特集 2019年7月6日

日本列島の立体模型地図がすごすぎて動けなくなりました、おかわり

この地図が最高だからずっと見ていられるぞ、という記事でした。

編集部安藤です。

いつもならば前の月の人気記事を振り返るコーナーなんですが、6月は僕の書いた地質標本館の記事が人気だったということで(ありがとうございます!)、今回はとくべつに自分で振り返ることにしました。

記事はこちら「日本列島の立体模型地図がすごすぎて動けなくなりました」)。

前回の記事では書ききれなかったことがたくさんあったのでちょうどよかったです。

1975年愛知県生まれ。行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。(動画インタビュー)

前の記事:ミル貝のさばき方を魚屋さんに習う

> 個人サイト むかない安藤 Twitter

 

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日本列島の立体模型地図がすごすぎて動けなくなりました

この記事を公開した後に「いてもたってもいられなくなってすぐに行ってきました!」というコメントをいただきました。そうでなくっちゃ!あなたの行動力は社会を明るくすると思います。

立体日本地図おかわり

行った人にはわかってもらえると思うのだけれど、記事で紹介したプロジェクションマッピングの立体日本地図は、実物を見ると何倍も面白い。とはいえ簡単に行くことができない人のために、前回の記事では書ききれなかった部分をもう少しだけ紹介させてもらいたい。

たとえばこの写真、なんだかわかるだろうか。

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なんとなく日本地図なんだけどちょっと違いますよね。
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なんだかずんぐりしています。

これは地図に「海進と海退」というオプションを表示させたもの。アニメーションで約7000年前から2万年前までの海岸線の様子がいったりきたりする。

地球が寒かった2万年前は、南極北極に氷が増えて海面が下がり、結果日本周辺の海岸線もずいぶん外まで広がっていたのだ。そのため瀬戸内海も伊勢湾もない。

地図の表示がプロジェクションマッピングなので、こうやって時代をさかのぼったりすることもできるのだ。

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津軽海峡もかなり狭かったんです(説明してくれているのはこの地図の作者のひとりである芝原さん)。

次に驚かされるのが「活火山」という表示オプション。これを見ると日本がいかに火山国なのかがわかる。

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びっくりするほど火山だらけである。

活火山を表示させてみてあらためて驚くのは、伊豆から小笠原諸島に点在する火山の多さではないだろうか。この周辺の島々は太平洋プレートがフィリピン海プレートに沈みこんだ影響でできた、まさに火山列島なのである。

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海底の地形も3Dデータどおりに再現されています。火山だらけなのが丸わかり。

海底の様子はふつうは目に見えないので、なんとなく平らなものだと思ってしまいがちだが、むしろ陸上よりも凹凸がすごい。

下の写真は地質標本館の2階にある模型で、言ってしまえば海から水を抜いたイメージ。これを見るとプレートの境界と火山の場所が対応しているのがわかると思う。

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いかに日本がプレートや火山と深い関係にある場所かというのがわかります。

スカイツリーはむかし海だった

一方こちらは範囲を東京に絞って海進・海退を表現した模型。今の東京の低地の多くが7000年前には海だったことがわかる。これも芝原さんと大道寺覚さん(ニシムラ精密地形模型)の作品である。

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東京駅も新橋も浜松町も、縄文時代には海だったり海岸だったりする。

現在東京スカイツリーがあるあたりも7000年前は海だったのだ。

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スカイツリーも縄文時代には海でした。

かつては海だった場所に堆積物がたまり、さらに土地改良工事や埋め立てを繰り返して、いまの東京の海岸線はできているのだ。そのためスカイツリーみたいな高い建物を建てようとした場合、地下かなり深くまで杭を打たないともともとの硬い岩盤にまでたどり着かない。

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スカイツリーは35m下の硬い地層に杭を打ち込んでいるのだとか。

この地質標本館では、こういう地学的イベントが実際に自分たちの足の下で起きていることなのがわかるように説明されている。この上に住んでいるということが実感できれば、次から次へと知りたいことが出てきて当然なのだ。

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他にも地質年表が
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宇宙船のコックピットみたいに配置されていたりする。
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かっこいい。この枝分かれを追っていくだけで2時間はいける。

古代生物も充実

もちろん古代生物好きにもたまらない展示がたくさんある。アンモナイトは前回の記事で紹介したので、今回はこちら、デスモスチルスの化石(レプリカ)を紹介したい。

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束になった歯が特徴のデスモスチルス。

日本で発掘される古代生物の化石で、世界的に注目されているものの筆頭がこのデスモスチルスなのだという。歩き方も歯の形も食べていたものも、なにしろ謎の多い生き物なのだ。

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デスモスチルスの想像図。カバみたいな見た目で歩き方はワニ。

哺乳類は化石から生きていた頃の姿を復元するのが難しいとされる。たとえば象を知らない人が骨だけを見てあの長い鼻とでかい耳を想像するのは簡単ではないだろう。

となると実際にはデスモスチルスだってまったく予想できない姿だったかもしれない。化石の一部から生きていた頃の姿を推測するのは、地球にいながら得られた情報だけで、他の銀河系のことを予想するのと同じくらい難しいのだ。

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この化石、なんだかわかりますか。矢じり?
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正解はイカ(の仲間)のこの場所。こんなのよくわかったな、と思う。

高校の頃に物理を習って、世の中のほぼすべての現象を式で表すことができることに驚いた。いまこういう施設で地球のことを学ぶと、自分たちがすごいところに暮らしているんだということが改めてわかる。まぐれにまぐれが重なった上に、今があるのだ。 


1日では足りない

そんなわけでこの地質標本館にはまだまだ紹介しきれていない面白いものがたくさんあるので、ぜひ夏休みにでも行ってみてください。

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館内にあるアンモナイト階段。かわいい。

地質標本館
産業総合研究所 地質調査総合センター内
開館時間:9時30分~16時30分
休館日:毎週月曜日
入場料:無料

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