃないですか? おいしいです」
宮城「もともと(米が原料の)ビーフンを入れるんだから、違和感はないですね」
たしかに、餅とトムヤムクンと言われると、意外に思うかもしれないけれど、ビーフンを入れて食べることを思い出せばそんなに違和感はない。むしろおいしい。
これは、歴史上の人物に例えると、シャム王国(今のタイ)で王様になった山田長政といったところだろうか。あ、今ちょっと上手いこと言えたようなきがする。
絶妙な酸味と辛味
雑煮オススメ度……★★★★☆ 4点
※ペースト状なので調理がいささか面倒だけれど、トムヤムクン好きならおすすめ
ここからはスイーツ部門だ。甘いやつどんどんいきます。
まず最初は抹茶ミルク。
あの辻利の抹茶ミルク
ぼくの実家がある鳥取や島根の一部では「雑煮」といえば甘い「おしるこ」の事だった。正月におばあちゃんに「雑煮作って」と頼むと、「おしるこ」が出てきていた。雑煮や世の中が甘くないものだというのはずいぶんおとなになってから認識した。
そんなわけで、甘い雑煮があってもおかしくないはず。ということでのエントリーとなった。
見た目はちょっと毒々しい感じもする
おいしー
うまい
古賀「あー!おいしー! あーお湯少なめに作ればよかった! でもおいしい!」
宮城「ぼく、これ1番いいです、これ最高」
西村「これはいい! 完全にデザートですねこれ!」
来ました、三人とも大絶賛! 宮城さんは暫定一位だった「ユッケジャン」を抜き去り、これが1番になった。
抹茶ミルクの緑色は、当初「毒々しい」なんて思っていたけれど、実際に食べておいしいということがわかると、なんだかうまそうな色に見えてくるから人の感覚とは実に節操がない。
今となってはうまそうな色だ!
雑煮オススメ度……★★★★★ 5点
※3人とも大絶賛だったので満点です。うまいスイーツでした!
続いては駄菓子屋で売ってるジュースの素。
これはソーダ、コーラ、いちごの三種類を試したのだけど、代表してソーダの味をお知らせしたいと思う。
怪しい雰囲気が漂う
そもそも、いちご大福やおしるこ等甘い汁にも餅は合うはずということでエントリーしたのだ。しかし、ジュースの粉を水に溶いていく時点で暗雲はたれこめてきた。
ソーダだから泡がパチパチしている
駄菓子といえども、ソーダの発泡。泡がパチパチしているところまでちゃんと再現しているのはすごいと思う。ただ、この発泡は餅と合わせて食べる際にはあまり必要のない要素だ。
ちょっぴりショッキングなビジュアル……
ジュースの味の懐かしさに笑が溢れる
古賀「うわー、懐かしい味だ……駄菓子屋のジュースの味……そして餅が一切合わねー……」
宮城「うーん、餅をちっちゃくして入ってれば悪くないのかな……」
西村「これ、あの求肥の餅、あれの感じに近いかもしれない……けれど、すごい苦味が出てきた! なんだこれ!」
一口飲んださいの感想が「懐かしい」。美味い不味いではなく、ノスタルジー。
しかも、食べているうちに餅から苦味が出てきた。餅に苦味があったなんてちょっとした驚きだった。
いずれにしろ、抹茶ミルクの絶賛ぶりとは天と地の差がある駄菓子のジュースだった。
このあと、イチゴジュース、コーラと試したけれど、どれも必ず最後に餅から「苦味」が出てくる。
正直に言うと、どれもオススメできない味だった。
悪いことしてるなー
雑煮オススメ度……☠ฺ
※あまりおすすめしません! 苦いから!
駄菓子ジュースの大敗北を受けて、せめて最後はおいしそうなもので〆たい。
ということで、最後の餅はキャラメルミルクティーで食べてみたいと思う。
高級紅茶ブランド
さっきの抹茶ミルクの教訓(濃い目の方がおいしいかもしれない)をうけて、少なめのお湯で作る。
「駄」じゃない本気の味
古賀「うわー、これおしるこそのままの味だ! 目つぶってたべると完全におしるこですよこれ!」
宮城「餅のお陰で紅茶っぽさがなくなりますね、おいしいです」
西村「餅があると、キャラメルの風味が引き立ちますねー」
キャラメルミルクティーは概ね好評のようだ。ただ、抹茶ミルクに比べると、僅差で抹茶ミルクの方に軍配があがるか? という感じだ。
おしるこの味がした
雑煮オススメ度……★★★★☆ 4点
※僅差で抹茶ミルクの方がよい。でもおいしい。
駄菓子以外の大外れはなかった。
以上、約10種類のお雑煮を食べてきた。ここで結果をひと通りまとめてみたい。
ほぼどのスープもうまい、ということがわかった。
駄菓子のジュースはもともと餅を入れて食べることを想定していないものなので、ドクロマークも仕方が無いかもしれない。
ちなみに、ここで試食した三人のマイベストを挙げてもらった。
古賀……1位・トムヤムクン/2位・ユッケジャン
宮城……1位・抹茶ミルク/2位・ユッケジャン
西村……1位・お茶漬け/2位・抹茶ミルク
抹茶ミルクのおいしさはちょっと新鮮ではあった。ただ、抹茶アイスを白玉と一緒にたべるようなこともあるわけだから、うまいのもうなずける。
正月の切り餅が残っている方はぜひやってみていただきたい。餅は大抵のスープには合います!