当然そのまま食べたっていいはずだ
スーパーで売られているような普通のお菓子は、手に取ってもらうべく綺麗なパッケージや興味を引く文言が書かれている。
だが、製菓用のお菓子にはそれがない。ただ無骨に何が入っているのかのみ明記され、どんな形なのか分かりやすいように透明な袋や容器に入っている。なにせ材料なのだ。どんなものかが一目で分かる方が大事なのだ。
そしてそれがいい。材料として分かりやすいだけでなく、お菓子としての魅力も一目でガツンと脳に伝わってくるのだ。梅干しの写真を見るとつばが出るように、もう見ているだけでチョコレートの甘みが想像されて食べたくなってしまうのだ。
主役のチョコ、脇役のチョコ
色々買ってきたが、まずは一番最初においしそうに見えたチョコレートから食べちゃう。
売り場にはこんな感じのパッケージで色々なチョコレートが売っていたのだが、当方「チョコ」「ホワイトチョコ」「ミルクチョコ」くらいの区分でしかチョコレートというものを理解していないので、そのまま食べるのに粒の大きさがちょうどよさそうなやつを選んできた。これもパッケージからチョコが見えている利点である。
全然いける。普段食べるようなチョコと比較するとややまろやかだが、ミルクのやさしさと甘さがしっかりある。これに紅茶を合わせたら優雅なティータイムですよ奥さん。
これ材料じゃないよ。ぜんぜん完成品だよ。
クーベルタブレットとは打って変わって神妙な味わいだ。
食べた瞬間の風味はホワイトチョコのそれなのだが、脳が「チョコレートだ!」と認識した時にはすでに後味だけを残して消えていってしまう。眼科検診の気球くらい味が遠い。こんなチョコってあるんだ。
これこそ本当に単体で食べられることを想定しておらず、ケーキとかに塗るためのチョコだったのだ。そう考えると味が薄いのも納得がいく。他に主役の菓子がいるから目立ってはいけないのだ。
ひとえに製菓用チョコレートといっても色んな用途があり、それに応じた味わいになっているわけだ。これは探索のしがいがありますよ。
チョコレートコポーは絶対そのまま食べた方がいい
店頭で見ていて気になったチョコがもう一つある。それがこの「チョコレートコポー ホワイト」だ。
こう、完成したお菓子に仕上げとしてファサーっとかけるタイプのチョコである。だが今日はかけない。なぜならかけるお菓子が存在しないから。
思えば容器も先ほどのチョコと異なり、スプーンですくいやすいように出来ている。こうやって食べてしまいたいという人間の根源的欲求への配慮なのだ。
味がしっかりしたチョコがフレーク状になったことで、舌にすばやく甘味が吸収されていく。ほとんど噛む必要のないまま生きて腸にまで届いている。人をダメにするチョコだ。
思わず二口、三口といきそうになったがやめておいた。もう、戻れなくなるかもしれないから。