特集 2022年1月25日

光るズボンは本当におしゃれなのか改めて原宿で試す

昔の宿題を答えに来た。

人生、いいこともあれば、悪いこともあるだろう。そんな人生の一部であるデイリーポータルZに参加させてもらって7年目になった。今まで書いた中にはみんなに読んでもらいたいいい記事もあれば、消してほしい悪い記事もある。自分の中での悪い記事の例としてあるのが「光るズボンで原宿を歩く」という記事だ。

1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

前の記事:おれだって厚底ブーツを履いてみたい


書き直したい記事がある

この記事は自分としては12本目で2015年6月に掲載された記事だった。アイドルが光るズボンで踊る様子がまるでファンタジーの世界に迷い込んだような雰囲気でとてもよかったので、自分も光るズボンを作ってはいてみたいと思った記事だ。

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みんなこの記事「光るズボンで原宿を歩く」を見てほしい。いや逆に見ないで。恥ずかしいので。

簡単に紹介するとこんな記事だ。

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ペンライトを買ってきて、
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つけてみたがなんかしょぼかったので
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カーテンレースをつけてなんとかしようとしたが、
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なんとかならなかったぜ!(敗因:思ったよりも光ってなかった)

これでアイドルが踊っていたら(このアイドル、お金ないのかな?)と思ってしまうので、ファンはグッズとか一緒に写真とか撮って応援してほしい。

いっさいやる気や「うけたい!」という気合が感じられない記事である。今もそこまでやる気はないけど前よりはうけたいという気持ちがあります。

仲間の力で記事を作り直す

これが前の記事だ。消してほしい気持ちもあるが、あきらめないでどうにかしたい。というより、新しくいい感じの記事にしたい。

こういうとき、自分で考えるとだいたい失敗をするのでちゃんとした人に聞いたほうがいい。なので、服を自作するナミノリさんと、工作を得意する爲房さんにそれぞれ相談した。

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ライターのナミノリさん。話したこともないのに突然連絡をしてしまった。人は追い込まれてるとなんでもできる。
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突然送ったのにすぐにこんなアイデアを送ってくれた。天才か。
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送って頂いたデザイン図。まず、デザイン図を作るという発想がなかったよね。

ナミノリさんの案で早速作ってみよう。ナミノリさんの技術力におれがおいつけるのか。頑張って欲しい。

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100円ショップでLEDライトを買ってきた。まぶしい。
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そして、家ではいてなかったズボンにダメージを与えた。ジーンズにはさみで穴をあけて、手で引き裂く。ごめんなと言いながら。

光らせるなら夜の方がいいと思い、夕方から作業をしていた。昼間はパーカー1枚でなんとかしのげたが、暗くなるにつれて寒くなってきた。これ、風邪をひくパターンか。おしゃれって我慢だと聞いたことがある。まだ、おしゃれになってないけど。

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ライトアップされたジーンズ。「アリーナー」と叫びたい気持ちがある。
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めちゃくちゃ光った。
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アリーナの2階席まで照らせるほど明るい。

撮影に同行してくれた友人がこれを見て「体が悪いところが光るCMを見たことがある」と言ってきた。両ひざ、めちゃくちゃ光っているが悪いところは今のところないです。

同期の仲間に聞いてみる

工作の記事を多く執筆する爲房さん。同じ時期にデイリーに参加した同期である。お互い苦しみや喜びを一緒にわかちあってきた。そんなにわかちあってない。でも、仲間だと思ってます。

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普段は工作記事を中心に執筆する爲房さん。写真は花マンになったとき。
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夜に連絡をしたら営業時間外なのか、なるほどbotになっていた。

ふざけあったところでちゃんと相談に乗ってくれた。やはり光が弱いので数を多くすればどうかとの提案だ。

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数の暴力の提案。

ペンライトをたくさん買ってきてズボンにつけてみようと思う。100円ショップをいくつかはしごして大量のペンライトを買ってきた。

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よっしゃー!作るぜ!!と思ったときに問題が起きた。

ペンライトのふたを開けるのにドライバーが必要なやつだった。ドライバーね、買ってきてないよ。手で開くと思ったから。

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夜の公園はあったかいお茶が恋しくなるほど寒い。準備をするのに30分かかった。

撮影を一緒にしてくれた友人が「こういう作業って家で準備してくるものですよ。外でやっている人、ウェブ記事で見ないですもん。だから、前みたいな光ってないズボンをはく記事になるんですよ」

