特集 2026年8月28日

おれの推し美術館、鳥取の渡辺美術館を紹介

鳥取市にある『渡辺美術館』がいいという話をします。

よろしくお願い致します。

鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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THE SAMURAI Collection

鳥取市の市街地から砂丘に行く途中に、渡辺美術館という美術館があります。公立の博物館、美術館が多い鳥取県では珍しい私設の美術館で、規模もそこそこあります。

渡辺美術館
「SAMURAI」の文字

入口に「THE SAMURAI Collection」の旗が掲げてあります。どういうことなのか。

展示物を見てみるとわかります。

赤備えの甲冑だ
鎧兜!
うぉー
すごい量の甲冑!

ものすごい量の鎧兜というか、甲冑があります。常設展示で100領(甲冑の数え方は領というらしい)の甲冑が展示されているとのこと。だから入口ののぼり旗は「THE SAMURAI Collection」だったわけです。

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耳なし芳一みたいな写真が撮れる

記念写真が撮れる

甲冑が卒業アルバムみたいに並んでいる状況がもうすでにおかしい(右上に欠席者の鎧を入れたくなる)のですが、試しに記念写真を撮ってみます。

亡霊みたいになっちゃってるよ!
近すぎるよ!

ひとりで来ているうえに、三脚も忘れたのでこのありさまです。

はい撮れた

どうみても平家の落武者の亡霊に囲まれた耳なし芳一だ。このあと、耳を引きちぎられてしまうやつ。

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思い入れは人一倍あるぞ

渡辺美術館は、鳥取市の医師・渡辺元氏の古美術品コレクションを元に設立されました。入口にあったプレートがとってもいいです。

一目みて日本文化がわかる美術館

「日本文化とはこういう感じなのか」という外観が大づかみでわかる博物館というコンセプトがいい。そのうえ、スケッチ、写真撮影が自由という点が、もっといい。

美術館創設者の渡辺元先生

実は私、高校時代の一時期、渡辺美術館のまん前のアパートに母親が住んでいたことがあり、実家のある倉吉(鳥取市の50キロぐらい西にある)から毎週末この美術館に通っていました。いまから35年ぐらい前の話です。

当時は、スマホはおろか、デジカメさえもなく、せいぜい写ルンですがあるぐらいのものだったので、気になった展示物をメモ帳に一生懸命スケッチをしていたことを思い出しました。たしかアラブの短刀などをスケッチしていた記憶があります。

上京してからも鳥取に帰省すると、おりにふれて渡辺美術館には来ていました。

今から20年ぐらいまえの2005年に来たとき、このときはすでにデジカメを持っていたので、甲冑の前で一緒に来た妻と記念写真を撮っています。

2005年の記念写真。ひどい

みてくださいこの写真。ピンボケです。タップしても「高画質画像を読み込む」は出ません。

これ、当時買ったデジカメが初期不良で、撮影した写真がかなりの確率でピンボケになるという状態で、パソコンに取り込んでからボケてるかボケてないかわかるという凶悪な症状だったのです。
しかしながら、カメラの初期不良なのか、写真の腕前が下手くそなのかがよく分からず、結局1年ぐらい我慢して使い続けていたときの写真がこれです。

2005年の一時期、ぼくのとった写真はみんなこんな感じなんですが、最近は生成AIの発達が目覚ましく、こういったピンボケ写真も修正してもらえると聞いたので、修正してもらいました。

AIにピンボケを直してもらいました

え、マジで誰?

80年代にアジアを拠点に活躍したロック歌手みたいになっとるがな

後ろの甲冑の量が、当時と比べると今は増えているのはわかりましたが、おれは別人になってしまいました。ちなみに妻の顔も全然ちがいます。

⋯⋯と、AIで遊ぶのはこれぐらいにして、渡辺美術館を推していきたいと思います。

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甲冑もよく見ると歴史がある

さて、昔、ここに通って展示物をみていたころは「鎧兜かっこいいなあ」ぐらいの感じでしか見ていませんでしたが、大人になった今、解説文などをよく読んでよく観察すると、甲冑にも古いものと新しいものがあるのが分かってきました。

渡辺美術館の甲冑。すくなくとも展示してあるものに関してはほとんどが、当世具足とよばれるものです。

ほとんどが当世具足

当世というのは今風とか現代風という意味です。

室町時代、それまでの「馬に乗って弓を射る」という戦法から、槍などの武器が発達し、鉄砲が登場してきたため、戦闘のしかたが徒歩による集団戦法に移っていきました。

それに伴い鎧兜のつくりも大きく変わり、体の防護を重視したものから、動きやすさを重視したつくりに変わります。そんな時代に作られた甲冑が今風という意味で、当世具足と呼ばれるようになりました。

