店員に話しかけられたら即退店のお店
池袋のPARCOに期間限定で開催されていた、「店員に話しかけられたら即退店」のお店。運営しているのは過去に「謎を解かないと買えない服屋」で取材させてもらったトキキルという会社だ。
「謎を解かないと買えない」とか「店員に話しかけられたら即退店」とか、お客さんに買わせる気が無くない?ふつうの人だったら「あ、じゃあいいです……」ってなりそう。しかし、世の中にはもの好きが多く、入店チケットはかなり売れているらしい。 (お店に入るためにチケットを買わないといけないのも意味わからない!)
かく言う私ももの好きのひとりだ。制約があると燃えるタイプ。やってやろうじゃないか。店員に話しかけられずに買い物を。
誓約書を書かされる
某日夜、我々チームデイリーポータルZは池袋PARCOの地下に集合した。とりあえず集合したもののよくわかっていない。「話しかけられたら即退店」としか。
唐沢:めちゃくちゃ楽しみです!
りばすと:はりきって行きましょう
ほり:買いたいものとかありますか?
唐沢:私は「教祖爆誕」というボードゲームがほしいです
唐沢:カードを組み合わせてオリジナルの「神のお告げ」を作るゲームのようです
りばすと:僕はミュラーリヤーストライプシャツを狙います
ほり:いいですね。いや~、それにしても、どういうルールなんですかね。店員がうろうろしていて逃げながら買い物するのかな
りばすとさんは「逆に誓約書に書かれてないことは何をやってもいいのでは?」と主張し、誓約書に何かしらの抜け穴がないかを必死で探していた。わかる。駆け引きはもう始まっている。
しかし、これは謎解きではない。買い物だ。結局この誓約書はふつうに「商品を壊したら弁償」のような、ガチの誓約書だった。
ルールが判明する
いよいよ自分たちの番がやってきて、まずはビデオを見ることに。そこでルールが明かされた。
ルールを要約すると、こうだ。
なんだこれ、全然買い物できないじゃん。①だけかと思ったら、②や③の制約もある。しかも買い物の時間は5分らしい。あわただしすぎる。
でも正直、わくわくしている自分もいる。いままでこんなにも真剣に買い物に向き合ったことがあっただろうか。脳がひりつく、刺激的な買い物だ。刺激度合いで言えば、婚約指輪を買ったとき以来かもしれない。「やってやるぞ」という気持ちになる。
事前見学と作戦会議
ルールは分かったが、さて、どうする……と思っていたのだが、なんと前の組の買い物の様子を途中まで見学できるらしい。そこでミッションの雰囲気をつかみ、別室で作戦会議を立てることもできるようになっている。買い物させたいのかさせたくないのか、どっちなんだい。
見学してわかったことを整理すると、
・最初のミッションの途中で「動いてはいけない時間」がある
・2個目のミッションの途中から、店員が放出される
・店員は店の照明が赤色や青色のときは穏やかに動く
・店員は店の照明が緑色のときは激しく動き回るようになる
買い物したいだけなのに、圧倒的情報量!要はモニターに表示される商品をかごに入れつつ(ミッション)、自分が買いたい商品ももちろんかごにいれつつ(買い物)、途中で「動いてはいけない時間」があり、店員から逃げる必要もある。「要は」と言うわりに全然情報量が減っていない。こりゃたいへんだ……。
作戦会議用の別室では情報がほどよく整理されていた。
ほり:見学でわかったのですが、「動いてはいけない時間」と「店員が激しく動き回る時間」は、モニターに表示される時間のバーで事前に分かるようになってましたね
唐沢:そうですね。それもこのボードに整理されているみたいです
りばすと:あ、ボードを見ると、最後のミッションのときに「動いてはいけない時間」と「店員が激しく動き回る時間」が同時に来るみたいですよ
ほり:やばい。逃げないといけないのに動けない。やられるじゃん。
ほり:えええ……じゃあどうする?
ほり:ひょっとして、この店員が出たあとの空のブースに入ればいいんじゃない?
唐沢:そうしましょう!
なんだ、買い物と言いながら、結局謎解きではないか。勝敗は戦う前から決まっている。そういうことだ。何もあわてる必要などないのだ。この買い物には、必勝法がある!

