東京都のマークといえば。なに?
都道府県の旗や、マンホールの蓋などによく使われている紋章。公的な決まりがあるわけでなく、各都道府県でいろいろと扱いが違っていておもしろい。
一応、全都道府県に「紋章」と呼ばれているものはあるけれど、ほとんど使っていない兵庫県や愛媛県みたいなところもあれば、東京都のように、都章とシンボルマーク、都の旗をかっちり決めて使い分けているところも多い。
東京都の紋章はみなさんご存知だと思いますが、地図記号の灯台みたいなやつだ。
これは、東京都の例規で決まっている。
自治体の紋章は、コンパスと定規だけでも描き出せるよう、例規に描き方が詳しく書いてあるものが多い。デジタルデータでファイルを受け渡しできなかった昔はこうやって描き方を伝えていたわけだ。
この紋章が都の紋章に決まったのは昭和18年、1943年だ。その時の条文がこちら。
「皇都東京ノ雄渾ナル都風ヲ明快に象徴セルモノナリ」なんかよーわからんけど、とにかくすげーぞと言いたいのは伝わる。雄渾なんて、ふつう書を褒める時ぐらいにしか見かけないけど、言葉自体はかっこいい。
ちょっとおもしろいのが、その上の方に書いてある由来の部分だろうか。
この紋章、漢字の「日」「本」「東」「京」が全部入っているという。
言われてみれば、確かに、東京はわかる。日本もなのか?
一個づつ分解して、昔の篆書体(古代中国で使われた漢字の書体。現在も印鑑などに使われる)とかを見てみると、確かに「日本東京」全部入っているような気がする。
偶然なのか何なのかわからないけれど、本、東、京、どれも四隅から棒が飛び出している形になってるのがすごい。もしかして、四角号碼(漢字の四隅の形を数字で表す方法)だと本、東、京、は数字も同じになるのでは? と思って調べてみたけど。そんなに揃っているわけではなかった。
ちなみに、日のやつは、日本銀行のマークの元ネタだ。
東京都の都章を見て、タモリの安産のお守りを連想してしまう人は、己の想像力の下品さを反省していただきたい。
さて、このタモリの安産のお守りみたいな形の都章、実際どんなところにどんな風に使われているのか。
いちばんよく見かけるのはマンホールの蓋だろう。
下水の中に、東京都が入っている。
あと、ごみ焼却場の展示場にあった、昔のゴミ収集車にもしっかり東京都のマークが描いてあった。
あと、最近あまりだれも買わなくなっているけれど、都営地下鉄の切符をみてほしい。
目を凝らしてよーく見てみると、都章っぽい模様が……見えますよね! 実はこれ、東京都交通局の紋章、局章だ。
この昔のマーク。都バスや都電、地下鉄についてたのを見た記憶をお持ちの方も多いかもしれない。
実はこのマーク、もともと東京市電気局の局章で、東京市電の路面電車と、電力供給の事業を行っていた部署のマークだったものだ。
東京の電気局だから、東京を表す紋章の6つの棒をちょいとくねらせて電気を表現し、その外側を丸で囲って電車の車輪を表現したとされる。
電気局の電力供給の事業は戦時中に関東配電株式会社(後の東京電力)に移譲されたため、電気局には路面電車の事業だけが残った。電気局はその後、交通局と名前を変える、ただし、紋章はそのまま使われ、80年以上経った2026(令和8)年の切符の地紋に残っているというわけだ。
地紋をよーく見ると、東京都交通局の文字が読み取れる。


