これからも変な機材を買います
カメラとかレンズとか、写真の世界には機材好きという人がいて、まあ僕がそうなんですが、こういう人はろくに写真を撮らずに機材ばかり増やしてしまうのだ。
何かに使うだろう、と思って買ったカメラとかレンズはたいてい何にも使わないので、もうちょっとちゃんと考えてから買わなきゃなと思いました(結局買うのか)。
小さなフィギュアを撮影するとき、カメラのマクロモードやマクロレンズなんかを使うと思う。
すると背景がボケる。
背景をぼかさないように、しかも自分が一緒に写りこむことはできないだろうか。
超広角レンズを使うとそれができました。
冒頭の写真の力士、実際はこのサイズである。
体長15ミリの鉄道模型用のフィギュアだ。
この力士のフィギュアかわいいだろう。鉄道模型とどう組み合わせるのか謎だが、一目ぼれして買ってしまった。
しかし今回は力士のフィギュアを自慢したいわけではない。この小さなフィギュアと一緒に自撮りする方法について説明したい。
答えは簡単、超広角レンズを使うのだ。
カメラ好きにとって、超広角レンズというのは何年かに一度くらいの頻度で欲しくなるものなのである。僕もその誘惑に抗えず、何回目かのピークでこのレンズを買った。
カメラのレンズは大きく分けて3種類ある。
ひとつは望遠レンズ。これは遠くにいる鳥を撮ったり圧縮効果で商店街を人いっぱいに写したりできる。狭い範囲が大きく写るレンズだ。
それから標準レンズ。これはまあその名のとおり標準的にいつでも使える。
最後に広角レンズ。これは雄大な自然を撮ったりするときに使う。広い範囲が広く写る。
もちろん例外的な使い方をする人もいるので一概には言えないが、だいたいこんな感じで分けられる。魚眼レンズを忘れるなとか、ズームレンズはどうすんだ、とか言う人はサメにでも食われたらいいのだ。
今回取り上げるのは広角レンズである。しかも超がつくほどの広角、超広角レンズである。
写り方を見てもらうとわかると思うが、これは目の前の風景が非現実的な遠近感をもって写るので、使いこなすのが本当に難しい。
たまに欲しくなるけど手に入れても使い道に困る、それが超広角レンズなのである。
僕も熱病のようにその魅力にとりつかれ、無意識のうちに手に入れ、何枚か試し撮りだけして自分の実力のなさを知り、それっきりしまい込んであった。たぶん買ってから3回くらいしか持ち出していないと思う。
超広角レンズは遠近感を強調するので、主題にしたいものを真ん中に置いて近寄って撮るとインパクトのある写真になる。逆に遠くにあるものはより遠くにあるように写る。
言葉で説明してもわかりにくいので、我が家の狭い裏庭で説明しよう。
一般的なコンパクトカメラで撮るとこんな感じである。これは実際の見た目に近い。
同じ場所から超広角レンズで撮るとこうなる。
猫の額のような裏庭がまるでボーリングレーンみたいに写る。さっきは見えていなかった窓に猫まで出現した。
これは効果としては面白いのだけれど、いかんせん実際の見た目とはまったく違うので、記事に使う写真なんかをこれで撮るのはちょっと難しい。
というわけで使わないまま放っておいてあったのだけれど、この度、撮りたいものに寄って撮ることができるアダプターというのを手に入れたので引っぱり出してきた。
たとえば机の上の10円玉を撮りたいときにはマクロレンズを使うだろう。
マクロレンズというのは狭い範囲を大きく写すことができるレンズである。なのでどちらかというと望遠だ。
しかしこのアダプターを使えばどんなレンズも被写体に近づいて撮ることができる。ならば普通マクロ撮影では使わない超広角レンズでもマクロ的な撮影ができるんじゃないか。
カメラに興味のないみなさんにおかれては、それの何が面白いのかわからないかもしれない。例えるなら、普段なら車で行くところを、なんだかわからない装置をとり付けた一輪車で行ってる、みたいなものだ。おかげでよけいわからなくなったけどどうしてくれる。
例を見せよう。通常のマクロモードを使った撮影だとこんな感じに写る。
それが超広角レンズを使って力士が同じくらいの大きさに写るように撮るとこうなる。
同じじゃんか、と思った人、ちょっと待ってほしい。力士の大きさが同じくらいになるように撮ったのだけれど、超広角レンズで撮ると背景がボケにくくなるのだ。
背景があまりぼけないということは自分が一緒に写りこむこともできるのだ。これはマクロレンズにはできないことだろう。
いい具合にトリミングするとこうなる。
面白い。
背景込みで接写できるとなると写真の可能性は広がる。たとえばアリと肩を組んだり米粒をサーフボードみたいに小脇に抱えたりもできるだろう。
と思ってやろうとしたけどどちらもできなかった。アリはじっとしていないし、米はどう撮ってもサーフボードじゃなかった。
それでも買ったきり使わなかった超広角レンズが、この撮影方法を手に入れたおかげで日の目を見る可能性が出てきたことは確かである。
これからマクロで撮る必要があるときにはこのレンズを使って、積極的に自分も写りこんでいこうと思います。
カメラとかレンズとか、写真の世界には機材好きという人がいて、まあ僕がそうなんですが、こういう人はろくに写真を撮らずに機材ばかり増やしてしまうのだ。
何かに使うだろう、と思って買ったカメラとかレンズはたいてい何にも使わないので、もうちょっとちゃんと考えてから買わなきゃなと思いました(結局買うのか)。
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