厚木で湯原のみやげを買う
厚木の実家に帰った時、ふらりと立ち寄った古道具屋でこれと目があった。

昔、観光地のみやげ屋でよく見たご当地のれんである。どこをどう流れてやってきたのか、岡山県の北部、湯原温泉のものだった。

湯原といえば「はんざき」と呼ばれるオオサンショウウオの生息地であり、奇祭「はんざき祭りが有名だ。当サイトでもがっつり取材されている。

そして古くから良質な温泉が湧き出す川沿いの露天風呂「砂湯」の上流に巨大な重力式コンクリートダム「湯原ダム」がそびえる特異な景観を持った温泉郷でもあるのだ。

温泉、ダム、はんざき、のれんに図示された3つのシンボルが頭の中でつながり、そのおもしろ味が濃縮されて流れ込んできた。もういっしょに行くしかない。のれんにとっては里帰りである。
湯けむりの向こうのダム
岡山駅まではすっと行けるがそこからのアクセスがなかなか大変で、在来線とバスの乗り継ぎでは週末の多くを移動で消費してしまう。少しでも滞在時間を稼ぐために夜行バスで岡山へ向かい、翌朝岡山からレンタカーで北上することにした。



岡山駅からレンタカーで山陽自動車道や岡山自動車道など、錚々たる自動車道を乗り継ぎ、油断すると鳥取だよというぐらい北上すると、ほのかに雪のかかる山あいにこじんまりとした街並みが見えてくる。


中国山地の南際、山間を流れる旭川沿いに点在する狭小な平地に温泉宿や飲食店、観光施設が立ち並び、コンパクトな温泉街を形成している。




昭和から時が止まったような懐かしみのある街並みのいたるところで温泉が湧きほこり、もうひとつのシンボル、オオサンショウウオことはんざきさんが笑顔でこちらを見てくる。


川の上流に向かってぶらぶらしていくとやがて道は歩行者専用となり、有名な露天風呂「砂湯」の向こうに湯原ダムが見えてくる。


ダムのふもとの露天風呂では2月の底冷えする空気をもろともせずに湯につかる人がちらほら。私にはちょっち開放感がありすぎたので入浴せずにダム近くへ向かう。

湯原ダムは高さ73.5m、てっぺんの幅は194m、ダム自体もでかいが背後に溜め込んだダム湖は中国地方で最大をほこる。

この存在感、そりゃのれんにも描かれるわ。私がのれんなら描きたまえと言う。

実物と並べてみるとのれん絵は実によく描けているのがわかる。ダムの直下に描かれた小屋のようなものは発電所だろうか。


横に描かれた電柱と電線もまさに発電所を象徴しているのではないかと思われるが、少し屋根の作りが違って見える気もする。
地元の方の話では「あのあたりには昔、飯場(はんば)※があったと思うからひょっとしたらそれかもしれんね」とのことだった。
※工事現場の作業員用の寄宿舎

はんざき様に会いにいく
ダムを詣でたら次の目標ははんざきである。といってもはんざきはいたるところで寝そべって笑ったりして、ちょっと歩けばむしろ人よりたくさん出くわす感じになっている。


地図上にはんざきさんがいてびっくり
