最北端の駅「稚内駅」
最北端にロマンを感じる。私は子供の頃、鹿児島に住んでいたこともあり、最北端は遥か彼方の存在だった。そんな存在の一つ、最北端の駅「稚内駅」を訪れた。ちなみにJR日本最南端の駅は鹿児島の「西大山駅」だ。
稚内駅は北海道の稚内市にある。元々は1928年の「稚内港駅」が始まりで、1939年に「稚内駅」に改称された。実はそれまでも「稚内駅」はあったのだけれど、そちらは「稚内南駅」となった。
稚内駅は大きく綺麗だ。2012年に再開発で複合施設となり、その中に稚内駅が含まれる。全てを集約したような感じで使うには便利だ。稚内駅があり、バスターミナルがあり、道の駅もあるのだ。さらに観光案内所、コンビニ、映画館、グループホームなどもある。
純粋に駅だけを見れば単線で、電車の本数も両手で足りるほどだけれど、いろいろな施設があることで、駅に来る人は多いのではないだろうか。道の駅もあるので、車での旅行者にも嬉しい。この道の駅は最北端の道の駅となる。この辺りにあるものはだいたい最北端だ。
ちなみに観光案内所の近くで、稚内の特産品が当たるというガチャがあった。外れた場合は「出汁之介」という稚内のゆるキャラの缶バッチがもらえるのだけれど、それを引いたら当たった。
昔の最北端「抜海駅」
最北端の駅は「稚内駅」なのだけれど、ここから南下すると様々な最北端の駅を見ることができる。あるいはできた。まずは運賃表の駅を見てみたいと思う。稚内駅で撮ったものだ。
稚内駅の隣が南稚内駅で、その隣が「勇知駅」となっている。しかし、2025年3月15日のダイヤ改正が行われる前は南稚内駅と勇知駅の間には「抜海駅」があった。この抜海駅は稚内市抜海村に存在し、最北端の無人駅であり、最北端の木造の駅舎の駅だった。
今はもう廃駅だ。ニュース記事では2025年7月中旬から取り壊し作業が始まるとあった。私が訪れた時はまだあったので運が良かった。それでも駅名の看板などはすでに取り除かれていた。
駅の周りにはとても静かな場所だった。駅から続く道の先に海がある。その両脇にはイタドリが私の背よりも高く伸びていた。時折車が停まり、駅の写真を撮って去っていった。私のようにかつての最北端を一目見ようという人がいるのだろう。
木造の駅舎と言われて納得しかできない佇まいが実に素晴らしく感じた。ちなみに抜海という駅名は地名で、その地名は近くにある「抜海岩」からきている。大岩が小岩を背負うように見えることから、アイヌ語で「バッカイ・ぺ=子を背負う・もの」に由来しているそうだ。抜海岩陰遺跡の説明看板に書いてあった。


