まずは通常の材料で甘酒作り
各種デンプンを含む材料での甘酒作りの前に、通常の材料で甘酒の作り方を説明します。用意する材料はもち米と麹。あと、材料を入れる容器、保温する為の道具が必要です。
ちゃんと量っていますが、大雑把な配分でも大丈夫です。
まず、材料を量ります。もち米300gに対して麹が75g。もち米4に対して麹が1の割合になっていれば増減しても構いません。
少しぐらいなら温度が超えても発酵は進むので、これも大雑把で大丈夫。
材料を計ったらもち米を煮ます。米の重量の1.2倍程度の水を入れて20分ぐらい煮る。水分が減ったところでフタをして10分ほど蒸らします。煮ないで蒸してもいいです。要は柔らかく食べれる状態になればいい。
もち米を煮た鍋に直接麹を入れて、その鍋ごと保温しても構いません。
煮た物は60度あたりまで温度を下げた後、容器に移して麹と混ぜ合わせます。最終的に55度より少し低い温度になるようにします。
我が家には1度刻みで温度設定できる小型保冷温庫があります。発酵食品作るのに凄く便利です。
煮たもち米と麹とを入れた容器は軽くフタをして、55度よりも少し低い温度を保つようにして48時間保温します。55度を越えると糖化する力が弱まるので、低めがいいです。
保温方法は毛布で包んでコタツに入れておくなど様々。容器を体に巻きつけて体温で保温なんてのでもいいですが、温度が低いので更に時間はかかるし、上手く行かない場合もあるのでオススメはしません。
私はその方法だと
納豆ぐらいでしかやった事がないです
発酵開始から24時間程度。米が溶けて液体状になる。既にかなり甘い。
保温すること24時間。上の写真のようになってきます。煮た米と麹だけで水は入れていないのに、液体状に変化していきます。
ここに酵母が飛び込んだりすると、泡立ってきてあんな物やこんな物が出来てしまう。やらないけど。
48時間経つと液体の中に半分溶けた米が浮いているような状態になります。これで完成。冷蔵庫で保管します。
そのまま飲むとかなり甘い。
このように発酵させて作る甘酒は、酒粕をお湯で溶いて砂糖を入れて作る甘酒とは違い、アルコールは全く含まれません。そのままでも飲めるもののかなり甘く、お湯や水などで少し割った方が飲みやすくなります。
デンプンが分解されて出来たブドウ糖の他、タンパク質が分解されて出来るアミノ酸なども多く含まれるので、スポーツ後なんかに飲むのもいい。発酵スポーツドリンクですね。あー、うまい。
やさしいスッキリとした甘さに、わずかな酸味。あとから来る麹の旨味が実に美味しい。お湯割りだけでなく、おろし生姜を入れたり、ラムやソーダなどで割っても美味しいです。
また、塩を混ぜて漬物を漬けたりしてもいい。色々使い道のある発酵食品です。
もち米以外の甘酒作り
さて、作り方が分かったところで、いよいよ色々な食材で甘酒を造っていきます。今回用意したのは以下の4品。
お鍋のお供。マロニー。デンプンの麺。
小麦粉のデンプンを多く含んでます。パスタ。
繊維質もデンプンも豊富。押麦。
多分デンプンを含んでいるはず。ジャイアントコーン。
各材料を茹でて加熱したら麹を混ぜまず。あとはもち米の場合と同様に55度ぐらいの温度で48時間保温します。
各材料がどのように変化したか。ちゃんと甘酒になったのか。写真をクリックしてお好きなところから。または1つづつ順にどうぞ。
80gほどのマロニーに20gの麹を入れます。
様々な材料での甘酒作り。まずはマロニーから行きます。
簡単に言えば、マロニーはジャガイモやトウモロコシのデンプンを細長く固めた物。デンプンの塊。
マロニーは葛切りのように鍋に入れて食べるのが一般的です。ツルリとした舌触りと、モチモチとした食感があります。名称が「でん粉麺」と言うだけに、ジャガイモやトウモロコシのでん粉が原料として使われています。確実に麹で甘くなるでしょう。
茹でる前はかなり硬いので、茹でてから細かく切り分けた方がいいです。
作り方はもち米を使った場合と代わりません。マロニー4に対し麹を1。茹でて細かく刻んだマロニーを60度あたりまで冷ましたら麹を入れて、55度ぐらいで保温します。
48 時間発酵終了。糊?ですか?
