特集 2021年12月27日

炊き込みごはんにして美味しいおせち料理は?

日本のお正月を華やかに演出する「おせち料理」。ですが、品数が多いこともあり、どうしても持て余しがちになってしまうおかずも出てきてしまうもの。

そこで今回は、代表的なおせち料理のなかで、ごはんと一緒に炊き込んで美味しいのは一体どいつなのか!? なるべくみなさまのお役に立てるよう、年が明ける前に検証しておこうと思います。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

前の記事:「キャベツのぬか漬け炒め」は最強のごはんのおともかもしれない


おせち料理を食べきる難しさ

日本のお正月に欠かせない、おせち料理。年に一度、そこでしか食べる機会のないおかずも多く、なんとも新年のめでたさを感じさせてくれますよね。

そのメニューは、いつも忙しく働く主婦の方々、そして「かまどの神様」に休んでもらおうという意味もあり、基本的に保存の効くものが中心。ゆえに、ちびちびとつまみ続け、1月の3日にもなってくると、おのずとあまりものが出現しがち。かつて「おせちもいいけどカレーもね」なんてCMがありましたが、あれ、ものすごく絶妙なキャッチフレーズだと思います。

そこで、今まで当サイトで数々の「珍炊き込みごはん」を炊いてきた僕こと「炊き込むパリッコ」がひと肌脱ぎましょう! 今回はずばり、おせち料理を炊き込みます!

が、おせちのなかでもたとえば「有頭海老」とか「牛タンのデミグラスソース煮込み」みたいなメイン系は、たいてい真っ先に食べつくされてしまうもの。また、定番の「筑前煮」を炊き込んだところで、それは単に美味しい炊き込みごはん。

そこで今回は、あくまで個人的な意見ではありますが、おせちのなかでもどちらかというとあまりがち、かつ、ごはんと一緒に炊き込んでみたらどうなるんだろう? と興味を引かれるものを中心に、5品の「おせち料理炊き込みごはん」を作っていこうと思います!

かずのこの炊き込みごはん

まずはかずのこ。いきなり話が違うというか、かずのこは僕の大好物で、あんまりあまるってことはないのですが、ごはんと炊くとどうなるかがすごく気になったので。

作りかたは、ひとり用炊飯器に半合の米を入れていつもどおりに水加減し、そこに各おせち料理をのせて炊くだけ。

僕は塩抜きしたかずのこに、かつお節と醤油をちょろっとたらして食べるのが好きなので、今回は若干浅めに塩抜きをしたかずのこ(塩気が残ってるほうが炊き込みごはんの具材にいいかと思い)、かつお節、醤油少々を足して炊いてみます。

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準備完了

スイッチを入れてしばらくまっていると、炊飯器からものすご〜く食欲をそそる香りが!

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たまらね〜!

かつお節と醤油が入ってるんだからそりゃ当たり前ですが、加えてかすかにそれだけではない、明らかにかずのこからも「おれもいるぞ」という声が聞こえてきそうな方向性。

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炊けました

なるほど、こういう見た目になるのね。

考えてみれば、かずのこはニシンの卵。以前、子持ちニシンを焼き魚で食べたことがありますが、いわゆる子持ちシシャモのでっかい版といいますか、その卵はホクホクと柔らかく、とても美味しかったことを覚えています。とすると、この炊き込みごはんもそういう感じなのかな?

卵をざくざくっと崩しながら全体をかき混ぜ、お茶碗によそえば、

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「かずのこの炊き込みごはん」

それでは食べてみましょう。

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ぱくっ! もぐもぐ……

あ、へ〜! なるほど。そうくるか!

まず、子持ちニシンを焼いたときとはまるで違いますね。ショキショキ、プチプチとした食感は、ほとんどもとのかずのこそのまま。かつおと醤油の味がごはん全体に行き渡り、ものすごく上品で優しいんだけど、かずのこの身が当たるとちょっと強めの塩気と食感が加わって楽しい。うまいですこれは。

もしもかずのこがあまってしまったら、炊き込みごはん。あり!

田作りの炊き込みごはん

「ごまめ」とも呼ばれる、カタクチイワシを使った料理。これ、関東関西両方の「祝い肴三種」のひとつに食いこむほどの定番でありながら、あんまり興味がないって人も多いんじゃないでしょうか。

実際、かつては僕もそうでした。が、数年前、とある料理に詳しい友達から簡単に手作りする方法を聞き、実際に作ってみたところ、できたての田作りのま〜美味しいこと! それ以来、お正月には必ず自分で作る料理のひとつになりました。

レシピは簡単で、ざっくり言うと、市販の「食べる煮干」とくるみを、酒、みりん、砂糖、醤油、1:1:1:1/2で煮からめるだけ。

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はっきり言って、5分でできます
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それを米と炊く
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炊きあがり

フタを開けるとふわぁ〜っと、ほっと安心する和風の香りが立ちのぼってきます。

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「田作りの炊き込みごはん」

こんなもん、味も間違いないにきまってるんですが、まぁ食べてみましょうよ。

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いただきます

するとですね、これまたうまい! うまいことは間違いなかったんだけど、想像とちょっと違うところもありました。

もともとはぽりぽりと気軽に食べることのできた煮干なんですが、一度炊いたことにより、身が締まったというのかな? けっこう手強い食感になってます。よ〜く噛まないと飲みこめない。が、そこが良さでもあって、イワシや醤油やくるみの香り、多彩な食感、そして噛めば噛むほどに出てくる甘みなどをじっくりと味わうことができる。

「あぁ、日本人で良かった」なんて思わずつぶやいちゃいそうな、いぶし銀の味わいですね。

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昆布巻きとかまぼことなるとの炊き込みごはん

昆布巻きっていうのも定番でありながら、派手な料理たちの影に隠れがちな一品ですよね。今回はニシンの昆布巻き。さすがにそれだけでは見た目が地味すぎるだろうと(昆布巻きよごめん)、刻んだ紅白かまぼことなるとを彩りに加えてみました。

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いざ
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炊き込む!

