変わらないよさがある
今回、この記事はこちらのイベント(2/5までアーカイブが購入可能。最後に謎の感動をするので全員買ってください)に出したものを記事に修正したものだが編集部の安藤さんからは「昔からやっていることが変わらない」、石川さんからは「マインドとか技術とかはまったく成長しないまま、記事を書く技量だけが上がった」と評価を頂いた。変わらないよさってあるよね。
人生、いいこともあれば、悪いこともあるだろう。そんな人生の一部であるデイリーポータルZに参加させてもらって7年目になった。今まで書いた中にはみんなに読んでもらいたいいい記事もあれば、消してほしい悪い記事もある。自分の中での悪い記事の例としてあるのが「光るズボンで原宿を歩く」という記事だ。
この記事は自分としては12本目で2015年6月に掲載された記事だった。アイドルが光るズボンで踊る様子がまるでファンタジーの世界に迷い込んだような雰囲気でとてもよかったので、自分も光るズボンを作ってはいてみたいと思った記事だ。
簡単に紹介するとこんな記事だ。
これでアイドルが踊っていたら(このアイドル、お金ないのかな?)と思ってしまうので、ファンはグッズとか一緒に写真とか撮って応援してほしい。
いっさいやる気や「うけたい!」という気合が感じられない記事である。今もそこまでやる気はないけど前よりはうけたいという気持ちがあります。
これが前の記事だ。消してほしい気持ちもあるが、あきらめないでどうにかしたい。というより、新しくいい感じの記事にしたい。
こういうとき、自分で考えるとだいたい失敗をするのでちゃんとした人に聞いたほうがいい。なので、服を自作するナミノリさんと、工作を得意する爲房さんにそれぞれ相談した。
ナミノリさんの案で早速作ってみよう。ナミノリさんの技術力におれがおいつけるのか。頑張って欲しい。
光らせるなら夜の方がいいと思い、夕方から作業をしていた。昼間はパーカー1枚でなんとかしのげたが、暗くなるにつれて寒くなってきた。これ、風邪をひくパターンか。おしゃれって我慢だと聞いたことがある。まだ、おしゃれになってないけど。
撮影に同行してくれた友人がこれを見て「体が悪いところが光るCMを見たことがある」と言ってきた。両ひざ、めちゃくちゃ光っているが悪いところは今のところないです。
工作の記事を多く執筆する爲房さん。同じ時期にデイリーに参加した同期である。お互い苦しみや喜びを一緒にわかちあってきた。そんなにわかちあってない。でも、仲間だと思ってます。
ふざけあったところでちゃんと相談に乗ってくれた。やはり光が弱いので数を多くすればどうかとの提案だ。
ペンライトをたくさん買ってきてズボンにつけてみようと思う。100円ショップをいくつかはしごして大量のペンライトを買ってきた。
ペンライトのふたを開けるのにドライバーが必要なやつだった。ドライバーね、買ってきてないよ。手で開くと思ったから。
撮影を一緒にしてくれた友人が「こういう作業って家で準備してくるものですよ。外でやっている人、ウェブ記事で見ないですもん。だから、前みたいな光ってないズボンをはく記事になるんですよ」
ぐうの音も出ないとはこのことである。でも、ライブ感ってこういうことだから。
この姿を見た友人が「エレクトリカルな変質者」と言う。目立つので早めに捕まると思う。安心。
爲房さんにもうひとつ案をもらった。クリスマスツリーのようなイルミネーションをズボンにしようと言うのだ。それ、2015年のときに考えついて、東急ハンズに行ったら売ってなくてあんな感じになったんですよ。この会話で思い出した。
あのときは「準備するよりも現場に行ってアドリブで色々とやったほうがなんかかっこい」と思っていた。過去に戻って「準備しろ!」と説教したい。この7年間で学んだことは、準備の大切さと困ったときに川の水を飲むとお腹を壊すのでやめたほうがいいということだ。成長である。川の水に関しては今でも飲もうとするときがある。誰かおれを止めてくれ。
長さ10メートルあるイルミネーションライトを買ったのだが、こんがらがっていて、全然巻けない。これ、ほどかないとダメだな。友人とほどく。
「みんな家でやってるからあれだけいいものができるわけで江ノ島さんみたいに外でやる人ってきっといないですよ。さすがの二人も外でやったら寒くて失敗すると思う。」
「絶対、お二人の名前を出さないほうがいいですよ。こんなのができると思ってないですもん。」
「爲房さん、きっと江ノ島の技術力を色々と考えた結果、簡単にできるものをアドバイスしてくれたんだと思いますよ。」
仲間のやさしさを感じた瞬間だった。涙が出てきそうになったのは、やさしさにふれたせいか、友人にマジレスされたせいか、それともパーカー1枚で来てしまい寒いからなのか。なんにせよ、生きていると感じた瞬間だった。
50分ぐらいかかっただろうか。ようやくほどけたイルミネーションランプをとりつけていく。
ただ巻いただけではなにも自分のアイデアがないと思ったので、巻いた上からレインスーツのズボンをはいてみることにした。
ジーンズの上にライトを巻いて、その上からレインスーツをはく。そして、スイッチをつけたら、パレードが始まった。
色とりどりの光がズボンから放たれている。あのときやりたかったのはこれだ。まるでパレードのようなファンタジーな光景が夜の公園に広がっている。広がっているというより、ファンタジーな人が公園にいる。
完成したズボンで原宿を歩いてみよう。もしかしたら、読者モデルとしてスカウトされてしまうかもしれない。もしくは未来人に間違えられてアメリカの研究所に連れていかれる可能性もある。その場合、会社を休むときって有給扱いになるのでしょうか。
歩くと若者たちがこっちを見てきたり、笑ったりしている。おしゃれな人ってこういう気分か。
冷たい風をレインスーツが防いでくれるし、物を落としても明るいから拾いやすい。しかし、コードが巻き付いて歩きづらいという欠点もある。
今回撮影して発見したことを共有しておこう。
・光るズボンを作るならUSB型の電飾イルミネーションランプを使用すると便利(モバイルバッテリーで電源が取れる)
・冬の外で工作するとつらいのでやめたほうがいい
・昼間が暖かくても夜になると寒いので1枚上着を持っていった方がいい
以上です。上着は絶対に必要なので持っていくべき。
今回、この記事はこちらのイベント(2/5までアーカイブが購入可能。最後に謎の感動をするので全員買ってください)に出したものを記事に修正したものだが編集部の安藤さんからは「昔からやっていることが変わらない」、石川さんからは「マインドとか技術とかはまったく成長しないまま、記事を書く技量だけが上がった」と評価を頂いた。変わらないよさってあるよね。
▽デイリーポータルZトップへ | ||
▲デイリーポータルZトップへ | バックナンバーいちらんへ |