特集 2026年3月31日

西表島のシーカヤックツアーで、滝の下で八重山そばを食べてきた

シーカヤックとトレッキングで滝を目指して、なぜか八重山そばを食べてきました。

一月末という真冬に西表島を訪れた。いくら南の島とはいえ、さすがにこの時期だと海水浴は厳しいようだ。そこで初心者向けのシーカヤック体験ツアーに参加してみた。

西表島を走る道路の一番先端にある港からシーカヤックに乗り込んで海を渡り、両岸にマングローブが生い茂る川を逆流し、さらに陸に上がってちょっとしたトレッキングと川歩きをして、ようやく拝めた大きな滝の下で食べる温かい八重山そばは最高だった。体力的になかなか大変だったけど。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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冬の西表島はまあまあ寒い

これまであまり南国に縁のない人生だったので、一月末の西表島がどれくらいの気候なのかピンと来ていなかったのだが、私の体感的には関東の花見シーズンちょっと前くらいの陽気だった。

Tシャツ一枚だとかなり寒く、長袖のシャツやパーカーが常に必要で、太陽が隠れていたらさらに一枚羽織りたくなる感じ。曇天や雨の日も多く、西表島とはいえ冬はそれなりに寒いのだ。

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西表島の桟橋にて。Tシャツの人もいるけれど冬物のコートを着ている人もいる。薄手のダウンを着ている地元の方も多かった。

はるばる西表島に来たのは、この島に住む友人と遊ぶためだったが、彼は真面目に働いているので仕事の日はずっと忙しい。せっかくだからと5泊の予定を立ててしまったのだが、私の予定はほとんどない。

島に渡って友人と落ち合い、今更ながらなにをすべきか相談したところ、「ぱいしぃず」というシーカヤックのツアーガイドを紹介してくれた。

西表島でシーカヤック。陰と陽でいったら陰寄りな私に縁のない世界のようにも思えたが、マングローブの林をゆったりと漕ぎ進む自分に憧れがない訳でもない。せっかくの機会なので申し込んでみることにした。

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ガイドをしてくれたぱいしぃずの近澤さん。

シーカヤックで海に浮かぶ

ぱいしぃずが企画する初心者向けのシーカヤック体験ツアーにはいくつかコースがあるのだが、そこはあまり深く考えず、サイトのリストの一番上にあった「ナーラの滝」で申し込んだ。

今になってサイトの紹介文をちゃんと読んだら、「自分の力を信じて!達成感が待っている 西表島を代表するジャングル、マングローブ、滝をたっぷり満喫できるフィールドです」と書かれていた。要約すると「かなりきついけど楽しいと思うよ」になるだろうか。体力のある人向けだ。

確かに飛び切りの達成感が味わえるコースだったが、事前に説明をちゃんと読んでいたら、もう少し体力的に優しいコースを選んでいたと思う。でも楽しかったから結果オーライ!

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道具はすべてレンタルなので、帽子とサングラスと濡れてもいい服さえあれば参加できる。

シーカヤックには一人乗りと二人乗りがあるそうで、どっちにするか事前に聞かれたのだが、一人で漕げる自信がまったく無かったので二人乗りにした。

オフシーズンの平日だったのでツアーの参加者は私だけ。よってガイドの近澤さんとの二人乗りだ。紹介してくれた友人曰く、近澤さんは八重山で一、二を争うパドリングの名手だそうなので、こんなに心強い贅沢なツアーもなかなかないだろう。

バイクのタンデムだったらガイドが前に乗るけれど、カヤックは後ろに舵があるのでガイドは後ろ。よって私は前に座る。

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すごい、自分が海に浮いている!

