特集 2022年8月30日

USJの前だったら何をかぶっていても違和感ないんじゃないか

大阪にあるテーマパーク・USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の近くを歩いているとマリオの帽子とか、キノピオの帽子とか、そういうものをかぶっている人とすれ違う。

私はUSJに行ったことがないのだが、それを見るたびに「なんか楽しそうでいいな」と思う。テーマパークの周辺は、どんなに浮かれていようとOKな雰囲気があって好きだ。

USJの前でならまったく関係のないかぶりものをかぶっていても楽し気な雰囲気になるんじゃないだろうか。検証してみた。
 

大阪在住のフリーライター。酒場めぐりと平日昼間の散歩が趣味。1,000円以内で楽しめることはだいたい大好きです。テクノラップバンド「チミドロ」のリーダーとしても活動しています。(動画インタビュー)

前の記事:フェスみたいに鹿が集まる「鹿だまり」を見てきた


USJのまわりはかぶりものフリーエリア

私は大阪のJR西九条駅をよく利用する。この駅、大阪市内をぐるっとまわる大阪環状線という路線の駅であり、かつ、USJのあるユニバーサルシティ駅への乗り換え駅にもなっている。

だから、夜にホームを歩いていると色々なかぶりものをかぶっている人を見かける。USJには「スーパー・ニンテンドー・ワールド」という、スーパーマリオブラザーズシリーズの世界観をベースにしたエリアがあって人気だ。そこに行ってきたと思われる楽し気な人たちがマリオやルイージの帽子、キノピオやヨッシーの帽子などをかぶって駅を歩いている。

私はUSJのパーク内にまだ入ったことがないのだが(周辺を歩いたことだけはある)、みんながかぶっている帽子がすごくうらやましくなる。いや、同じ物が欲しいというより、ああいう目立つかぶりものを頭に乗せて歩ける気分がうらやましいのである。

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USJの入り口周辺の賑やかな雰囲気
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こんな感じの帽子がグッズショップに並ぶ

そしてふと思った。USJの入り口あたりにはかなり開放的な雰囲気が漂っており、どんなに関係のないかぶりものをかぶっていようが、そんなに違和感が無いんじゃないか!?と。

USJに持っていくかぶりものを調達する

検証するために、かぶりものを用意する必要がある。タイミングよく最近、チャッピー岡本さんという、オリジナルのかぶりものを製作している作家の方と知り合った。お知恵(というかかぶりもの)を借りるべく、奈良県にあるチャッピー岡本さんの事務所を訪ねた。

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「カブリモノ作家」のチャッピー岡本さん

チャッピー岡本さんはデザイナーとしての会社勤めを経て「カブリモノ作家」として活動を始めた方で、様々なメディアにも登場してきた、いわばその道のプロである。

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事務所には様々な作品が並んでいる

チャッピー岡本さんの作るかぶりものは幅広く、一枚の紙でできたもの、ウレタンを素材にしたもの、ダンボールでできたもなど様々。特に紙製のものは大量生産に向いているため、企業からノベルティグッズとしての製作を依頼されたりすることも多いという。

ちなみに最近では顔出しNGのユーチューバーの方からオリジナル作品の製作を頼まれることが増えているらしい。そんなところにも時代の変化が影響しているのか。

また、チャッピー岡本さんは「強化ダンボール」という素材を使ったダンボール家具の製作も手掛けている。

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この椅子も机もダンボール製なんだとか。

さて、ここからはお借りしたかぶりものをUSJの入り口付近で実際にかぶってみつつ、チャッピー岡本さんの各作品への解説とともにご覧いただこう。

まずは「シカカチューシャ」で様子をうかがう

というわけでUSJ前にやってきた。チャッピー岡本さんからお借りした作品のほとんどは一点もので、作り直すにはかなりの労力がかかる貴重なものらしいので緊張する。

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細心の注意を払いつつ運んできました

もちろんのことだが入口付近はこれからパークに入場しようとする方々で割と混んでいたので、少し離れた場所へ移動。「USJと言えばこれ!」と私が個人的に思う地球儀のオブジェの前は案外ガラガラだった。

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人がいないタイミングを見計らいつつ、ここで試していくことにする

チャッピー岡本さんから借りてきた作品を試す前に、まず私が奈良に行ったついでに自分でなんの気なく買ってきた「シカカチューシャ」を装着してみることにした。

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こんなやつです
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商品名が「シカカチューシャ」

ご覧の通りそれほど派手なアイテムではないが、普段の自分だったらちょっと照れそうなものである。しかし、USJの前ではどうだろう。

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まったく違和感なし
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はい、楽しいー!

