特集 2025年12月16日

100年前に開通した、ハンブルクで現役の川底トンネルを歩いてみた

ドイツ・ハンブルクの「旧エルベトンネル」という川底トンネルをご存知だろうか。

1911年に開通した歩行者トンネルで、100年以上経った今も内装やエレベーターなどが昔のままなのだそう。しかも、現在も無料で利用することができるのだとか。

ちょうどハンブルクに来ていたので見に行ったら、想像を超えるカッコよさだった。

1986年東京生まれ。ベルリン在住のイラストレーター兼日英翻訳者。サウジアラビアに住んでいたことがある。好きなものは米と言語。

前の記事:ノルウェーのキットカットもどきを食べてみた

> 個人サイト >words and pictures >ライターwiki

ヨーロッパ屈指の港街、ハンブルク

ついこの間、ドイツのハンブルクという街に行ってきた。

ハンブルクは人口190万人以上のドイツ第2の都市。1189年に開港したハンブルク港は、今もヨーロッパ内でも最大級の港としてドイツの経済を栄えている。

ハンブルクは、私の住むベルリンから電車で2時間ほど。何度か訪れたことがあるが、ちゃんと観光したことがなかった。

今回こそは港街らしいスポットを見てみたいなと思い調べていたところ、「旧エルベトンネル」という場所を見つけた。

なんでも100年以上前に開通した歩行者用のトンネルだそうで、開通当時はヨーロッパ最大級のものだったそうだ。

現在も昔と変わらず利用され続けており、しかも無料で通ることができるのだそう。

なんだか面白そうなので、見に行くことにした。

開通当時はヨーロッパ最大級の水底トンネル

旧エルベトンネルの名前の由来は、ハンブルクを流れるエルベ川。トンネルはエルベ川の北岸と南岸の間の500mほどの距離を繋ぐ。

旧エルベトンネルの入り口はハンブルク中心部のサンパウリ地区にある。船員たちの歓楽街だったことで有名なレーパーバーンもすぐ近くだ。

IMG_0549.JPG
緑色の線の「2」の部分が旧エルベトンネル。エルベ川の北岸には繁華街や住宅街、南岸には港や工業地帯がある。

日曜日の早朝、電車でトンネル最寄駅の「ランドゥングスブリュッケン駅 (Landungsbrücken)」へ向かった。

雨がよく降るハンブルク。窓の外にぼんやりエルベ川が見える
IMG_0475.JPG
駅を出ると雨は止んでいた。これからトンネルの中だからあんまり関係ないけど

エルベ川の方に向かって進むと、サンパウリ桟橋が見えてきた。トンネルの入り口はこのあたりにあるはずだ。

時計塔と緑色のドーム型の屋根がかっこいい、サンパウリ桟橋
IMG_0583.JPG
現在桟橋からは遊覧船やフェリーが出ている。反対岸にはクレーンがずらっと見える

サンパウリ桟橋をさらに進んでいくと、それらしきドーム型の屋根の建物が見えてきた。トンネルの入り口だ!

本当にここからトンネルに入れるんだろうかと疑ってしまう、古代ローマの神殿を思わせる建物
右側に回ってみると、こちらも見事な門構えでとてもトンネルの入り口とは思えない
トンネルは現在工事中らしいが、普通に利用できるとのこと。朝の早い時間にもかかわらず、観光客らしき人が結構いる
アールデコ調の幾何学的なモザイクの入り口。まずはこちらから入ってみよう……
わっ!!

扉を開けるや否や、巨大な吹き抜けの空間が目の前に広がった。円状の壁を沿って、2つの交差する細い階段が地下まで続いている。

IMG_0483.JPG
そして右に目を向けると、大きなエレベーターが4基!この鉄と木のレトロ感がワクワクする
いったん広告です

私が入ったのは階段専用の入り口だったようで、エレベーターは先ほど右側にあったゲートのような入り口から乗れたみたいだ。まずはとりあえず、階段で下まで降りてみよう。 

シンプルで優雅な階段。壁には温かみのあるオレンジ色のタイルと装飾が施されている
ちょうど人がすれ違うことができるぐらいの幅がある

降りていくと、階段が少しゆらゆらと揺れる。高所恐怖症の人にはおすすめできないが、歩きながら壁の装飾が間近に見ることができて面白い。

階段の途中にはこんな植物のようなモチーフや、
トンネルの建築家や建設に携わった人の彫刻などが。ちょっと教会の聖人感もある
下の方に降りていくとこんなデザインも
20世紀初頭らしい、ツェッペリンと飛行機のモチーフだ
やっと下に到着!
下から見上げるとこんな感じ。左側が階段で、エレベーターのシャフト

港で働く人のために作られた、通勤トンネル

思っていたより建物も装飾もゴージャスな旧エルベトンネルだが、もともとは港で働く労働者たちのための通勤トンネルとして作られたそう。

19世紀後半には世界貿易が急激に拡大し、ハンブルク港の需要はますます増加した。その爆発的な成長に応えるために、エルベ川の南側に港が拡張された。

IMG_0536.JPG
19世紀後半の港の様子。当時のハンブルクはコーヒーやココアの貿易が世界最大だったり、ドイツからアメリカに移住する人々のためにも重要な港だった

だがここで一つの問題が浮上。港で働く人々は住宅街のある北岸から南岸の波止場エリアに行くために、毎日フェリーに乗らなくてはいけなかった。エルベ川の交通量がすでに限界だった上に、悪天候の場合は船が出せなかったり、毎日の通勤が困難だったそう。

この問題を解決するべく、1907年から4年間かけて旧エルベトンネルが建設された。 

別案として橋からゴンドラを吊り下げる運搬橋のアイディアも出されたそうが、船の行き来の邪魔になるなどの理由でトンネルを作ることにしたそう。 

IMG_0679.JPG

1911年に開通後、年間1900万人もがトンネルを通って通勤した。安全で、しかも無料で利用できるエルベトンネルは港で働く人の通勤を大いに短縮したのである。

IMG_0491.JPG
当時の写真。ものすごい通勤ラッシュだ

⏩ トンネル内の海の生き物たちがおもしろすぎる

▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>

記事が面白かったら、ぜひライターに感想をお送りください

デイリーポータルZ 感想・応援フォーム

katteyokatta_20250314.jpg

> デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」が届きます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