手づくりは大変
ハロウィンに押されてやや下火気味のバレンタインデーやホワイトデー。バレンタインデーは、そもそも1950年代ぐらいからお菓子メーカーなどが仕掛けたことらしい。それが今も一応続いているというのはなかなかのものです。
かなり昔かと思いますが、ホワイトデーのお返しというと、飴やマシュマロと言われた頃がありました。今は割となんでもアリかと思います。3倍返しなんて言われた頃もありましたが、今はどうなのでしょうか?
そして、バレンタインデーで手作りチョコとなったとき「チョコを溶かして固めたただけで手作りチョコって、手づくりじゃねーじゃん」みたいな事を言う人がいます。溶かして固めるだけでも、テンパリングなど細かい技術が結構要ります。自分で作ってその大変さを知っていただきたい。
まして、カカオ豆からともなると、その手間はとんでも無い事になります。工業製品は素晴らしい。100円程度出せば滑らかで美味しい板チョコが食べられる現代社会最高です。
というわけで、飴を原材料からの手作りです。最後は「沢山美味しい飴が入った袋があんなに安く買えて工業サイコ―!」となるオチが見えていますが進めます。
飴を作るには水飴と砂糖と水を使います。水飴は砂糖を煮詰めたものと思っている方もいるかもしれませんが違います。材料はデンプンです。デンプンを糖化させて煮詰めた物が水飴になります。ここではもち米を麦芽で発酵させた麦飴を作ります。
麦飴の材料は麦芽ともち米と水。通常の米でも大丈夫です。作り方は甘酒に近い。糖化させる部分は大体同じです。煮たり蒸したりした米を適温(65度以下)まで冷やし、麦芽(甘酒の場合は麹)を入れて8時間ほど保温します。絞った汁を煮詰めれば完成です。
ジャガイモでもなんでもデンプンのあるものなら一応作れますが、味の保証はしません。普通に米とか麦とか芋で作るのがいいです。
3合ほどの米に水を2.5リットルほど入れて煮ていきます。途中、水気が少なくなるので合計3リットルほどの水を入れてもち米のおかゆをつくります。
おかゆの温度が65度以下になったら粉砕した麦芽を40~50g程入れてよく混ぜ合わせ、周りを毛布などで包んで保温します。以前、韓国の発酵飲料「シッケ」を作りましたが、それと大体同じです。麦芽を入手して粉砕しなくても、韓国食材店でヨッキムルを購入して作る事も出来ます。
保温して一晩するとこんな感じにサラサラなります。これをフキンなどでしぼって糖化された液を分離します。
分離した液は濁っているので、暫く置いて浮遊している細かい粕を沈めます。その後は上澄みの液を煮詰めて水飴にしていく工程です。
鍋に入れて沸騰したら弱火にしてアクを小まめに取り除きます。そのまま弱火で煮詰めていきます。
煮詰めて液が少なくなってくると、スプーンに絡むぐらいドロドロしてきます。そうしたら火を止めて粗熱をとり瓶に移します。
これで麦飴は完成です。市販されている水飴と同様にかなり粘ります。香りは麦茶に砂糖を足したような、香ばしく甘い香りがします。
なめてみると、麦の香ばしさと共に、ほんのりと懐かしい素朴な甘さが広がります。喉とかいろいろ健康に良さそうな味がします。こういう味のお菓子が駄菓子屋にあったなあと、遠い目になりました。
昔はこの麦飴と生姜のしぼり汁を混ぜ合わせた「冷やし飴」なんてものがよく飲まれていました。子供の頃に1度飲んだ事があるのですが、これで再現できそうです。懐かしい味のする水飴です。
ということで、水飴つくりが終わりました。続いて飴造りに入ります。
火傷注意の飴つくり
飴つくりはそれほど難しいものではありません。材料もシンプルです。
材料は砂糖と水飴。あと水です。オレンジやイチゴなのどのフレーバーをつけたい場合は、甘味料や香料、果汁なども必要ですが、基本としては水飴、砂糖、水の3つがあればできます。
あと、フライパンか鍋。飴を広げるための台とオーブンシートを用意してください。
ちなみに、前段でわざわざ水飴を手作りしていますが、麦芽水飴は市販品があります。しかも結構安い。米を450gも使って時間をかけた結果があの量ですから、市販品との差は説明するまでもないと思います。
ウザいぐらいに気持ちを込めたい手作り派の方はともかく、面倒な方は市販品の麦芽水飴を買ってここからスタートしてください。
分量は砂糖100gに対して水飴が50gぐらい。そこに水100mlを使います。まずフライパンに材料を全ていれて弱火で融かしていきます。
全部とけたら軽く混ぜながらゆっくり煮詰めていきます。急に加熱すると焦げるので焦らず緩やかに加熱します。
大きな泡が出て湧き上がり、全体に粘りが出てきたら火を止めます。暫く放置するか、冷たいフキンに当てて粗熱をとったら、台の上に敷いたオーブンシートに煮詰めた汁を流していきます。
冷えてくると固まりはじめ、オーブンシートから剥がすことができるようになります。ここから飴にするための「引き」の作業を行います。香りや味を色々つける場合は、この辺りで香料とか別の材料を追加するようです。
引きの工程では、柔らかい状態の飴を伸ばして折り畳み、ねじって更に伸ばして空気を入れていきます。
これをやることで、飴の色が変わり、一気によく見る飴と同じ滑らかな肌と光沢を持つようになります。ただし、結構熱いので、火傷に注意が必要です。
いい具合に色や艶が出て飴になってきたら柔らかいうちに転がして伸ばします。
あとは、まだ柔らかいうちに食べやすい適当な大きさに切り分けて飴の完成です。
できあがった飴は大変素朴な甘さの飴です。麦の香ばしい香りと、飾り気のない砂糖の甘さ。派手さはなく、ひたすら地味ですが、どこか忘れられない味です。
いつまでも口に入れていて邪魔にならず、無くなっても気にならない。でも、あるときフッと思い出して無性に食べたくなる味。そんな飴ができあがりました。
うまい飴でした。もちろん、もっと美味しい飴は世の中に幾らでもあるし、簡単に手に入ると思います。
麦飴の味のなつかしさでしょうか。手づくり飴は、ただ単純においしいというのとは別の、説明できない良さがありました。
まだ間にあう
この記事はホワイトデー直前に公開される予定です。うっかりこれを見たバレンタインデーで何かを貰ってしまった男性のあなた。それが明らかに義理と分かるアレやそれなお菓子なら、迷うことは無いでしょう。程々に良くて、何かいいものお返ししてください。
うっかり本命的な何かをもらってしまったあなた。あなたが答える気があるのならば、手作り飴のお返しはまだ間に合います。市販品を利用すれば製作時間は1時間程度。暑苦しいほどの想いを込めて、手作り飴にチャレンジしてください。
まあ、相手が本命で、あなたもその気なら、いまさら何をどうしようが関係ないですけどね!この道をゆけばどうなるものか、危ぶむなかれ・・以下割愛。ダー!