7年越しの夢、叶えるために…
7年くらい前に「リアルslコマンド」というのを作った。
パソコンで「sl」と打つとプラレールが走るというものだ。
作ってみて、おもちゃの改造が面白いことがわかった。子どものころに遊んだ記憶と違う動きや操作をするのが楽しかったのだ。
このときから野球盤を改造したいと思っていた。
ネット対戦出来るようにして、日米対決なんてしてみたらすごい素敵だと思いませんか。
ということでこれは7年越しの夢である。
早速実現するために野球盤を買おう。
買った。でかい。
買ったのは「野球盤 3Dエース スタンダード」だ。
普通のがいいなと思って「スタンダード」と名前に付いているのを買った。
ちなみにもうひとつは「野球盤 3Dエース モンスターコントロール」である。
こちらは名前にモンスターが入っているし電光掲示板が付いてくるようだ。
進化がすごすぎやしないか。
スタンダードでも投球が宙を飛ぶ「3Dピッチング」機能が搭載されている。
レバーを動かしてピッチング・バッティングをするというのは初代から続いている基本機能だが、小学生がよだれを垂らしそうなかっこいい機能がたくさん搭載されるようになっていた。
野球盤をバラしてみる
まずは野球盤の仕組みを見てみよう。
人形を全部セットしてみる。かっこいい!
ピッチャーの裏側を開けてみる。
まっすぐ伸びている棒のうち、左が投球用、右が魔球用だ。
バネが入っていて、レバーを引いて離すと球を打ち出す。
ゴムパチンコと同じ仕組み。シンプルだ。
続いてバッターの裏側をオープン。
ピッチャーよりも強めのバネとギヤが入っている。
バネを引くことでバットを振る力を生むわけだが、ギヤをかませることでレバーの直線的な動きを回転する動きに変換しているのだ。
赤矢印の方向にレバーを引くと、青矢印のように回転する。なるほどー。
ちなみにここは魔球用の棒とつながっていて、レバーを引くと重力で板が下がるようになっている。
シンプルながら必要十分な作りだ。
電池のいらないおもちゃの機構は本当に面白い。
さてこれを改造していこう。
改造しよう、野球盤
モーターで野球盤を操作するようにしてみよう。
まずはピッチャー側からやってみよう。こんな風にモーターを取り付けた。

レバーを引っ張った状態でモーターの先に引っかけておいて、動かすとレバーが戻って球が投げられるという仕組みだ。
また、左の落ちる魔球用のレバーにもモーターを取り付けた。
野球盤といえば魔球である。これも操作出来るようにしておいた方がいいだろう。
一方バッター側だが、バネがピッチャーよりも強い。モーターへの負担が大きそうだ。
さっきも書いた通り、ギヤを使ってレバーの直線運動をバッターの回転運動に変換している。
だが、モーターは回転運動なのでギヤを取り払って直結させれば効率が良くならないか。
ということでギヤとつながる部分を切る。
ホットナイフで切ると、吸ったら体に悪そうな甘い匂いが漂った。うえー。
こんな感じでモーターにくっつける。
元の場所に付ける。余談だがお酒を飲んだあとにこの姿勢で作業したらめちゃくちゃ気持ち悪くなった。気を付けよう。
野球盤の裏側にモーターが生えた。
バッターの人形を刺すと見た目は元通り。ただしレバーとは連動しなくなっていて、この下にあるモーターがバットを振らせるのだ。
野球盤の改造が出来た。あとはインターネット対戦出来るようにプログラムをちょろちょろ書く。
イメージ図です。
ピッチャーとバッター、それぞれを操作するスマホを用意する。
画面に出ているボタンを押すと、インターネットの向こう側にあるサーバーに指示が送られて、さらに野球盤を操作するパソコンに送られて、投げたり打ったりするのだ。
ピッチャー側の画面。
さてこれで操作してみよう。ご覧ください。

動いた!
ずっとやりたかったモノが出来て、夜中にひとり感動である。
これで地球の裏側とでも対戦が出来るのだ。
しかしボタンを押してから一呼吸おいてから投げたり打ったりしている。
インターネットを挟んだことで時間がかかるようになっている。
対戦がめちゃくちゃ難しくなっているのではという不安があるが、せっかくなのでみんなで遊んでみよう。
野球盤で遊ぼう
当サイトライターの北向さん、ネッシーさん、三土さんに遊んでもらった。
隣でイベントをやっていたので小声でひっそり遊んでいます。
説明したら「おー」というリアクションがもらえて嬉しい。
実際にスマホをそれぞれ持って遊んでみる。

タイミングを合わせるのがめちゃくちゃ難しい!!
何回か試しても全然タイミングが合わないので、「せーの」でお互いのボタンを押すようになっている。声掛け野球盤だ。
それでもバッターが先にバットを振ってしまい爆笑になる。完全に運のゲームだ。
バットに当たるのが奇跡なので、ファールになっても嬉しい。
ネット対戦の利点を活かして離れて操作してみる。さらにタイミングが合わせづらくなるので、本当に利点なのかはわからない。
レバーに触れなくていいので、ピッチングの動きの流れでボタンを押すことも出来る。ちなみにタイミングを合わせるのはさらに無理になります。
バッター側も打つフリでボタンを押す。熱が入って後ろのネッシーさんも打つ構えをしているな。
このあと野球盤のルールにのっとって1イニング限定で対戦してみた。
結果はもちろん全員三振である。とんでもない投手有利のゲームが誕生してしまった。
1回の表と裏だけ、お互いヒット0本スコア0点というあまり見ないタイプのスコアボードになった。
みんな楽しそうだからいいか。
夢が叶いました
運が支配するゲームになったが、7年越しの夢のマシーンが出来て感激だ。
サーバーは日本国内にあるのを使って対戦したが、そのあとアメリカにあるサーバーでも試してみたら、ボタンを押してから実際にバッターのところに球が行くまで5秒くらいかかった。
これでは遊ぶのはいよいよ無理である。だが、太平洋を横断してのこのタイムであることを忘れてはいけない。
東京からアメリカのウェストバージニア州までは大体10,000kmだ。
それを5秒で往復するのだから、球速は14,400,000km/h。マッハ11,764だ。
大谷投手をはるかに上回る豪腕投手が爆誕した。