ぐうの音も出ないとはこのことである。でも、ライブ感ってこういうことだから。

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寒さに負けずにズボンにはりつけた。
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結果、こうなりました。

この姿を見た友人が「エレクトリカルな変質者」と言う。目立つので早めに捕まると思う。安心。

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爲房さん、こうなりましたよ。
いったん広告です

撮影に同行してくれた友人の止まらない愚痴

爲房さんにもうひとつ案をもらった。クリスマスツリーのようなイルミネーションをズボンにしようと言うのだ。それ、2015年のときに考えついて、東急ハンズに行ったら売ってなくてあんな感じになったんですよ。この会話で思い出した。

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歴史は繰り返されるのか。

あのときは「準備するよりも現場に行ってアドリブで色々とやったほうがなんかかっこい」と思っていた。過去に戻って「準備しろ!」と説教したい。この7年間で学んだことは、準備の大切さと困ったときに川の水を飲むとお腹を壊すのでやめたほうがいいということだ。成長である。川の水に関しては今でも飲もうとするときがある。誰かおれを止めてくれ。

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モバイルバッテリーの電源で光るUSB型イルミネーションライトを買った。ランプがついたとき、勝ったと思ったが、問題が起きた。

長さ10メートルあるイルミネーションライトを買ったのだが、こんがらがっていて、全然巻けない。これ、ほどかないとダメだな。友人とほどく。

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あまりの寒さに友人の愚痴が止まらなくなった。

「みんな家でやってるからあれだけいいものができるわけで江ノ島さんみたいに外でやる人ってきっといないですよ。さすがの二人も外でやったら寒くて失敗すると思う。」

「絶対、お二人の名前を出さないほうがいいですよ。こんなのができると思ってないですもん。」

「爲房さん、きっと江ノ島の技術力を色々と考えた結果、簡単にできるものをアドバイスしてくれたんだと思いますよ。」

仲間のやさしさを感じた瞬間だった。涙が出てきそうになったのは、やさしさにふれたせいか、友人にマジレスされたせいか、それともパーカー1枚で来てしまい寒いからなのか。なんにせよ、生きていると感じた瞬間だった。

50分ぐらいかかっただろうか。ようやくほどけたイルミネーションランプをとりつけていく。

ただ巻いただけではなにも自分のアイデアがないと思ったので、巻いた上からレインスーツのズボンをはいてみることにした。

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透明なズボンをはいたらおしゃれだろうと思って買ってきた。
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友人が「寒い」しか言わなくなったので早くやろう。

光るズボン完成

ジーンズの上にライトを巻いて、その上からレインスーツをはく。そして、スイッチをつけたら、パレードが始まった。

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これだ!これをしたかったんだ!!

色とりどりの光がズボンから放たれている。あのときやりたかったのはこれだ。まるでパレードのようなファンタジーな光景が夜の公園に広がっている。広がっているというより、ファンタジーな人が公園にいる。

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やったぜ、過去のおれ。

原宿の町を歩いてみる

完成したズボンで原宿を歩いてみよう。もしかしたら、読者モデルとしてスカウトされてしまうかもしれない。もしくは未来人に間違えられてアメリカの研究所に連れていかれる可能性もある。その場合、会社を休むときって有給扱いになるのでしょうか。

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原宿なら店頭にこういうマネキンが立っていても違和感ない。

歩くと若者たちがこっちを見てきたり、笑ったりしている。おしゃれな人ってこういう気分か。

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でも、おしゃれな服装をしている人が喫煙所から「あれすげー」と言っていたのでおしゃれです。

冷たい風をレインスーツが防いでくれるし、物を落としても明るいから拾いやすい。しかし、コードが巻き付いて歩きづらいという欠点もある。

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最先端ファッションの台頭。
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光っている人、自分以外にいないので帰ります。

今回撮影して発見したことを共有しておこう。

・光るズボンを作るならUSB型の電飾イルミネーションランプを使用すると便利(モバイルバッテリーで電源が取れる)
・冬の外で工作するとつらいのでやめたほうがいい
・昼間が暖かくても夜になると寒いので1枚上着を持っていった方がいい

以上です。上着は絶対に必要なので持っていくべき。


変わらないよさがある

今回、この記事はこちらのイベント(2/5までアーカイブが購入可能。最後に謎の感動をするので全員買ってください)に出したものを記事に修正したものだが編集部の安藤さんからは「昔からやっていることが変わらない」、石川さんからは「マインドとか技術とかはまったく成長しないまま、記事を書く技量だけが上がった」と評価を頂いた。変わらないよさってあるよね。

 

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