石を見分けられるとこんなにかっこいい
石材が分かるってどういうことだろう。それにはやっぱり、花や木との比較で考えるのが分かりやすいかもしれない。
たとえば冬の朝、駅への道すがらこんな花を見かけたとする。

「ミモザが咲いてるってことは、春ももうすぐだな(※1)」
そう思えるのが、ミモザを知ってる場合。知らない場合はなんか黄色い花だなと思って通りすぎるだけだろう。知ると知らないで、見える景色が変わるのだ。
(※1:ミモザはイタリアでは春を呼ぶ花として知られる)
対して、石を知ってる場合はこうだ。冬の朝、駅ビルの入り口で、こんな柱を見かけたとしよう。

「ペルリーノロザートってことは、化石も見つかるかな(※2)」
そう思って近づくと、やはり。

こんな風に思えるのが、ペルリーノロザートという石材を知ってる場合だ。知らない場合はなんか茶色い壁だなと思って通りすぎるだけだろう。知ってるだけで人生はこんなにも豊かになる。
(※2:ペルリーノロザートはイタリア産の石灰岩。イタリアはむかし海の底だったことで知られる)
石のわかる男に会いに行った
石を見分けられるとこんなにかっこいい。ぼくにそう思わせたのはこの本です。

副題は「街の中の石材調べ」。なんてぐっとくるタイトルだろう。
内容を詳しく紹介することはできないけど、街でふだん見かけるビルの壁や床、家の塀や石垣や墓石とか、あらゆる石の特徴がカラー写真つきで解説されているのだ。

この本をめくっていると、もうあらゆる石を見分けることができるような気がしてくる。こんな素敵な本を書いた人のお話を直接聞いてみたい。ぼくがそんな風に思ったのは自然なことだったでしょう。
日本の中でも最強に石のわかる男といっても過言ではない著者の方。その方とは、神奈川県にある平塚市博物館の学芸員、森慎一さんです。


どうぞよろしくお願いします。