設計演習A展が2026年も開催された
早稲田の設計演習A展が今年も開催された。2011年から、ほぼ毎年通っている。

今年も会場は、オープンキャンパス中の早稲田大学である。大勢の高校生と保護者と思われる人が来ていた。

会場は右側の矢印のところ。この場所も毎年同じだ。

なかはこんなふうだ。ではさっそく見てみよう。
あなたまのまちの「聖なる場所」
この授業にはいろんな課題があるのだが、今年はそのなかでも「あなたのまちの聖なる場所」という課題の作品に心を打たれた。まずはこれから紹介したい。

矢口哲也教授による『あなたのまちの「聖なる場所」』という課題。
『「聖なる場所」はまちの背骨になるような、大切な場所です。「聖なる場所」を発見してきてください』
お寺や神社に限らず、あなたの街で人々に大切されている場所を発見してくださいという課題だ。
出身の小学校の近くの公園だそうだ。A公園、B公園、C公園の3つがあるが、なぜか小学生は必ず土管のあるB公園に集まるという。
『理由を説明できなくても、身体が覚えているようにここに来てしまう。』
「B公」というタイトルがいい。説明が省略されているが、子どもたちが公園をそう呼ぶのだろうということがありありと分かる。「B公いこうぜ」みたいな口調まで想像できる。
三菱重工の社宅とスイミングセンターに挟まれた狭い道。行き止まりになっていて車が来ないので、こどもたちがボール遊びや練習をしたりするという。
『ここは今も昔も母校 仰高小学校の生徒たちの遊び場となっている』
この道、じつはぼくもよく知っている。ここで書かれている巣鴨の仰高小学校は、息子の通っていた学校だ。同級生に平賀くんという名前の子もいた。学年が違うのでもしかしたらお兄さんなのかもしれない。

近所なので写真を撮ってきた。こんなふうに車止めがあるので、通過する車がいない。だからこどもたちは安心してここで遊ぶことができる。親子でキャッチボールをしているような姿をよく見かけた。
団地が大雨に見舞われた際の排水地としてつくられた、凹んだ場所。こどもたちが遊びに使うようになり、床材がレンガからクッション性のあるものに置き換えられたという。階段の幅にばらつきがあるため、鬼ごっこなどの遊びの質にも影響を与えていると書かれている。
『友達と遊ぶ約束をするとき、決まり文句みたいに誰かが言う。「へっこん集合で」。(中略)特別な遊具があるわけでもないこの場所に、なぜ私たちは吸い寄せられるように集まっていたのだろう。』
自然と集まるような魅力のある場所は、確かに聖なる場所だろう。
横浜の都筑区というところにある駄菓子屋だという。
『この場所は、何か特別なことがなくても立ち寄れる場所だった。(中略)「さかえやいこうよ」という言葉は、行き先を示すだけではなく、遊びが始まる合図でもあった。』
さかえやいこうよ、という言葉だけでもう胸にくるものがある。駄菓子屋はこどもと店主との距離が近い。チェーン店とちがって、用もないのにそこに居るということができる。
冬の店内はビニールシートで保温されていて、寒い日には温まるために自然と吸い寄せられたという。そういうディテールがいい。大人になると「駄菓子屋ってなんかいいよね」という概念で捉えてしまったりするが、子どもはそうではない。暖かいし友達がいるし駄菓子も食べれるから行くのだ。
都市のリズムを採集
つづいて「都市のリズムを採集」という課題。
「街の中にあるものに、リズムを見つけ出して、それを各自の創意によって可視化しなさい。」(出題:中谷礼仁教授)
問題文だけだとなんのこっちゃと思うかもしれないが、作品をみるとなるほどと思う。
エレベーターのカゴ内のボタンだろう。階数によって、かすれかたに差がある。
マンションのエレベーターだとするとどの階も同じだけ住んでいるはずで妙だなと思ったが、B1があるということは商業施設か公共施設だろうか。2階に図書館があって人気だったりして。
これはよくわかる。
踏切の警報灯(ピカピカ)と警報音(カンカン)が微妙に同期してないやつだ。音と光が少しづつずれていき、この踏切の場合は10回光る間に13回音が鳴る。
このずれに妙なグルーブ感があって、見ていると気持ち悪さと気持ちよさの両方がある。左手で10回叩く間に右手で13回叩くような感じだ。難しいけど、できたら気持ちいい。
これは「スーパーカップ」というアイスクリームをよく買う人なら分かると思うが、そうでない人のために一つ買ってきた。
シールの高さに張り付いた部分と、それよりも低くなった部分に分かれている。そのパターンだ。
こういうしてみるといろんなパターンがある。よう気づくなという感じだ。作者によると、流通の過程で一部が溶けたりまた固まったりすることでこういうパターンになるのではないかと想像しているとのことだった。
車両向けの交通信号機だ。右折、左折用の表示があったりして確かにいろんなパターンがある。面白いのは、それをポケモン的な「進化」に見立てていることだ。
もちろん、ふつうの意味で進化と言える面はある。必要に応じて機能が追加されることで、結果としてさまざまなパターンが生まれた。それは信号機としての進化だろう。
ただしここでは、「ぽこっ」「どん!」のような効果音と矢印によって、まるで一体のポケモンがその場で「進化」するときのような発想をしているのが面白いと思う。
(唐突に)会場から聞こえてきた声のコーナー
「結局さー、用語集をほぼ全部おぼえないと日本史取れない」
(男子二人組)
「AO対策ってどんなことをしましたか?」
(女子と保護者)