昆布巻きを崩しながら全体を混ぜお茶碗によそえば完成。

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「昆布巻きとかまぼことなるとの炊き込みごはん」

今回も間違いようのない組み合わせだよな〜、なんて思いつつ、食べてみると、

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はふっ

これが意外や意外、なんだかちょっと物足りない。

いや、ちゃんと美味しいは美味しいんですよ。だって具材のメインが昆布だし。ただ、昆布巻きってじっくり味わってみると、想像の何倍も甘いんですよね。つまり、炊き込みごはんとしては若干塩気が足りない。炊くときにちょっと醤油を足してやればパーフェクトだったかもしれないな。

あとびっくりしたのが、なるとの変化。かまぼこはほとんど変化がなかったんですが、なるとは水を吸って、ちょっとはんぺんっぽいようなふわふわの食感になってます。それがうまい。

思えばなるとって、ぺらっと1枚ラーメンの上にのってるのくらいしかたべたことなかったもんな。あくまで僕はですが。おでんにたまに入ってたりしますっけ? あれも食べてみるとこういう感じなのかな〜。もっといろんな料理に使ってみると、かなり可能性のある食材なのかもしれないな。なると。

紅白なますの炊き込みごはん

細切りの大根とにんじんを甘酸っぱくあえた料理。

こいつも渋いやつですよね〜。「ぼく(わたし)、なますだ〜いすき!」なんていう子供は聞いたことない(失礼)。そのくらい、メイン料理たちのサポートに徹している。

今回は市販の「ゆずなます」というゆず入りのものを買ってきてみたのですが、まずそのまま食べてみると、「こんなにもだったか!」ってくらい甘酸っぱい。こりゃ〜仕上がりが予想できんぞ。

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だからこそ
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炊いてみる

炊いている最中から酸い〜においが部屋中に充満しだし、なかなかパンチのある調理工程だったんですが、無事完成。

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「紅白なますの炊き込みごはん」

食べてみると、なんとこれが、うまい! 大根とにんじんのじんわりと安心感のある旨味と彩りの加わった、まぁ言ってみれば「酢飯」です。

僕、家で手巻き寿司なんかをやるときに、作った酢飯をそのままちょっとつまみ食いするの、実はけっこう好きなんですよね。あれの豪華版というか。

ただ、これを黙々とそのまま食べ続けるのも味気ない。そこで、1月3日、おせちをおおかた食べつくし、最後に残ったなますを炊き込みごはんにして、お刺身かなんかを買ってきてのせてちらし寿司にすると、ちょっと気分が変わって、いい三ヶ日の締めになるんじゃないかな。

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何しろ見た目がいい!

だてまきと黒豆と栗きんとんの炊き込みごはん

さて、最後はいちばん不安なゾーンです。そして、酒飲みゆえふだん甘いものをほとんど食べない僕にとって、おせちにおける「持て余し三銃士」とも言えるやつら。そう、だてまき、黒豆、栗きんとん!

今回、あらためてこいつらと正面から向き合ってみたんですが、いや、甘いね〜! もう、それぞれ想像の5倍甘い! おせちという限られた空間のなかに、なぜこんなにいっぱい甘いものがあるのか? もちろん日持ちの問題もあるんでしょうが、それにしても甘いよ君ら。

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よし、まとめて炊き込んだる!

ただし、これだけ甘いと、仕上がりがもはやスイーツになってしまうに違いないので、わりとしっかりめに「白だし」も加えて炊いてみました。

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炊けた! だてまきが開いちゃった!
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「だてまきと黒豆と栗きんとんの炊き込みごはん」
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玉子、豆、栗、構成的にはいい気がする

いざ、おそるおそるほおばってみます。もぐもぐもぐ……うん、甘〜い!!!

これはもう、甘い。白だしちょろ〜ではとても太刀打ちできるレベルじゃありませんでした。

ただいわゆる、僕があまり意味のわかっていない「おはぎ」と同ジャンル。別にまずいってわけじゃなく、ああいうものが好きな方はきっと好きに違いない味。

ただ僕は、今回のなかでは唯一、食べきるのに苦労しました、正直……。


以上、結論としては「たいていのおせち料理は炊き込んでもうまい」でした。

「えっ? 最後の甘い甘いって文句言ってたやつは?」と思われるかもしれませんが、あれも本当、好きな人は絶対に好きなので。むしろ気になった方にはいちばん試してほしいくらい。

個人的には、単体で1位だったのはかずのこかな〜。けど、なますに感じる可能性も捨てがたかった。

というわけで、今年も1年間、おつきあいくださりまことにありがとうございました。お体ご自愛のうえ、良いお年をお迎えください!

そして、おせちがあまってしまった際には今回の記事、ご参考にしてみてくださいね。

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