メロンパンになるカメ
亀とメロンパンはめっさ相性がいい。メロンパンのまるっとしてぼこぼことした格子が刻まれたフォルムはかなり甲羅だし、「カメ」と「メロンパン」はメを媒介としてシームレスにつながり、「カメロンパン」という抜けの気持ちよさがたまらないビューティフル・ネームとなる。
ここで、パンケーキガメ
しかし、カメ界はこのようにまるっとしたメロンパンとベストマッチなカメばかりではない。ぺちゃんと平坦な甲羅でメロンパンには成りえないカメも存在している。
その代表格がパンケーキのように平べったいカメ、その名も「パンケーキリクガメ」である。
見ての通り、他のリクガメやハコガメなど、メロンパンになっていそうなカメとくらべてかなり平べったい。ペターンとしている。
パンケーキリクガメはケニアやタンザニア、ザンビアなど、東アフリカの一部に分布しているカメで、日本では水族館や動物園で見ることができる。
このカメをパンケーキたらしめているのは平べったさだけではない。甲羅は柔らかく、息を吸い込こんで膨らませることができる。危険を感じると素早く岩の隙間にもぐりこみ、甲羅を膨らませてぴったりフィットさせる。こうなるともう引っ張り出せない。
普通のカメは固い甲羅を鎧のようにして身を守るが、パンケーキリクガメはやわこい甲羅を利用して天然の要害を鎧とするのだ。
パンケーキ宣言
前述したように、カメはしばしばメロンパン化されている。検索するとパンケーキとなっているカメも散見されるが、いわゆる一般的なカメがモチーフになっているものばかりだった。
平べったいだけでなく、やわらかい。というかもはやパンケーキと名乗っている。これだけパンケーキに寄せていってるこのかわいいカメをちゃんとパンケーキにしてやるべきではないのか。
キャシャーンがやらねば誰がやる?(※)私だ。
※「キャシャーンがやらねば誰がやる」は、1973年から1974年に放送されたテレビアニメ『新造人間キャシャーン』の前口上です。リズミカルな七・七調で、命を捨てて生まれ変わった不死身の体で鉄の悪魔を叩いて砕くキャシャーンがやらねば誰がやる、という内容です。(生成AIによる解説)
パンケーキアーティスト登場
パンケーキリクガメをパンケーキにするのに、具体的にどうするのかというと、まずはあの甲羅をパンケーキで作るということになる。甲羅の模様は基本は亀甲に放射線状のラインが走り、マルハニチロのさけ缶にある日の出マークのような感じになっている(個体差あり)。なかなかに精細な柄である。
ふつうのパンケーキすら作ったことのない私にあんな複雑なパンケーキアートが描画できるのだろうか。いきなり不安にさいなまれたが、なんかいけそうなアイテムが見つかった。
簡単に言うと下絵をフライパンの上に映し出し、それをなぞるだけで複雑なイラストも描画できるという、パンケーキにカメの甲羅を描きたいのですが大丈夫でしょうか、というニーズに見事に応える製品である。
焼けたらこれをひっくり返すだけでキュートでファンシーなパンケーキアートの出来上がりである。
私の描画や調理の技術が未熟すぎるだけでなく、12年使い続けたフライパンでケーキを返えそうとしたら融着したようにこびりついていて、強引に引き剥がすとゴズリゴズリとにぶい摩擦音がしてザラザラのパンケーキになった。あわてて新しいフッ素加工のフライパンを購入した。時間がない、カメを始めよう。
見本のパンダとは比べものにならない煩雑さ。作ってみたはいいものの、こんなのをパンケーキアートにできるのだろうか。