オレンジ色の聖地
猟師は山に入る時、目立つように鮮やかなオレンジ色の服を着る。しかし、彩度を落とせば緑と調和するのだと今回西興部村を訪れて初めて気がついた。オレンジ色にもいろいろあるのだ。オレンジ色がいっぱいでオレンジ色好きの私としては最高の楽しかった。眼福と言えばいいのだろうか。だってオレンジ色がこんなに溢れている街、日本にはないと思う。だからこそ聖地なのだ。
北海道に西興部(にしおこっぺ)という村がある。人口は1000人弱で、総面積の89%を森林が占めている。道東に位置し、開拓が始まったのは明治37年。その後、本州からの入植があり、やがて集落が形成され、大正時代になると林業が盛んになった。
そんな西興部村はオレンジ色だ。オレンジ色に色彩統一した公共建築物を整備している。オレンジ色の村、そんなのぜひ見たいと思い、西興部村を訪れることにした。
世界には様々な色が存在する。我々は服を選ぶ時、家を建てる時、車を買う時などに、色を選ぶ。行く場所や使うタイミングなどでも必要となる色は異なる。また個人で好きな色も存在するはずだ。
私はオレンジ色が好きで、いつも上記のようなオレンジ色の服を着ている。いつも私の記事を読んでくれている方は、上記の写真を見て違和感を感じたはずだ。それはサングラスだと思う。車を運転する時はサングラスをかけているのだ。
運転する時、私はサングラスをかける。眩しいと安全運転ができないと思い、最近は運転時限定でサングラスをかけるようになった。そのために違和感を感じたかもしれない。お伝えしたいのはオレンジ色の服をいつも着ているということだ。
なぜオレンジ色が好きなのだろう、と考えてみたのだけれど、理由が思い出せない。小さい頃からオレンジ色が好きで、ここ10年くらいはずっとオレンジ色の服を着ている。それくらいオレンジ色が好き、ということだ。
オレンジ色好きの聖地はどこだろう、と考えると「西興部村」ということになる。北海道の道東エリアにある人口1000人弱の村だ。この村では1999年に「美しい村づくり条例」を制定し、その中に「オレンジ色に色彩統一した公共建築物整備」があるのだ。
そんなオレンジ色の村、行きたいに決まっている。オレンジ色好きとしては行かないという選択肢はない。ということで、1999年に制定されたけれど、最近知ったオレンジ色の聖地「西興部村」に急ぎ向かった。
西興部村に到着して街を走るとオレンジ色だった。とてもオレンジ色だった。そもそも西興部村の写真を偶然見かけて、「なんかオレンジ色だな」と思い、調べたらそういう条例があったと知った。そういう経緯でやってきたので、目に付く建物はもちろんオレンジ色なのだ。オレンジ色だから目に付くという考え方もあるけれど。
公共建築物と思われるものは、本当にオレンジ色で統一されていた。ただのオレンジではない。自然との調和を図るために低彩度のオレンジ色が採用されている。「料用標準色見本帳1999年Y版」で言えば、「Y15-65X」となるそうだ。
オレンジ色にテンションが上がりすぎて、カーブミラーがオレンジ色!!! と写真を撮ったけれど、よく考えるとカーブミラーは全国どこでも基本的にはオレンジ色だ。これがオレンジ色の魔力、西興部村のパワー。オレンジが体を支配する、幸せだ。
街並みに同じ色を使うことで統一感が出る。統一することで美しく感じる。全国各地に景観条例はあるけれど、私の感覚では自然系の色が使われることが多く、オレンジ色は聞いたことがない。西興部村は「太陽と森の庭園村」が基本目標なのでオレンジ色なのかもしれない。
流石に全てがオレンジ色ということではない。個人の住宅などは自由だ。ただ支援制度があるようで、建物の屋根、又は外壁をおすすめ色にした場合は、経費の一部を補助してくれる。住宅では外壁で40万程度の補助となっている。
オレンジ色であることで村が明るく感じた。西興部村は森林面積89%からもわかるように、山の中にある村。人口も1000人弱なのでひっそりとした村という印象を受けるはずだ。しかし、それがない。オレンジ色であることで、人々の確かな営みを感じることができる。
西興部村は酪農が盛んだ。道の駅花夢では、グラスフェッドソフトクリームを食べることができる。穀物ではなく、牧草を与えられて育った牛から搾ったミルクで作られたソフトクリームだ。
食べてみるとこれが濃厚で美味しかった。あとオレンジ色以外を久しぶりに見た気がする。もちろん街を歩けばオレンジ色ではない建物もたくさんあるのだけれど、オレンジ色は目立つ。ソフトクリームの白がいつもより白く感じた。
西興部村のキャラクターは牛。これはやはり酪農が盛んだから。さらにその牛がギターを持っていた。エレキギターもまた主力な産業なのだ。「オホーツク楽器工業」という会社があるそうだ。ただこのときはオレンジ色に夢中で、後で「そういえば牛がギター持っていたな」と思い出した。
今までの写真を見るとわかると思うけれど、外壁はオレンジ色なのだけれど、屋根はそうではない。周辺の森と一体感を出すために緑色が採用されている。メインカラーはオレンジ色、サブカラーが緑色なのだ。
メインカラーのオレンジ色ばかりだと圧迫感があるのでサブカラーの緑色が設定されている。オレンジ色と緑色の村が西興部村なのだ。私は緑色も好きなので、西興部村は素晴らしいということだ。
オレンジ色に緑色、もう完全に私なのだ。私の配色と同じなのだ。偶然の一致なのだけれど、この一致はとても嬉しいものだった。私の村だ、と言いたくなる。初めて訪れたけれど。
ちなみにマツタケが自生しているそうだ。そのため松茸ラーメンがお土産として売られていた。さらにちなみに「村長ラーメン」というのもあって、そちらは鹿肉チャーシューと行者ニンニクが乗っている。
オレンジ色と緑、それが緑に囲まれた村にある。オレンジ色は目立つけれど、意外にも調和が取れている、というのが私の感想だ。「太陽と森の庭園村」という基本目標がとても感じ取れるものになっていた。
最後にと思い西興部村の鹿牧場に行ったら、一頭も鹿がいなかった。時期ではなかったのかもしれない。
猟師は山に入る時、目立つように鮮やかなオレンジ色の服を着る。しかし、彩度を落とせば緑と調和するのだと今回西興部村を訪れて初めて気がついた。オレンジ色にもいろいろあるのだ。オレンジ色がいっぱいでオレンジ色好きの私としては最高の楽しかった。眼福と言えばいいのだろうか。だってオレンジ色がこんなに溢れている街、日本にはないと思う。だからこそ聖地なのだ。
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