冬はルイボスティー、夏はうまい水
冬の間はずっとルイボスティーを飲んでいたのだが、あたたかくなってきてお茶がつらくなり、かといって冷やすのも手間……ということで見つけた最適解がうまい水である。冬がくるまで、たっぷり楽しんでおきたい。
コロナの影響でテレワークをしている。
会社で働いていたころと大きく変わったことといえば、飲み物に凝るようになったことだ。家のキッチンなら茶葉もお湯も食器も冷蔵庫も使い放題。
いろんなものを試した末、たどり着いたのがこの「うまい水」である。
レストランやホテルのフロントで、フルーツを浸した水が用意されていることがある。
フルーツウォーターとかデトックスウォーターとか呼ばれている。
あれが好きなのだ。
果汁が絞ってあるわけではないので、飲んでみてもべつに果汁の味はしない。ただほのかにフルーツの気配がある。
「風味」という言葉を、それまで意味があいまいなままなんとなく使っていたが、フルーツウォーターを飲んで「これが風味か」と理解した。
正直、ジュース的なものを期待するとガッカリすることになる。甘くないし、舌にダイレクトにフルーツの味がするわけではない。
しかし、水としては抜群においしいのだ。「うまい水」として捉えるのが正解なのである。
このフルーツウォーター、家でも飲みたいなーと思っていたが、生フルーツを用意するのは手間だしコストもかかる。
しかし最近、ハッと気づいたのである。
フルーツウォーターに溶け込んでいるのは微量の果汁。ということは、ジュースを薄めればフルーツウォーターになるのではないだろうか。
フルーツウォーターの代用なので、ジュースのつもりで飲むと薄い(あたりまえだが)。あくまで「うまい水」として捉えると、この豊かな世界が理解できるはずだ。
使用するジュースの種類については後述するが、わりとなんでもいい。初めてなら柑橘系がわかりやすいと思う。
どちらかというと水が大事で、味が濃くつくわけではないので水道水だとカルキ臭さが気になる場合があるかもしれない。
その場合はミネラルウォーターを使うか、うちではブリタのポット型浄水器を使っている。
さて、ここまで「うまい水」と呼んできたが、ただうまいだけではない。
①健康的(ローカロリー)
ジュースを湯水のように飲むと摂取カロリーが大変なことになるが、こちらは湯水のようどころか本当にほぼ水なので、非常にローカロリーである。
②ランニングコストが安い
大さじ一杯のジュースがあればコップ1杯の飲みものが作れる。ジュースを飲むのと比べても、生フルーツでフルーツウォーターを作るのと比べても、圧倒的低コストなのである。
イタリアではペペロンチーノが「貧者のパスタ」と呼ばれているそうだが、こちらはいうなれば「貧者のフルーツウォーター」だ。
③手軽
作るのが簡単。ジュースの量もこまかく計る必要はなくて適当に入れればよいし、お茶をいれるときのような待ち時間も発生しない。
このように、いま人類が求めているスペックをすべて満たすイノベーティブな飲み物なのである。
……と、こうして僕がうまい水を常飲しはじめたのが、かれこれ3カ月ほど前の話だろうか。
色んなジュースをためすうち、ある時、気づいてしまったのだ。
これ、ジュースじゃなくてもよくね…?
