迷子のタマは、見つかってました!
「タマは、ちゃんと見つかります」ずばり、こたえて安心させてくれたのは、運営元であるソニー・クリエイティブプロダクツでマーケティングを担当する佐々木智恵子さん。
「タマ探しの貼り紙をだした飼い主のたけしくんが、タマが帰ってきたことを知らせる貼り紙を自宅の塀に貼りだすんです」と、同社デザイナーの松井由美子さんもうなずく。
タマ&フレンズというと、グッズ向けのキャラクターとしてのイメージが強い。が、背景をつらぬく物語が絵本やアニメのなかでちゃんと描かれていたのだ。
タマのファンになった頃、私はまだ小学生だった。ストーリーがあったとは、そこまでちゃんと把握できていなかったのだ……。いきなり感激の嵐である。
もともとはグリーティングカードをデザインしていた部署だった
ソニー・クリエイティブプロダクツはCBS・ソニーグループの、CBS・ソニーファミリークラブ内のペーパーファッションビジネス部門から1978年に独立したため、クリスマスカードやバースデーカードに代表される、グリーティングカードを作っていた。
当時、海外でレコード会社がグリーティングカードを扱うことがよくあり、それを国内へ取り入れたのだそう。
カードをデザインするなかで、徐々にキャラクター商品をはじめとするライフアクセサリーを中心に種々の商品を開発し、多くのヒット商品を生み出した。
そこへやってきたのが80年代、一大ファンシーグッズの大流行だ。
80年代は文具屋さんがまちに数多くあり、そこでファンシーグッズを扱うことが多かった。さらにファンシーグッズが力を増すにつれ、ファンシーバラエティショップとして専門的に営業する店も出てきた。
そこで一世を風靡したのが、タマや3丁目の仲間たちだったのだ。
ぜひこのまま、タマたちの歴史や活躍についてお伺いしたい!
なぜ「いない」キャラクターが成立したのか
古賀:
「うちのタマ知りませんか?」に最初にふれた当時、小学生ながら、いなくなった飼い猫を探すというデザインとコンセプトに衝撃を受けました。
キャラクターグッズなのにかわいいだけじゃない。ストーリー性があって、なにか切ない。背景には昭和の町並みがフィーチャーされていて、子どもなのにすでに懐かしい感じがあって。
どういったねらいではじまったキャラクターだったのでしょう。
松井:
街角に猫を探す貼り紙って、いまもありますが昔はもっとよく電柱なんかに貼ってありましたよね。それを初代のデザイナーがイラストに起こしたという説と、デザイナー自身が自分の猫を探すために描いた……という、2つ説があるんです。
安藤:
メインのキャラクターなのに、いなくなってるわけですよね。主人公不在っていうのはすごい。
松井:
そうなんですよね。デザイナーのイラストを見た当時の上司がこれいいじゃないってことで商品化をしたそうです。 小規模のシリーズとして試しに出してみた、というのが最初と聞いています。
古賀:
そのちょっとやってみるか、が、あまりにコンセプチュアルでみんなの胸にささったんですね。
そこからの勢いがすごいですね。シリーズがスタートしたのが1983年、5年後の88年には絵本が出て、ビデオでアニメ作品が登場してる。漢字ドリルへの掲載がはじまったのも1988年と。
松井:
80年代のファンシーグッズブームの勢いに乗ったんですね。