こうして完成したマロニー甘酒。48時間麹と共に保温したマロニーはほぼ全部溶けています。特別強い香りを放っているということも無く、普通に麹の香りがしてきます。
甘酒というよりもヤマト糊などの方が似ているかも…
グラスに移してみると、かなり粘りがあり、そのままでは飲めません。少し水で薄めて飲んでみました。
ただ甘い・・・だけだな。
出来上がったマロニー甘酒は、少しドロッとしていてくず湯のような感じです。しかし、旨味や酸味などはほとんど無く、ただひたすらに甘いだけの飲み物でした。
ほぼ純粋にデンプンの塊なので、他に味を決める成分が出来てこないのでしょう。砂糖水などに比べれば甘さに奥行きはあります。ところが、甘酒として味わうと全くもって特徴が無い。
飲めない事はないが、何もわざわざ作って飲まなくてもいい味でした。
100gのパスタに25gの麹を入れます。
なんだか駄菓子風。
100gのパスタを茹でて冷まして短く切り分けたら麹を入れて48時間保温します。
異様な物が出来上がった…
発酵完了したパスタは大半が溶けてしまっています。液体ではなくペースト状。少し油のような香りもしてくる。大丈夫か?
カスタードクリーム!と自分に言い聞かせる。
黄色い色と粘りでカスタードクリーム風にも見えます。しかし、グラスに移すと形が残ったパスタが目立ち、その考えを打ち消します。粘りが強く、このままでは飲めません。水で割って飲んでみました。
こ、こりゃーいかんわー。ダメだー
パスタ甘酒、非常に不味いです。薄ら甘く、下に残る雑味が酷い。変な生臭さもあって、とても飲めたものではありません。
小麦のデンプンだけでなく、練って伸ばして色々手をかけられている製品。その小麦デンプン以外の部分が色々悪さをしているようです。やってはいけないリスト入り。
100gの押麦に25gの麹を入れます。
続いての甘酒作りは押麦です。平たく押し潰された麦で、茹でれば麦の形になります。
米に近いので期待は高い。
100gの押麦を茹でて冷まして麹を入れて48時間保温。
甘酒というより、見た目はお粥か。
押麦甘酒は液体部分は少なめで、ゆるいお粥のような状態です。
麦の黒い部分が目立つ。
そのままでは飲めないぐらいの粘りがあり、水で割って飲んでみました。
まあまあ飲める味だな。
押麦甘酒は、酸味が強く、甘さは少な目に出来上がっていました。もち米の甘酒よりもサッパリとしています。物足りなさがあるものの、まあまま飲める味です。。
米に比べて繊維質が多いのか、溶けずに残った粒の部分がかなりザラザラ当たります。そういった点を除けば、この甘酒はアリでしょう。
100gの乾燥ジャイアントコーンに25gの麹を入れます。
続いての甘酒作りはジャイアントコーンです。前に書いた記事で使ったジャイアントコーン(
これとか、
これ)が未だに残っています。ジャイアントコーンが甘酒になればペルー人もビックリ!なのか?とにかくやってみます。
場所に余裕があるのなら、フードプロセッサは是非家に一台欲しい調理家電。
まずは、そのままでは表面が非常に硬いので、100gのジャイアントコーンをフードプロセッサで荒く砕きます。
粉状ぐらいにしたほうが良かったかもしれない。
それを10 分ほど茹でて冷まして麹を入れて48時間保温。
おや?あまり変わってない?
48時間発酵させたジャイアントコーンは、ほぼ原型を留めています。
一応溶けている部分もあるようだ。
よく見れば、わずかながら糖化されているのか溶けたようになっている部分もあります。あまり期待は出来ないですが、とりあえず味わってみることにします。
ほぼ砕いたジャイアントコーンだね。甘酒感は全くない。
グラスに入れてみたところ、ほぼ原型のままです。水を入れて飲むにしても、あまりに塊過ぎるので、このまま少し食べてみます。
これは食っちゃいけない味だ。
ジャイアントコーン甘酒。いや、発酵ジャイアントコーンか。かなり不味いです。生臭く、苦味があって、甘さも僅かにする程度。
デンプンは含まれるはずなので、発酵が進んでいればもう少し甘くなっていてもいいはず。発酵が上手く行ってないのでしょう。茹で時間が足りないのか、もっと細かく砕いておいた方がよかったか。
いずれにしろ、ジャイアントコーンは甘酒向きではないです。絶対に止めておいたほうがいいです。普通に揚げるか、茹でるかして食べるのが美味しい。
余計な事はしない
今回は各種材料で甘酒を作ってみました。結果はあまりよくありません。なんとか飲める味が2つ。もう2つは酷いものでした。
やはり、昔からそれ以外の材料でやらないというのは、何らかの理由があるもので、今回の場合もち米で作るのが一番美味しく、それ以外は作っても大して美味しくないから止めておいたほうがいいという結論でした。
これからは、甘酒を作る際には余計なことはしません。昔から使われている材料のみでつくります。
実は食パン甘酒も作ろうとしていたのですが、やらないで良かった。酷い味だっただろう。