世の中に1万種類の飲みものがあるとしよう。この発見により、それが一気に2万種類になった。すべての飲みものに対して、「それを水で薄めたもの」というバリエーションが生まれたのだ。
ではどんな飲み物を薄めると特に「うまい」のか、飲み比べてみよう……と展開するのが当サイトの定番の流れだが、今回はそんなまどろっこしいことはしない。なぜなら数か月の薄め生活を経て、僕はすでにすべてを把握しているからだ。
代わりに、僕のおすすめの「うまい水ルーティン」を紹介していきたい。
朝いちばんの目覚ましはコーヒー水。
コーヒーの香りをほのかに感じつつも、カフェインはごく微量で胃にやさしい(筆者はコーヒーを飲むと胃が痛くなるタイプです)。
味としては水の味が残りやすいので、水道水の場合は少し濃いめに作ってもよい。
濃厚なスムージーは薄めても香りが強く、飲みごたえのある「うまい水」だ。
今回はモモとオレンジのスムージーをチョイス。フルーツの存在感が強いので、ダイエット中にジュース代わりにのむのもよさそう。
さわやかな香りと、ほのかな酸味の気配で食欲がわく。
それでいてジュース原液のように主張のある味ではないので、食べ物の邪魔をしない。まさに食事時にピッタリ。
また、このグレープフルーツジュース水は、うまい水の標準モデルといった立ち位置の定番ブレンドでもある。TPOを選ばずどんなシチュエーションにもマッチする。
エナジードリンクのモンスターエナジー。
薄めたモンエナは、正直、あんまりおいしいわけではない。ただ薄めてもエナジードリンクっぽい質感は健在で、「やるぞ」という気持ちにはしっかりなる。ローカフェイン/ローカロリーでテンションを上げられるのが特徴だ。
とはいえ、これだけ薄めるとエナジードリンクとしての有効成分はほとんど入ってないわけだが。別名プラシーボ水。
とにかく優しい味がする。うっすら体調がすぐれないときに飲みたいうまい水である。
なお公式サイトでは「薄めると水分補給機能が落ちます」と明記されている。熱中症対策等でなく、あくまで嗜好品としての飲み方であることに注意してほしい。
ちなみにこれは、実は知人にきいたポカリの飲み方。自分以外にも薄めの手練れがいたとは。
5倍が標準とか、いや3倍がうまいとか、しばしば薄める倍率が話題になるカルピス。思い切って100倍くらいに薄めてみると新たな地平が開ける。
ほのかに甘く、ほのかに香る。さらにカルピス特有のちょっと舌にまとわりつくような感じは健在、カルピスを飲んでいるという感じはしっかりする。
甘いおやつと通常カルピスを合わせると甘すぎるので、このくらいがちょうどいい。
今回紹介するなかでもかなりおすすめなのがこの、コーラ水。
カラメルの香りにちょっとした苦みが残り、飲み飽きない味。ジャンクフードのイメージもあるコーラだが、薄めると一変、大人が作業中に飲むのにぴったりだ。
炭酸は感じられなくなるので、元のコーラとは別ジャンルの飲みものと考えるとよい。
夜はもっぱら部屋を暗くして楽器の練習をしているのだが、そんな時に手元に置いておきたいのがこのグレープジュース水。
味は甘くないけど、ブドウの香りがしっかりするので、ちびちび飲んでも満足感が高い。色はしっかりした紫色になり見た目にも優雅である。飲み物としての満足感が非常に高いのだ。
ワインを飲むような感じで少しずつ飲んでいくとよい。
さて、ここまで、いくつかの写真でグラスにハーブが入っているのに気づいた人もいるかもしれない。
水で薄めただけで十分においしい「うまい水」だが、ここにミントを入れることで「超うまい水」に進化するのだ。
3週間ほど前に小さな苗をホームセンターで買った。スーパーでハーブとして買うより、苗を買った方が安かったのだ。
それをそのままそだててみたら、短期間でモリモリ伸びてきた。
とにかく生命力が強い。
「先の方をちぎると下から脇芽が出てきて増えます」とネットで見たので、なるほどこうかな、
と想像していたら、実際にはこうだった。
どう考えてもおかしい。
こんな感じで、毎日ちぎって使っても、どんどん増えていくのだ。うまい水はミントがなくても十分にうまいが、もしうまい水にはまったあかつきには、ぜひミントで「超うまい水」を体験してみてほしい。
冬の間はずっとルイボスティーを飲んでいたのだが、あたたかくなってきてお茶がつらくなり、かといって冷やすのも手間……ということで見つけた最適解がうまい水である。冬がくるまで、たっぷり楽しんでおきたい。
▽デイリーポータルZトップへ | ||
▲デイリーポータルZトップへ | バックナンバーいちらんへ |