特集 2021年8月18日

旅先ドライヤーコレクション

旅のモチベーションを掻き立てる一陣の風。

観光や出張、ハブ探し、旅の目的はいろいろだが、そこには宿泊先で備え付けのドライヤーを見るという興趣が、確かに存在する事を声を小さくして言いたい。

1975年神奈川県生まれ。毒ライター。
普段は会社勤めをして生計をたてている。 有毒生物や街歩きが好き。つまり商店街とかが有毒生物で埋め尽くされれば一番ユートピア度が高いのではないだろうか。
最近バレンチノ収集を始めました。(動画インタビュー)

前の記事:手すりの虫観察にハマる

> 個人サイト バレンチノ・エスノグラフィー

50台の旅ドライヤー

2014年、「ドライヤーがかっこいい」という記事を書いて何が良かったって、ドライヤーはかっこいいというこの世の定理に気づいた事だ。

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フェラーリじゃん!

もっといろいろ見てみたい、家電量販店でずらっと並ぶ最新鋭もいいんだけど、もっと現役バリバリの、使用感が醸し出すリアリティにあふれた者たちと出会いたいと思った。

それからというもの、出張や観光、取材で遠出した宿泊先で備え付けのドライヤーを記録するようになった。

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記念すべき1号はあのピラミッド温泉!

なんやかんや7年間で50とちょっと溜まったので節目としてずらっと並べて見てみよう。

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53ドライヤー、なかなか壮観。

並べてみたらなんかうれしかったので表にしてみた。
 

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メーカー、記録日時、ホテル名(浴場などもあり)、製造年(わかる範囲で)

宿泊先をきっちり記録しているつもりでいたが出張の時など意外と忘れている事も多かった。そういう間抜けな部分も可視化されてよかった。必ず撮ろう、ホテルの外観。

表を作ったら次はどうする?グラフの出番だ。

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数えてグラフにしただけなので表は無くても作れたのだが。

ドライヤーシェアNo.1のパナソニックと業務用ドライヤーシェアNo.1のテスコムが人気を二分している。

天下を争うパナソニックとテスコム

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パナソニックはマイナスイオンを放出する「イオニティ」のコンパクトタイプが人気。

人気メーカーだけあって今っぽいスタイリッシュなモデルからひと時代前の家電感を醸し出すものまで幅広く登場する。

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もはやなつかしいナショナル。
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重厚感のあるコイン投入機から生えていた。

テスコムはこの振り幅にさらにプロ仕様の重厚なラインナップが加わる。

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冒頭にも登場したプロ用の定番ブランド、Nobbyにホテルで会えるとは!
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家庭用のモデルも重厚感があり、つい持ちたくなる。
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かと思いきや軽快なものはとことん軽快。なんか銃身が足りない感じに。

壁に住むサンヨー

2011年にパナソニックの完全子会社となり家電ブランドとしては我々の前から姿を消したサンヨーブランドはここに生きていた。

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2014年釧路にて、壁面固定のホテル仕様!しぶい!
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シンプルな筐体にワンポイントであのロゴが。

サンヨー製は2台見られたのだがどちらも壁付タイプだった。

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これに出会ったのは2018年なので懐かしさもひとしお。
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ウェービーなロゴまわりのビジュアルにノズル部分の赤いラインが激渋、いい仕事してますな。
いったん広告です

ミステリアス四銃士

ここで気になるのは円グラフで「その他」にカテゴライズされたドライヤー達、この少数派のミステリアスなラインナップを見ていこう。

共栄

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ターコイズブルーがまぶしい。

製品名は「CUTie」我が国ではキューティーといえば鈴木の枕詞だがこちらは「共栄」、他にも中国製の美容機器や調理機器を取り扱っている会社っぽいが詳細は不明。

HIROX(ヒロックス)
通販サイトに2003年設立のドライヤー専門ブランドと記載されているがメーカーサイトは見つからずこちらも詳細不明。

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通販サイトには「注意深く見るとヒロックスのドライヤーを所々で見かけるかもしれません」と書かれていた。注意深見るやつなんているのか、俺だ。

ライト
やっと公式サイトのあるメーカーが出てきた。うれしい。
https://www.hairdryer.jp/index-j.html

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私にはどう使ってよいかわからないカーリードライヤー。

しかも会社情報などを見ると「1949年に誕生し、日本で初めてドライヤーの市場化に成功」とあり、かなりの老舗らしい。寡聞にして知らなかった。
https://www.hairdryer.jp/company/companyprofile.html

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たしかにロゴはクラシカル。

不明
再び登場、ピラミッド温泉。

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ずばり不明。

最初に記録した物なので詳細に撮影していなかったというのもあるがメーカーなどいっさい不明、ミステリアスここに極まれり。そもそもドライヤーだったのだろうか、もう何もわからない。

長持ちに萌える

途中からはじめたので完全ではないが、わかるものは製造年も記録している。

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こういうところに製造年が書いてあったりする。

2014年にドライヤーの記事を書いたきっかけは12年間使っていたのが壊れた事だったが、やはりドライヤーの耐久性はすごい。旅先ドライヤーでも十年選手がばんばん出てくる。

1000円から3000円台くらいの価格でこのこわれなさ、ビジネス的には大丈夫なのだろうか。

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2020年撮影、10年もののパナソニック。
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2001年製、パナソニック(ナショナル)のホテル用ドライヤー。撮影は2014年。
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2003年製、ナショナルが置いてあるとアガりますね。

見つけた中で一番古いと思われるのがテスコムのこれ。

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内線電話か!
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か、かっこいい!1991年製。

カプセルタワービルの壁についていそうなミニマム感。これは持って帰りたいと思った。

ラベリングを堪能

ドライヤーは当然、施設の資産なので拝借されたり、間違って持って帰られたりしないようにこれは当ホテルのものですよとネームがラベリングされており、その位置や書体なども味わいとなる。

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堂々たるテプラ。
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パナソニックはここに貼れと言わんばかり。
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こっちにロゴがあるから......
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こっちにラベリング、なるほど。
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そこを攻めてくるか。
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縦にくるか。
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何度も申し訳ないが出さざるをえないピラミッド温泉、絶妙にかわいい書体。

様々なラベリングを見てきたがこれでもトラブルの可能性はゼロではない。真の悪人が見たらこう思うだろう「剥がしゃいいじゃん」

しかしそんなセキュリティーホールをカバーする対策がすでに開発されている。悪人はおとなしく浴衣を着てビールを堪能する他ない。

「じか書き」である。じかにいっとけば問題ない。

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どーんといった。

今まで見てきたラベリング系の中で一番のお気に入りがこれだ。

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キング!

沖縄の「ホテルキング」、直書きの手書き書体のかっこよさもさる事ながら、日本語で「巨大な」を意味する製品名の「HUGE」、さらに本体に貼られた「大風量」と絶妙に共鳴し、このドライヤーにドライヤーを超えた大いなる威厳をもたらしているのだ。

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巨大な、大風量の、王。こいつまじで感動してたんだなーという撮り方してるでしょ。

髪を乾かすどころか、部屋の家具調度品全てを吹き飛ばしてしまいそうな迫力。台風常襲地沖縄を象徴するような猛々しいこのドライヤーはまだしばらく、心の中に旅先ドライヤーのキングとして君臨するだろう。


100台まで集めたらまた違った何かが見えてくるかもしれない。単純計算であと7年、移動のモチベーションはドライヤーと共にある、ボン・ボヤージュ。

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これも旅先ドライヤー

 

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