オーブン予熱なし250度30分で十分おいしい
近頃の私の芋の焼き方ときたら、こうだ。
(1)適当に買う
(2)洗う
(3)余熱なし250度のオーブンレンジに30分放り込む
(4)うまい
もちろん、石焼き芋屋さんやスーパーの焼き芋機のほうがぐっと芋のポテンシャルは引き出せるだろう。
芋は低温で時間をかけて焼くことで甘みも食感もぐっと良くなると言われているから、自宅でも低温で、かつ濡れた新聞紙やアルミホイルで巻くなど焼く工夫をすることでさらに美味しく焼けるのは間違いないと思われる。
けれど、手をかけずにさっさと焼いてももうぜんぜん、おいしいんだ。
私はこの方法でもはやほとんど納得の境地にいる。
適当に買っても芋がブランド芋
かつてはあんなに世話が焼けた芋だったが、なんで今やこれで十分なのか。
単純にさつまいもが美味しさ方向へぐっと進化した、ということだと思う。
ほくほく食感が至上であったさつまいもに、安納芋のブームでねっとりという概念が注目されるようになったのが2000年のはじめだ。
その後、2007年には現在のねっとり系のトップランナーである「べにはるか」が登場し、一気にねっとり芋が手に取りやすくなった(コンビニやスーパーに焼き芋機が登場したのもこの頃らしい)。
あの頃、近所の八百屋のおじいさんが「大変な芋が出た」と べにはるかを売ってくれたのを覚えている。
おじさんの発言こそが歴史の転換点だったのだ。
適当に買った芋、この芋の袋、ひっくり返すとちゃんと品種が書いてあった。
「紅優甘」は茨城県生方市で生産されたべにはるかを独自に商標登録した名称だ。つまり、さつまいも王国茨城県の誇る名品種ということで、こんなの間違いない。
それが、しれっと「適当なさつまいもでーす」という様相で売られているのだから現世は恐ろしいという話だ。
ほくほくも見直されてきている体感
個人の体感で言うと、ほくほく食感からねっとり食感へ焼き芋としての主流が大きく移り変わって以来、ほくほく系品種は料理需要などを支えている印象だった。
が、近頃はほくほく系も焼き芋として見直されているように思う。
1984年に登場し、長らく焼き芋界を仕切ってきた、ほくほく系の王者ベニアズマは今ももちろん現役で「紅こがね」等のブランド名で並ぶ。
ベニアズマよりもずっと前、1945年からあるほくほく系の元祖高系14号とよばれる品種の派生ブランド「鳴門金時」も元気だ。
ただ、ほくほく系の品種は加熱のコントロールが素人には難しい。
雑に焼くならねっとり系が楽だ。ねっとり系が家庭の台所に浸透したことが、芋が焼きやすくなったというイメージに直結しているのだろう。
レンジで、鍋で、炊飯器で、もっと雑に食べる
冒頭で、以前は上手く焼くにはコツがあったと書いた。
これについては2006年と2014年にそれなりにきちんとした検証記事を書いたのだった。ちゃんとしたい方はこちらをどうぞご覧ください。
結局、芋は何で焼けばいいのか(2006年)
https://dailyportalz.jp/b/2006/12/04/a/
芋はホイルで包むと包まないでは焼き上がりの味が違う(2014年)
https://dailyportalz.jp/kiji/140207163226
電子レンジ焼き芋の超進化を知らなくて悔しかったので検証(2014年)
https://dailyportalz.jp/kiji/141119165662
上記記事の再紹介で免罪を得たことにし、ここからはおいしい芋が手に入りやすくなったからこその、手を抜く側の検証をさらに進めたい。
オーブンレンジに30分放り込むいつもの方法の他になにかいい方法はないか。電子レンジ、鍋(茹でる)、炊飯器で探った。
なお、芋はすべて、例の紅優甘を使う。
さつまいもを雑に食べる:電子レンジで
自宅で手軽に芋を食べること、それはいかにレンジでうまいことやるかの戦いだ。
レンジでのハックの究極は結局は上記にも引用した、ワット数を変えてレンジアップする2014年の方法がいい(電子レンジ焼き芋の超進化を知らなくて悔しかったので検証)。
それでもそれなりに手間はだから、今回は手間のない雑な方法を試してみた。
結果、紅優甘をもってしてもパサついてしまった。
次のさつまいもの進化が訪れるとしたら、それはレンジでの適当な加熱に耐えたときかもしれない。