近澤さんが抑えてくれているカヤックの座席に乗り込むと、自分が海に浮いている感じに「おおお!」となった。こういう乗り物は遊び程度で何度か乗ったことがあるけれど、何度乗っても無重力体験に近い気がする実におもしろい違和感だ。

すぐに近澤さんも乗り込んで、ナーラの滝を目指して出発進行。さっき陸で教わった漕ぎ方の基本を思い出しつつ、如意棒気分でパドルを動かす。水をしっかり捕まえられた時の抵抗が気持ちいい。どっちを目指しているのかまったくわからないが、とりあえず前に進んでいく。

やたらと細長い形なので不安だったが、安定性はかなり良さそう。足元のスペースも驚くほど広い。たまにシーカヤックで旅をするという話を聞くが、なるほど意外と荷物が運べる乗り物のようだ。

2時間かけて川を遡上する

しばらく夢中で漕いでいたら、早くも肩と腰が痛くなってきたので、たまにサボって背伸びをする。これが自転車だったら倒れるが、タンデムのシーカヤックは前に進む。

さらにパドルを握る親指の付け根も痛くなってきたので、うどんの生地を伸ばすときに麺棒を押さえるように、他の指と同じく上から握る。招き猫みたいだ。

こういうのは漕ぐ正しいフォームを覚えれば楽に進むようになるのだろうけれど、見本とすべき近澤さんのパドリングは、真後ろなのでまったく見えない。

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なにやら標識のようなものを発見(実際は少し離れていたので帰るときに近づいて撮影)。

手の力で進むという行為に少し慣れてきた頃、「二級河川仲良川起点(左岸)」という石の標識が見えた。ここで海から川へと切り替わるようだ。仲良川は「なからがわ」と読むが、昔から地元の人は「ナーラ」と呼ぶからナーラの滝。

とはいえ自然の話なので、海と川がそんなにはっきりと線引きされる訳は無く、上流に進むにつれて少しずつ塩分濃度が下がっていく。この変化の大きい汽水域独特の環境によって、両岸に生い茂る植物の種類が少しずつ入れ替わる。

こういった説明を近澤さんに聞きながらのんびりと川を進むのが、最高に楽しいのである。腕を伸ばせばすぐ水に触れられるシーカヤックだからこそ、五感で感じられるものがたくさんあった。

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体はきついが気分は上々。
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一番海寄りに生えるのがヤエヤマヒルギというマングローブ。マングローブは汽水域に自生する植物の総称だそうで、独特な形をした根に塩分をろ過する機能が備わっているそうだ。
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近澤さんに話を聞きながら進むからこそ西表島への理解が深まる。
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上流へと進むとマングローブが根の短いオヒルギやメヒルギに入れ替わった。
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オクラみたいな形の種が赤っぽいのがオヒルギ。
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緑色をしているのがメヒルギ。
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流れてきたオヒルギの種。これが一つの種で、あえて浮力をバラバラにすることで広い範囲に種を届けるのだとか。
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干潮が近かったので干潟が表れていた。その上にはおびただしい数のミナミコメツキガニ。横ではなく前に歩く珍しいカニだ。
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巨大な流木が行く手を阻むが、シーカヤックなら余裕で乗り越えることができる。
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少しずつ川幅が狭まってきた。
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マングローブを抜けると景色が大きく変わり、今度は竹が現れた。中国の大河を旅している気分だ。
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巨大な綿毛はサカキカズラ。
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ちょっとジャスミンにも似た良い匂いがするなと思ったら、岸辺にタイワンオガタマが咲いていた。
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エゴノキの花が無数に浮かぶ水面は天国感がすごかった。夏になれば、夜咲いて朝に散るサガリバナでいっぱいになるそうだ。

このようにとても楽しいシーカヤックなのだが、運動不足の初心者にとって、のんびり自然観察しながらでも、2時間はなかなかの重労働だった。まさかの2時間だ。サイトの案内をしっかり読めば、ちゃんと2時間の行程だと書かれていたのだが。

しかもこの日は向かい風に加えて下げ潮(潮位が下がっていく時間は川の流れが強くなる)だったので、逆の条件に比べるとだいぶ大変だったらしい。ですよねー。

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ようやく上陸。二人乗りなので私がサボり続けても進むのだが、やっぱり自力で来たという気分に浸りたかった。

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