当世具足より一時代前の大鎧の展示

大鎧と当世具足は見た目がけっこう違うので、ぼくみたいな素人でも一目でその差がわかります。

まず、昔の大鎧の兜は、弓矢や刀で顔や首を狙われないために、吹返しという大きなガードがついていました。さらに、大袖(おおそで)という、両肩にかける盾の代わりになるような大きな防具も特徴的です。

大鎧、ゴツくてかっこいい

上の写真の大鎧は江戸時代に作られたものなので、そんなに古いものではなく、ややっこしいんですが、兜の大きな吹返しや大袖などの特徴がよくわかります。端的に言ってしまうと、五月人形で金太郎が着ているやつが大鎧ですね。

一方、機動性を重視した当世具足はこういう感じです。

当世具足、シュッとしてはるわー

兜の吹返しよりも、錣(しころ)の方が大きくなっており、首をガードできるようになっています。大袖も丸みを帯びて肩に密着するように作られ、動きやすそうです。

最初の写真も意味がわかる

そう思うと、最初に見た鎧の展示(上の写真)も、左から当世具足、大鎧、当世具足、大鎧。というふうに並べてあったのかな。ということが想像できます。

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兜の立物のクセが強い

兜の正面についている立物(たてもの)を観察してみます。

大鎧の兜だと、鍬形と呼ばれるU字の装飾がつく場合が多いのですが、当世具足は着用者の思想や信条を表したものが多くなっていき、個性がだんだん強くなっていきます。

ハリネズミ?

ヤマアラシでしょうか? 日本にいない動物ですが、江戸時代の人、意外と海外の動物情報に詳しいので、兜になっていても不思議ではないと思います。よーく見ると顔がちょっとかわいい。

うさぎ?

こちらは多分うさぎでしょう。俊敏さを表しているのでしょうか。

柏の葉っぱとシルクハットみたいな形の兜

柏の葉っぱでしょうか? 縁起物だからつけたのか、家紋が柏紋だったのかわかりませんが、冗談みたいなデカい葉っぱがついています。考えすぎてアタマから煙が吹き出している漫符ではない。

さらに兜部分は、竹の節だそうです。竹の節、確かにこんな感じだ。強くて硬いぞということを強調したいのでしょうか?

「八幡大菩薩」の文字が入るタイプ

「八幡大菩薩」の文字が入ったパターンもあります。文字の入った兜といえば、直江兼続の「愛」とか超有名ですが、武家の神様の八幡大菩薩というキャッチフレーズを入れるのはよくわかります。
アイドルオタクがうちわに「顔面国宝」とか書いちゃうのと同じことです。

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暴走気味になる兜の立物

かつて記録するものが何もなかった時代は、自分が戦場で挙げた戦功を証明するため、なるべく多くの人に目撃してもらう必要がありました。そのためには、別人と見間違えられないような、個性的な兜を被るのが手っ取り早い。

そんな兜が競うように作られるうちに、だんだん様子がおかしくなってきます。

小判

小判。

やっぱり、地獄の沙汰も金次第。お金ですよね、結局。

資本主義の萌芽はこの頃からあったわけです。
お金お金ってお金がすべてじゃないんだよ! とはいえ、お金は大好きです。という信条の表明だったのでしょうか。(たぶん違う)

人面です。「人面総髪兜」とあったので、鬼とか神様とかそういうわけではないようです。総髪(月代を剃ってない髪型)の人面です。

人の顔ってなにか神秘さがありますもんね、と思ったけれど、兜を被って面頬(めんぽお・頬と口周りを防護する武具)を付けると顔がわからなくなるから、頭に自分の顔を付けるみたいな考え方の可能性もあります。

マスクが流行ったときに、誰か分かりづらいという話があったけれど、帽子に自分の顔を貼り付ければよかったかもしれません。

野郎の頭

顔さえもなくなりました。髪だけです。しかも、野郎の髪です。(動物の毛だと思いますが)

髪の生えた兜

以前、髪の毛を植毛したヘルメットをつくったらノーヘルに見えるヘルメットが作れるなと妄想してましたが、すでに所ジョージとか、海外のアーティストがそんなヘルメットを作っていました。さすがだななんて思っていましたが、さらにその前からあったのです。江戸時代に。なんなんだ。

⏩ 甲冑だけではない

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