岡山の代名詞、マスカット
パタパタと「マスカット」「ぶどう」と書かれたのぼりが道路沿いにはためく、岡山でこの時期になるとよく見られる光景だ。
そこには運動会で見たようなテントの下、農家さんの手によってマスカットをはじめとした様々なぶどうが売られていた。
地元スーパーにもマスカットは積み上げられ、さらにはお裾分けでいただいたりとこの時期の岡山ではどの家も大量のマスカットが冷蔵庫のスペースを圧迫する。
マスカット好きの僕としても本当にありがたい限りである。
そんな岡山県民のマスカット好きはとどまることを知らず、マスカットとは関係ないものにさえ”マスカット”と名前を付けがちだ。
以前僕は岡山に桃太郎の名前が付くものが多すぎる問題を桃太郎化(モモタライゼーション)と名付けこちらの記事で紹介したところ多くの反響をいただいた。
だが一方でマスカット化(マスカッタライゼーション)もすごいので紹介したい。
震源地、マスカットスタジアム
マスカットの名を冠するもので岡山県民がまず思い浮かべるのは岡山県倉敷市にある野球場であろう。
1995年(平成7年)に完成し、公募により岡山県の特産のマスカット・オブ・アレキサンドリア(いわゆるマスカットとして一般的にイメージされる品種)からマスカットスタジアムと名付けられた。(なお当時はまだシャインマスカットは登場していない。)
当時小学生だった僕はマスカットスタジアムのオシャレな響きに衝撃を受けた。岡山県民のもう一つのアイデンティティーである「桃太郎」的な名前よりはるかにオシャレだからだ。
マスカットスタジアム周辺のマスカット化
そんなマスカットスタジアム爆誕を皮切りにマスカットスタジアム周辺はマスカット化が進んでいる。
まずはこちら(↓)の看板をご覧いただきたい。
もちろんこの「マスカット店」とは、中東のオマーンの首都マスカットの店ではない。くだものであるはずのマスカットを店名に使っているのだ。
とても不思議な語感だが、岡山県民はマスカットスタジアムの近くの店だとすぐにピンとくる。
こうして、なんとなく「マスカットスタジアムの周辺」を「マスカット」と呼ぶ風潮が形作られた。
マスカットスタジアム周辺ですすむマスカット化
さらに具体例を挙げていくと、
これはマスカットスタジアムから最寄りの中庄駅まで伸びる道路である。
実は名前はマスカット通りだ。
そしてマスカット通りに面した動物病院はマスカット通り動物病院となる。
マスカット通り動物病院の裏手にはマスカットハイツがあり、
さらに周辺にはマスカット歯科もあるし 、
自動車学校の名前は倉敷マスカット自動車学校もある。
そして、少し移動するとマスカットドームという名前のバッティングセンターと、
マスカットゴルフクラブもある。
そして今回マスカットスタジアム周辺を歩き回っていると、
マスカットスタジアムからほど近くにマスカットヒルズという住宅地も見つけた。これは僕も知らなかったので驚いた。
↑この地図の通りマスカットスタジアムの周辺1.5kmほどの範囲にはマスカットと名前の付く施設が密集している。
ここまで来るとマスカットの本来のぶどうの意味は薄れ、なんだか新しい地名のようにも機能している。