なくなっていくものたち
都城市にやってきた。ここに「旧都城市民会館」というものがある。1964年の東京オリンピックの選手村食堂や江戸東京博物館を設計した菊竹清訓による建物で、2006年にDOCOMOMO JAPAN選定日本におけるモダン・ムーブメントの建築に選定されている。
市民会館とは思えないデザインだ。1966年に開館して、2007年に閉館している。知識がないのでわからないのだけれど、なかなかに思い切ったデザインのように感じる。耳の内部構造から発想されたものらしい。
ただこちらの建物は取り壊しが決まっている。決まっているというか、始まっている。閉鎖後は南九州大学に貸与される予定だったけれど、使われることはなく、2019年7月23日から取り壊し工事が始まり、2020年3月16日に終了予定だ。急がねば、見ることができなくなる。
宮崎競馬場
旧都城市民会館はなくなるものだけれど、すでになくなったものもある。それが「宮崎競馬場」。1907年に創設され、1943年まで開催され、その後は長い休止状態となり、1991年の競馬法改正により廃止された。
競馬場としては廃止されたけれど、JRA宮崎育成牧場として存在する。ここで馬の訓練や調教を行うのだ。そのための施設として今も機能し、一部は公園として解放されている。さらに1931年に建設された一等馬見所(スタンド)が保存されているのだ。
戦前に作られた競馬場の施設遺構としては、一般人が唯一近づける施設だった。今の競馬場のスタンドとは全然違い、味がある。趣がある。私は古い時代のものが好きなので、惚れ惚れしている。スペシャルウィークのダービー勝利に匹敵する感動だった。
ただ一等馬見所も解体が決まっている。8月上旬から工事は始まり、11月中頃に終わるそうだ。もう見られなくなってしまう。別に惜しい、という気持ちはない。形あるものはいつかなくなるから。だからこそ、いま見ることができて嬉しかった。
馬を見たいのです
一等馬見所を見たので、馬を見に行こうと思う。競走馬ではなく、野生の馬である「御崎馬」だ。日本の在来の馬で、縄文時代後期から弥生時代中期頃に中国から導入されたモンゴルの野生馬「モウコノウマ」がその起源と言われている。
御崎馬がいるのは都井岬。1697年に高鍋藩秋月家が藩営牧場を設営したのが御崎馬の始まりだ。都井岬では自由に馬が歩いている。野良猫のような感じで野良馬たちがいるのだ。野生の馬はなかなか見ることができないので貴重だ。
競走馬(サラブレッド)の体重は450キロくらい。御崎馬は300キロくらいだ。比べると小さいけれど、その辺を普通に歩いている動物としては十分に大きい。野良猫を見つけて「猫だ!」と興奮してカメラを向ける我らが、300キロの馬にテンションが上がらないはずがない。
自然にいるので死んで骨になることもあるし、糞も大量に落ちている。オスは溜め糞をしてマーキングするのだ。日本には8種の日本在来馬がいるけれど、御崎馬は唯一、国の天然記念物に指定されている。
その味はマキシマム
宮崎は馬もいるけれど、牛もいる。宮崎牛などが有名だ。もちろん高いので私にはまだ早い、という感じだけれど、スーパーに入り、そんな肉コーナーを見ていると必ず売っている調味料がある。ご当地調味料と言えばいいのだろうか。
胡椒ベースの調味料でカツオエキスや野菜の粉末などが入っている。これを炒めた肉にかければいいのだ。スーパーにはノーマルタイプが置いてあることが多いけれど、直売店に行くと、ゆず味やワサビ味もあった。
さらにマキシマムを使ったお菓子などもある。マキシマムハンバーグなどもあった。歴史も古く30年ほど前から売り出しているそうだ。これこそが宮崎の味と言ってもいいかもしれない。旅先で肉は炒められないので、ポップコーンを買った。
食べてみるとこれが美味しい。濃いのだ。私は濃い味こそ正義と考えている。マキシマムは濃かった。わかりやすく美味しかった。これ最高やないか、ということで、マキシマムを2本も買って帰った。これ、美味しいです。