やたらこわい、デスロール
デスロール。すごい名前だ。
ワニが獲物をくわえながら体を回転することで、食べやすいサイズにする習性のことをいう。
説明する文章だけでもこわい。YouTubeで「
ワニ デスロール」と検索するとその模様を撮影した動画がたくさん出てくる。
僕は動画のタイトルだけでふるえて閉じた。小学生のころ、「どうぶつ奇想天外!」という番組でサバンナの厳しさを伝える内容になった瞬間にチャンネルを変えていたのを思い出した。
そして一方、このおもちゃである。
「スーパーイタイワニー」である。
お前、こんな名前だったのか。なぜかワニワニパニックと混同してしまっていた。
やったことのない方がいるかもしれないので説明すると、ワニの口を開けて並んでいる歯を順々に押していくのだ。
その中に一つだけ当たりの歯があり、それを押すと上あごが勢いよく落ちてきてガブッとやられるのである。
「運が悪いとガブッ!イタイワニー!」
イタイワニーどころではない。それもう栄養分として取り込まれるやつだろう。
ワニに噛まれることに対してもうちょっと緊張感を持った方がいいのではないか。
当たりの歯を押すとデスロールするように改造してみた。
ガブッ!グルングルン!
デカい音を立てて勢いよく回るようになった。思わず笑ってしまうほどの動きである。
シャッタースピードを調整したら、もはやワニなのかわからなくなった。
実際にやってみると緊迫感がすごい。あと動きが激しいので、反射的にビクッとなる。
スリル満点になったので大満足である。
作ろう、デスロール
デスロール機能付きスーパーイタイワニーの仕組みはシンプルだ。
当たりの歯が押されたら、首の後ろに取り付けたモーターを回せばいいのである。
こんな感じでモーターを付けた。サイボーグワニである。
ワニの体重が全部モーターの回転軸にかかるので、負荷を減らすために今回は遊星ギアボックスを使った。
普通のギアボックスと違って、遊星ギアはモーターの回転軸とギアをかませた実際の回転軸が同じ場所になるのだ。
「負荷を減らすために」と書いたが、なんとなくバランスが良さそうなのでこれを選んだ。計算なんてしていないので実は全然関係ないかもしれない。その場合はそっとしておいてほしい。
上が普通のギアボックスで、下が遊星ギアボックス。モーターと出力の軸の位置が違うのがわかるだろうか。
遊星ギアボックスは組み立てるとその構造のきれいさに「考えた人あたまいい…!天才…!」となって気持ちが良い。
年度末の息抜きにみんな組み立ててみるといいと思う。
このギアのパーツが一種のモジュールになっていて、どんどんつなげていくとパワーが上がるのだ。あたまいい~!!
ところでなんといっても問題なのは「どうやって当たりの歯が押されたか」を知る方法だ。
それを知るためにワニを分解したのだが、構造がなんともかっこよかったので紹介したい。
ということでバラバラに。
中にバネが入っていて早速外れてしまい、壊した…と悲しい気持ちになった。力を込めたら元通りになったので指先を鍛えたい。
要の部分はワニの下あごのパーツだ。
さらに分解出来そうだったが本格的に壊しそうだったのでやめました。
ワニの上あごを開くと右側の白いパーツが回転して、バネを縮める。そして左側の緑の輪っかになっているパーツを押すとガチャン!と閉まるのだ。
これ、めちゃめちゃ良く出来てません?
1000円ちょっとのおもちゃでも機構はしっかりしていて、これだけで遊んでも楽しい。
いつも適当に作っているので、きれいな動きに感動した。おもちゃはすごい。
ちなみに歯の部分の裏側はこうなっている。下あごの輪っかにある白いパーツを押してしまうとあごが閉じるのだ。
ただ良く出来ているのでこちら側に何か仕込む余地がなかった。黒ひげ危機一発は樽の中の空洞が多かったので色々仕込めたが、こちらはパーツが詰まっている。
仕方がないので上あごの後ろにスイッチを付けた。
上あごが開いているときはスイッチオン、閉じたらスイッチオフになる。
余計にサイボーグ感が増してしまった。
スーパーイタイワニーのライバル、サイボーグイタイワニーの誕生だ。ゴジラ対メカゴジラみたいに対戦出来るようになってほしい。
有名なのか、デスロール
ワニのおもちゃを改造したいんですよね…と企画会議で相談したら、ワニはデスロールするんで取り入れたらどうですかと提案してもらった結果生まれたのがこのサイボーグイタイワニーだ。
それまでデスロールというのは知らなかったのだが、友人に聞いたところ大体知っていて置いていかれた気持ちになった。
そんなに有名なのか、デスロール。
みんなどこで知ったのだろうか。僕の周りの人はみんなワニ博士なのかもしれない。