違和感を感じないし、そもそもでかい地球儀が背後にあるというだけでまったく恥ずかしくないから不思議である。

さて、いよいよチャッピー岡本さん作品をかぶってみよう。まずは割といけそうなものから。たとえばこれ。

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「カエル・バイザー」(画像提供:カブリモノ.com)

チャッピー岡本さんが「これヨッシーっぽいからいけそうですよね」と言って貸してくれたものである。

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全然いけます
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入場列をぼーっと眺めていても変じゃない(と思う)
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「私は今、USJに来ていまーす!」とロケ番組に登場しても変じゃない(と思う)

この「カエル・バイザー」は一枚のウレタン板から切り出されていて、かぶれば目玉がピョコッと立ち上がるようになっている。同じシリーズの「うざぎ・バイザー」も借りてきたが、こちらも全然余裕。

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景色に馴染んでいる

チャッピー岡本さんによる解説:この「うさぎ・バイザー」は皇室の愛子様もかぶった、宮内庁御用達の品なんです(笑)。夏休みに、皇室の御一家が那須の御用邸の近くの「那須どうぶつ王国」に避暑に来られた時があったんです。この「うさぎ・バイザー」は「那須どうぶつ王国」にも卸していたんですが、愛子様がそこでこれを手に取られて、実際にかぶられたそうなんですよ。

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チャッピー岡本さんの自慢の一品
いったん広告です

徐々にハードルを上げていく

次にこれはどうだろう。

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「第一次大極殿」のカブリモノ

チャッピー岡本さんによる解説:これは奈良の平城京の「第一次大極殿」という建物をモチーフにしたものなんです。2010年に「平城遷都1300年祭」というイベントが開催されて、そこで奈良の有名な寺社仏閣の建物や四神などをかぶりものにしてファッションショーをやったんです。そこで使った作品の一つですね。西陣織りを贅沢に使っています。

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はーい、これもいけます。
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チケット料金を眺めていてもまったくおかしくない(と思う)
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USJに行ってきました!とこのままインスタに投稿してしまいたい

ちょっと似たタイプだが、こっちはどうだ。

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顔まですっぽりかぶるタイプらしい

チャッピー岡本さんによる解説:これも同じ西陣織りを活かしたものなんですけど、ダンサーの方から注文があって、アメリカの砂漠の中でアートフェスが開催されるのでそこに参加したいと。それでこういうものを作ったんです。広げれば平らになるので持ち運びにも便利で喜ばれました。西陣織りをザクザク切って作りました。

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はい!こちらも違和感なし……か?
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「違和感」ってなんだったのかわからなくなってきている

次はこれだ。

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「目出タイ!」という作品だそうです

チャッピー岡本さんによる解説:これは私がカブリモノ作家になる前の作品です。友達の結婚式が大阪の「海遊館」という水族館で開かれたんです。そこにただ普通に出席しても面白くないと思って、これをかぶって出席したんですよ。それがめちゃくちゃウケたんですよ!その体験がカブリモノ作家になるきっかけになったんですよね。原体験というか。

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えーと、これでいいのかな?
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これで「USJに行ってきました!」は変だろうか。

だんだんわからなくなっていく

だいぶ感覚が揺らいできた。もはや正常なジャッジができていない気がする。

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こちらは「ミスター円」という作品。

チャッピー岡本さんによる解説:これは人間の欲望シリーズの一つなんですが、金銭欲を意味しています。性欲バージョンもありますよ。

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性欲の化身のカブリモノもあった

感覚が揺らいだ後の自分は「ミスター円」ぐらいであれば一切の照れもない。今ではむしろ何もかぶっていない状態の方に違和感を感じてしまうほどだ。

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USJは本当に最高だ!

いつかやってみたいと思いつつその機会が無かった「ジャンプ撮り」も平然とできるテンション。

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もうなんでも来い状態です。

と、もうすっかり羞恥心を忘れたところで今回の最後の作品。将棋の駒に挑戦してみよう。

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とはいえ、もうこれも……
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なんのためらいも感じずにかぶれるのだ!
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もう全然大丈夫!違和感なし!
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真顔で仕事の電話もできる。

チャッピー岡本さんによる解説:これはね、結婚式にレンタルする人が多いんです。新郎新婦さんがかぶって写真撮影に使ったりするようです。お笑い芸人の天竺鼠さんも同じようなものをかぶっているのもあって、人気ですね。もともとはお客さんから作って欲しいってリクエストがあったものなんんですが、好評でその後も要望があったので、レンタルも受け付けるようになりました。

と、このように徐々にハードルを上げていく作戦が功を奏したのか、最終的にはもうなんでもOKな気分になることができた。USJの楽し気な雰囲気と、チャッピー岡本さんのキュートな作品の相乗効果のおかげだろう。

撮影後、私はもう頭に何かを装着していないと落ち着かない気分になり、お借りした作品をチャッピー岡本さんの事務所に返しに行く途中も私物の「シカカチューシャ」を頭にセットしていたほどだった。

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もう全然恥ずかしくないのです

私は頭が大きいので帽子が似合わず、普段何かを頭に乗っけるということがほとんどない。浮かれた帽子の類に常に憧れを抱いていたのだが、今回その思いを一気に清算することができた気がする。

背中を押してくださったチャッピー岡本さん、ありがとうございました!

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チャッピー岡本さんの作品については、公式サイト「カブリモノ.com」をチェックしてみてください!

https://www.kaburimono.com/

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