特集 2025年7月11日

死ぬまでに一度は使っておきたいコイン精米機

50年近く生きてきて色々なことを体験してきましたけれど、まだ体験してないことありました。コイン精米機です。

このたび玄米が手に入ったので、精米してみることにした。

鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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玄米が手に入った

お米の値段がグイグイ上がっている。

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札幌の米売り場。東京に比べると概ね500円ぐらいやすかったので思わず撮った写真

去年の初め頃は5キロ2000円ぐらいで買えていたような気がするけれど、いまや物によっては5キロ5000円。

第一次世界大戦でドイツが負けてハイパーインフレが起きたとき、トランクいっぱいの札束を持ってカフェに行くものの、コーヒーを一服する間に値段が上がり、トランクの札束じゃ足りなくなった……というエピソードが、子供の頃に読んだ学習まんがにあった。米もそのうちそんな感じになるのだろうか。

ジンバブエ・ドルのこと、笑えなくなってきた。

そんな中、先日スーパーに米を買いに行ったところ、うっかり2キロの玄米を買った。値段はいくらだったのか忘れちゃったけど、おそらく2000円ぐらい? だったと思う。

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2千円ほどで買った玄米2キロ

そもそも玄米を買うのも初めてなので、炊飯器の玄米モードで炊いて食べるべかと思っていたが、いや待てよ、一度も使ったことないコイン精米機で玄米を精米して食べるのはどうだろうかと思い至る。

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というわけで、米を精米しに行ってまいります

ぼくの住む月島に近いコイン精米機をネットで探したところ、江戸川区ぐらいまで行けばいくつかあることが判明。さっそく地下鉄でコイン精米機のある町に向かう。

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森下で乗り換えて……
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本八幡方面に向かいます

一之江駅に到着。

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素人が普通にコイン精米機を使うだけの記事なので、今回は自撮り写真多めです。しかめっ面なのは暑いため
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駅前ロータリーの先にあるコイン精米機

一之江駅の駅前ロータリーからちょっとだけ歩くと、すぐにコイン精米機がある。

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これが、あのコイン精米機……

都営新宿線も一之江ぐらいまでくると駅前にコイン精米機があるわけだが、しかし、これ使う人はいるのだろうか? いくら農地が多い(コイン精米機の裏は畑でした)とはいえ、このあたりに米農家なんてほぼ住んでないような気がするけれど……。

とりあえず、コイン精米機の中に入って様子を見てみる。

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値段表と注意書き

値段表を見ると、10キロごとに200円と書いてある。そして「もみは精米できません」との注意書き。コイン精米機でできるのは精米のみで、脱穀はできませんとのことらしい。調べると、脱穀もできるものもあるにはあるらしいが、普通は精米のみのものが多いとの由。

コイン精米機豆知識①
コイン精米機でできるのは精米のみ。脱穀までできるものは少ない。

コイン精米機豆知識②
このコイン精米機は、お釣りが出ない。

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なにやら細かいお願いが多いぞ

扉を開けて中に入ると、さらに詳細な「お願い」があった。ひとまずコイン精米機に関する部分をまとめると……。

コイン精米機豆知識③
水分を多く含む米、虫食いの米、くず米、割れた米は機械が故障するかもしれない。

コイン精米機豆知識④
古い玄米、ハダズレ米(成分の変化で白くなった玄米)は、精米に時間がかかる。

コイン精米機豆知識⑤
冷えた米は機械が故障する可能性があるので、常温の玄米を入れる。

一般的にお米屋さんとかスーパーで売っているような玄米であれば、コイン精米機を使っても問題ないようだ。

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玄米を入れるところ(右)と精米された米が出てくる口(左)

操作はそんなに難しくなさそうだ。

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室内左壁にあった貼り紙

左側の色褪せた貼り紙を見ると、ハトが入ってくるから注意しろとの旨と、ぶつき米とクリーン白米の説明があった。

分つき(分搗き)というのは、玄米をどれだけ磨いて精米するのかというレベルのようなもので、あまり磨かないと、米ぬかが多く栄養豊富だけどクセのある米になり、クリーン白米ぐらいになると、ほとんど洗わなくても美味しく炊ける米になる……というものらしい。

コイン精米機豆知識⑥
米ぬかのつき具合によって、七分づき、五分づきなどがある。

コイン精米機豆知識⑦
クリーン白米は粒全体に透明感があり、白く輝いている。

コイン精米機豆知識⑧
ドアを開けたままにするとハトが入ってくる。

精米機の中で機械の様子を伺っていると、30キロの米袋を抱えた年配のおじさんと息子さんが後ろで待っているのに気づく。

ぼくは、使い方がよくわからず、後ろがつかえてるとオタオタしそうだったので、おじさん親子に順番を譲って精米の様子を見させてもらうことにした。

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先に精米してもらうように順番を譲った

おじさん親子は、慣れた手つきで玄米を機械に投入。精米機は、グオングオンと低い唸り声をあげて精米し始める。数分後、紙袋を左側の排出口にセットするとジャーと30キロ分の米が出てきて精米終了と相成った。

帰りがけに話を聞いたところ、この30キロの米袋はおじさんの実家から送ってもらった玄米で、数ヶ月に1度ぐらいの割合で精米しにきているらしい。

当初、一之江付近には水田なんかないのになぜ? なんて思ったが、それはぼくの考えが浅はかなだけであって、こういうふうに玄米を手に入れる人もかなりいるのだ。おそらく「米を買ったことがない」という人も、べつに珍しい話でもないのかもしれない。

話が少し飛ぶが、ぼくが精米を終えた後もすぐに別のおじさんがコイン精米機を使っていた。東京23区内でもコイン精米機の需要はかなりありそうだ。

⏩ いよいよ精米するぞ

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