滝を目指して山を歩く
すでに十分達成感を味わった気もするが、目指すナーラの滝はまだ遠い。ここから先はシーカヤックでは登れない渓流ゾーンなので、上陸してジャングルのような山道を登っていく。
ここまで疲れているのは主に上半身だけなので、歩き回る分の体力ならまだ残っている。もちろんこちらも近澤さんの自然観察付きなので、一人だったら通り過ぎてしまうような草や花が魅力的に見えてくる。
シーカヤックを降りて、今度は山歩きを楽しむ。
ルリミノキ。まさに瑠璃色の木の実だ
縁起物とされるセンリョウ。染料ではなく千両。
こちらはマンリョウ(万両)。正月の飾り物なども使われるそうだ。
縁起物とされるクマタケランはタケでもランでもなくショウガの仲間でややこしい。真冬でも実をつけている植物が多いことに南国らしさを感じる。。染料ではなく千両。
首里城などにも使われたというオキナワウラジロガシの大木。ウラジロというだけあって葉っぱの裏が白い。日本一大きなドングリがなることで有名だが、リュウキュウイノシシの大好物なので一つも落ちてなかった。
近澤さんがポケットから取り出したオキナワウラジロガシのドングリ。でかい!
本州のツワブキとは葉の形がちょっと違うリュウキュウツワブキ。
しばらくご機嫌で歩いていると、ずっと聞こえていた水の音に、さらに大きな音が重なってきた。そして曲がりくねった沢の先に、この冒険の目的地にふさわしい大きな滝が見えた。あれがナーラの滝なのか。
少し早歩きになって、でも慎重に滝を目指す。
沢の流れは緩やかだが、もう右上に滝が見えている。
滝に近づくルートがまた楽しいんだ。
とうとうナーラの滝に到着。ゲームだったら絶対に何らかの重要アイテムがある場所だ。
シーカヤックを2時間漕ぎ、山道を40分歩いて辿り着いたナーラの滝は、とてもドーンとしていた。さすがはオフシーズンの平日、我々以外は誰もいない完全貸切状態。水量が豊富でマイナスイオン浴び放題。文字に表しにくい爆音が心地よい。
じっと滝を眺めていたら、近澤さんから「滝つぼで泳ぎますか?」と笑顔で聞かれた。もう少し温かい時期だったら最高なのだろうけれど、さすがに今日は寒そうだ。
冬の西表島は空いていていいんだけど、やっぱり泳げないのが切ないなとしゃがみこんで、伸ばした腕をチャプチャプと濡らす。
記念写真を撮ってもらったらダブルピースが自然に出た。
昼食はまさかの八重山そば
時刻はちょうど12時。ここでランチをいただくのだが、近澤さんが用意したメニューに驚いた。
なんとこんな場所で沖縄そばなのだ。いや西表島は八重山諸島だから八重山そばか。
待望のランチタイム。
「(駐車場が近い)海だったらタコスとかパエリアとかも作れるんですけど、こういう場所は小人数ならそばが結構定番。お弁当を作るよりも簡単なんですよ」
言われてみれば確かになのだが、出発前に干し椎茸を入れて戻してきた水を沸かしてスープを作り、手作りのラフティ(皮付きバラ肉の角煮)やコマツナを煮て、軽く温めたそば(茹で麺なので茹でる必要がない)にかけるという、簡単と言いつつもこだわりを感じる作り方だ。
メニューはまさかの八重山そば!
八重山そばの知らない一面を見ることができて感激している。
今回の旅では何度か食べている八重山そばだが、まさかこんなシチュエーションで食べられるとは。
熱いスープと優しい麺が、うっすら濡れた体を芯から温めてくれる。丼がちゃんと陶器なのがすごい。わざわざここまで担いできてくれたのだ。
すっかり汁まで飲み干した。ものすごく特殊な状況だからこそ、そばの利便性や心身への染みやすさがよくわかる。アウトドア(あるいは外での仕事)と八重山そばは、意外と昔から近い距離にあるのだろう。
すごく合成っぽい写真。
食後は近澤さんが淹れてくれたコーヒーを、黒糖を齧りながらいただいた。
2時間40分かけて港へと戻る
しばらくボーっとしたところで、来た道をまた歩き、再びシーカヤックを漕いで港まで戻る。
帰りは川の流れがあるから行きよりもだいぶ楽かと思いきや、ちょうど上げ潮に変わっていた上、風向きまで逆になっていた。
西表島の大自然よ、極上の達成感を味あわせてくれてありがとう。
登った分だけ降りないといけないけど、それが人生というものだ。
ヒカゲヘゴという巨大シダ植物。あの新芽は食べられるそうだ。
寒い時期なので生き物は少なかったが、サキシマキノボリトカゲを見ることができた。
上空を舞うカンムリワシ。フィーフィーという鳴き声が沖縄の人が吹く指笛みたいだった。
さっきまで干潟だった場所でエサを探すクロツラヘラサギ。
ようやく港に戻ってきたよ。
ツアーの様子を動画にまとめました。
別の会社が企画しているナイトツアーもおもしろかったです。
西表島のような南の島でのシーカヤックという陽気なアクティビティが、私に合っているのかかなり不安だったが、物静かだけど頼りになる近澤さんとの二人旅というシチュエーションのおかげで、すごく楽しい思い出になった。あるいはまったく違った状況でも、それはそれでもおもしろかったのだろうか。
もしシーカヤックを自由に乗りこなせたら、さぞや楽しいのだろうなと思いつつ、また西表島に来ることがあれば、今度は沖縄で一番の落差を誇るピナイサーラの滝へ行くツアーに参加しようと心に決めた。次こそは一人乗りのシーカヤックを漕いで、自力で滝を目指してみようと思う。
宿の片隅でなにかが動く気配がしたので、びくびくしながら確認したらヤモリの赤ちゃんだった。
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編集部からのみどころ
玉置さん体力ありますね! 重い製麺機を持ってあちこち行ったりしてタフだなと思ってましたが、ここまで体力勝負のアクティビティを完遂できるとは。
滝の下の八重山そばが思ったよりも違和感なくなじんでいるのも意外。
あと、写真にカヤックの先頭が映り込んでいるとビーパルとか野田知佑さんのような本格アウトドア感が出ますね。(林)