屋久島の砂鉄
鹿児島県に屋久島という島がある。島の多くが森林で、屋久杉は誰もが知る存在だ。お隣には種子島宇宙センターで有名な種子島もある。古くは屋久島も種子島も種子島氏の領土だった。
屋久島に来たら、人は何をするだろうか。おそらく屋久杉を見に行くと思う。屋久杉は有名ですから、屋久杉を見ないという選択肢はないはずだ。でも、と思うのだ。屋久島は屋久杉だけではない、と。
そんなことを言いつつも、私も屋久杉を見に行った。立派だった。大きかった。江戸時代はお米の量で価値をはかる「石高制」だったけれど、屋久島では「平木制」だったそうだ。平木は屋久杉を使った屋根用の板材で、100枚で1束として、何束何十枚と数えていたらしい。
屋久島の海辺を歩いていると、海の向こうに種子島が見えた。種子島も誰もがご存知の存在。火縄銃が伝来した島だ。その火縄銃は種子島の砂鉄で作られた。砂鉄を採取できたことにより、国産火縄銃の製造に成功したわけだ。
実は屋久島も砂鉄を採取できる。種子島の砂鉄も、屋久島の砂鉄も、鬼界カルデラから噴出した幸屋火砕流に由来する。つまり火縄銃が作られた砂鉄も、屋久島の砂鉄も同じなのだ。ということで、屋久島で砂鉄を採取することにした。国産火縄銃と同じ砂鉄。採取したいに決まっている。
砂鉄を採取する
種子島の見える屋久島の砂浜にやってきた。この場所を選んだのは、砂浜が黒かったからだ。黒い理由は砂鉄のはず。ちなみに屋久島の全ての砂浜が黒いわけではなく、白い砂の砂浜も存在する。
磁石を近づけてみると、渋谷のスクランブル交差点の人々以上に砂鉄を採取できた。火縄銃の伝来が屋久島であれば、この砂鉄で火縄銃が作られたはずだ。現実はお隣の種子島に伝来したけれど、先にも書いたように、砂鉄の由来は一緒。つまりこの砂鉄は火縄銃の砂鉄と同じなのだ。そう考えるとより嬉しく感じた。
屋久杉を見に行くと、周りには多くの観光客がいた。広いので、ギュウギュウということはないのだけれど、人はいた。しかし、砂鉄は人がいない。あの種子島と同じ由来の砂鉄だけれど、全然人がいないのだ。火縄銃を作った砂鉄ですよ、と思うのだけれど、砂鉄は人気がないらしい。種子島では人気かもしれない、行ったことないけど。
砂鉄を取るなんて、小学生の時以来な気がする。懐かしさを感じる。そして、楽しい。近づける度に取れるので、もっと取りたい、という欲求はだんだんなくなった。なんなら終わり時がわからない感じ。無限に取れるから。
砂鉄から作った鉄鋼はチタンを含んで錆びにくいらしい。そのため船釘などに加工された。ちなみに屋久島は世界自然遺産なので、砂鉄を持ち帰っていいか謎だったため、観光協会に行き確認した。私が採取した場所は問題なかった。


