特集 2023年6月20日

走るアクリルフィギュア! プルバックで動くおもちゃを作る

アクリルフィギュアのスタンドに、プルバックの機構を組み込んでみた

後ろに引っ張ってから手を離すと、勢いよく前に進んでいく「プルバック」という仕組み。車のおもちゃ(チョロQなど)によく使われている方式である。

後退させることでぜんまいバネを巻き、それが元に戻ろうとする力で走るという単純な原理なのに、今も昔も子どもたちを夢中にさせている。

これを使って何か新しいものが作れないだろうか。たとえば、いま流行りの「アクリルフィギュア」と組み合わせると新たな世界が開けないだろうか。試しに作ってみたい。

1983年徳島県生まれ。大阪在住。散歩が趣味の組込エンジニア。エアコンの配管や室外機のある風景など、普段着の街を見るのが好き。日常的すぎて誰も気にしないようなモノに気付いていきたい。(動画インタビュー)

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プルバックのユニットを買ってきた

新しいプルバックのおもちゃが作りたい。まずは、そのための部品を集めるところから始めよう。

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プルバックの機構部分だけが単体で売られていたので、とりあえず買ってみた

プルバックユニットは超シンプルだ。熟成した技術だけあって、まったく無駄のない完成した造形。それでいて工夫の塊のような仕組み(巻くときと走るときでギア比が変わるなど)を持っていて、こんなものが300円くらいで買えていいのかと思った。

でも本当にこれだけなので、別途タイヤ等のパーツを買わないと遊ぶことができない。どうしようかと悩んでいると、そういえば百均ショップでもプルバックのおもちゃを売っていることを思い出した。そのパーツを流用できないだろうか。

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早速、近所のダイソーで買ってきた。もちろん値段は110円
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これを分解すると、見たことのあるプルバックユニットが出現……!
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左が百均の救急車から摘出したユニットで、右は別途買ってきたユニット。ほぼ同じだ

タイヤを流用しようと思っていただけなのに、思いがけずプルバックユニットも入手できてしまった。そりゃそうか。

このユニットを単体で買うと300円台なのに、百均のおもちゃだと、さらにタイヤや外装までセットになって110円。深夜の通販番組のような展開に、これぞ経済という感じがして清々しい気分になった。

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ただ、さすが安いおもちゃだけあって、タイヤがすべてプラスチックだった

タイヤの摩擦が少なすぎるため、フローリングの床で遊ぼうとするとタイヤが滑って全く進まないのだ。なるほど、絵に描いたような値段と性能のトレードオフである。百均商品からはいろんなことを学ぶことができる。

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結局、タミヤのミニ四駆用タイヤを買ってきて流用することにした。タイヤ部分はゴムになっており、ちゃんとグリップ力がある

さてユニットとタイヤを入手したことで、自分でプルバックのおもちゃを作る土台が整った。

既存のプルバックのおもちゃは、ほとんどが自動車などタイヤで走るものがモチーフになっている。でも、走らせると面白いものって、もっといっぱいあると思うのだ。たとえば、非常口のピクトグラムとか。

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非常口の人が実際に走っていると面白い(どことなくキースヘリング)

構造上どうしてもタイヤが必要になるけれど、できるだけタイヤは目立たないように隠したい。そして車みたいな立体物の造形は大変なので、基本はアクリルフィギュアを立てるようにして、アクリルフィギュアのスタンドを兼ねたプルバックユニットにすればいい。

なかなか言葉で説明するのは難しいが、トップ画像を見てもらえれば一目瞭然だと思う。これを作っていきたい。

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アクリルフィギュアスタンド兼プルバックユニットを作る

自作が難しい基本のパーツは既製品で揃えた。残りの部分は、3Dプリンタを使って自作しよう。

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まずは、プルバックユニットを載せる土台部分。一番左が初代で、一番右が最終版だ。ほとんど変わってないように見えるが、細かな調整を重ねて試行錯誤する
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プルバックユニット、タイヤ、そして完成した土台部分を組み合わせると、それだけで小さい車になった。これぞ「動力を持った最小限の車」であり、見た目もかわいい
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前輪は省略して、突起だけを付けてある。全体的に軽いものなので、タイヤがなくてもこの突起を擦りながら普通に走ることができる
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そして、この動力ユニットをすっぽりと覆うサイズの箱状のものを用意し、
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連結させると完成だ。動く仕組み自体がシンプルなので、完成形もシンプルな造りで実現できた。たまには電気を使わない工作もいい
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これだけ見るとただの箱だが、ちゃんとプルバックとして動くことができる。天面の穴は、アクリルフィギュアを差し込むためのもの
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せっかくなのでユニットを2セット作って、
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最終的にこうなった

絵面としては「走る箱」みたいなシュールなものになっているが、肝心要は、この上に乗せるアクリルフィギュアの方である。そこが取り替え可能になっていることで、土台部分の箱はある意味、組み合わせ次第で無限の可能性を持っているパーツであるとも言える。

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アクリルフィギュアを作る

近年、急速に勢力を伸ばしているアクリルフィギュア。安く簡単に作れるし、そのわりに飾りやすくて見栄えがいいので、流行っているのも納得である。

ただ自作しようと思うと、アクリルに印刷するためのプリンタ「UVプリンタ」がネックになる。アクリルをカットするレーザーカッターはうちにもあるのだけど、さすがにUVプリンタは個人で買うには躊躇する値段である(軽く100万円以上する)。なので今回は、カットしたアクリルにシールを貼って、それらしいものを作ることにした。

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まずはレーザーカッターでアクリルをカットして、
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そこに家庭用プリンタで印刷したシールを貼る。完成

初めて作ったのだが、あっと言う間にそれっぽいものができてしまった。9割くらいは、単にレーザーカッターのなせる技である。レーザーカッターは偉大だ。

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計4種類の形状にアクリルを切り出して、
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それぞれシールを貼れば完成である
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非常口の人だけは、緑の半透明アクリル板をただ切っただけである。素材の良さを生かした、自然派料理のようなピクトグラム
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そしてこのアクリルフィギュアを、先に作っておいた土台に差し込むことで全体が完成する

ちょっと土台が大きくて不自然ではあるが、「こういうアクリルフィギュアスタンドだ」と言い張れば、そう見えなくもない。自走するアクリルフィギュアスタンド、ここに誕生!

⏩ アクリルフィギュアが走る!

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