用量、用法を守って正しく食べましょう
ジャンボにんにくは見た目の圧もさることながら、料理に使うと一片ですべてを変えてしまうインパクトがあった。もちろんちょっとずつ使えば普通のにんにく同様、美味しく食べられるのでみなさんはその方向でお願いします。
千葉の道の駅で、でかいにんにくを見つけた。
これが目を見張るほどでかかったのでご報告です。
もちろん買って食べました。
千葉にある道の駅で巨大なにんにくを見つけた。
どのくらい巨大かというと
写真では伝わりにくいかもしれないが、うちの猫の頭くらいある。
そばに売られていたブロッコリーと比べてみた。
手のひらに伝わるずっしりとした重みには無言の迫力があった。畑を掘っていてこれが出てきたら驚いていったん埋め直すと思う。
しかしラベルには「にんにく(生)」と書いて売られていたのでにんにくで間違いないのだろう。こういう種類なのか、千葉の土地がとくべつ肥沃なのか。
家に帰って窮屈そうなネットから取り出し、あらためて眺めてみた。
電気屋で選んだテレビが家にやってくると巨大に感じる現象があるだろう。このにんにくもそうだった。道の駅で見たときよりもいっそう存在感が増している。
家に通常サイズのニンニクがあったので横に置いてみた。
3Dプリンターでミニチュア作りました!という感じだ。玉ねぎなんかと比べても遜色ない。
割って見たら声が出た。
内部構造は通常のニンニクと変わらないのだけれど、なにしろその一房ひとふさがチューリップの球根くらいあるのだ。そしてなんか下の方から根が生えてる。脈打つほどの生命力である。
調べてみたらこれは「ジャンボにんにく」と呼ばれる生きもので、普通のニンニクとはまた種類が異なるらしい。
ジャンボだろうがなんだろうが、買ってきたからには食べてみたいと思う。
よくレシピに「にんにく一片(ひとかけ)」という表現があるが、あれはどのくらいのことを指すのだろうか。
調べてみると「にんにくひとかけ(1片)は小房に分けた一つのこと、生姜ひとかけ(1片)は親指の第一関節から上ほどの大きさのことを指します。」とのことだった。
ということは、だ。その定義をこのジャンボにんにくにも適用すると、これが一片ということになる。
違うとはわかっていながらも、今回はこの「ジャンボにんにく一片」を使って、レシピ通りに料理してみたいと思う。
一般的なペペロンチーノを作ってみる。レシピは以下。
まずはにんにく一片をみじん切りにする。
最初の工程ですでにおかしい。
でかい分、刻むのも一苦労である。普通サイズのにんにくならば生の芋をきざむみたいな感触だと思うけれど、ジャンボにんにくは玉ねぎのような繊維を感じる。
そしてやはり玉ねぎのように、刻むときに涙が出た。
香りはにんにくそのものだ。刻んだだけで部屋中がにんにく臭につつまれ、寝ていた猫が起きて逃げた。
これをたっぷりのオリーブオイルで香りが出るまで炒める。
とても美味しそうにできたが、なにしろ香りがメガトン級である。夜中にこれを作って書いているんだけど、窓を開けているので近所中にんにくの香りが漏れているだろう。申し訳ない。
味はどうだろうか。そもそも僕はにんにくが嫌いではないので、これはもしかしたら美味さもメガトン級なのかもしれないぞ。
いただきます!
ラーメン屋のオプションで「にんにくマシマシ」というのがあるだろう。
これはにんにくマシマシ、追いマシマシ、くらいだ。パスタを口に入れた瞬間、香りが鼻から全速力で駆け抜ける。駆け抜けられた鼻の奥がちょっと痛い。
美味しいかといえば美味しいと言わざるを得ない。しかしちょっと強すぎる。パスタではなくにんにくがメインである。身の危険を感じて申し訳ないがこの後一度お湯で洗って食べた。
翌日はジャンボにんにくそのものを味わってみるため、にんにくを丸ごと食べる調理法で調理してみた。
比較のため、通常サイズのニンニクも同じ方法で調理して食べ比べてみた。
蒸したにんにくは芋みたいになる。これはジャンボにんにくも同じだった。玉ねぎみたいな青臭さは息をひそめ、代わりにひそかな甘さをはらんだ味の薄いふかし芋みたいになった。
パスタに比べて香りはたいしたことないように思うが、これはすでに僕の鼻がやられてしまっているからかもしれない。
次!
焼くことでにんにく本来の甘みが引き出されている。そしてちょっと焦げたバターがまた合う。
味としてはこれが一番わかりやすく美味しく感じた。ただ、濃い。ひたすらに濃い。毒と薬の境界線すれすれのところだと思う。
次!
凝縮したにんにく味を楽しむのならこれだと思う。ちょっと塩をつけると一片でご飯2杯くらいいける。
そもそも滋養のかたまりみたいなジャンボにんにくに油が加わることで、つるっつるになって元気いっぱい胃の底に滑り落ちていくのだ。ハッピーな直滑降、ジャマイカのボブスレーチームみたいな食べものだ。
食べきった。
どれも前歯の先でちょいとかじる程度なら美味しいと思う。ただ、ぜんぶ食べようとすると体が怖がる。途中で致死量という言葉が何度もちらついた。
このあとすぐに寝て、翌日もふつうに生活することができた。特に胃が痛むこともなかったし、下痢したりもしなかった。逆に元気になりすぎて路上で暴れまわるなんてこともなかった。
ただ、我が家の食事は、このあと2日くらい何を作ってもにんにくの香りがしました。
ジャンボにんにくは見た目の圧もさることながら、料理に使うと一片ですべてを変えてしまうインパクトがあった。もちろんちょっとずつ使えば普通のにんにく同様、美味しく食べられるのでみなさんはその方向でお願いします。
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