特集 2023年11月2日

岡山はマスカッタライゼーション(マスカット化)もすごい

岡山のマスカット栽培発祥の地

ここまで紹介した岡山市(と赤磐市)のマスカットに関連するものを地図にまとめてみた。

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左下のマスカットスタジアム周辺は密集しすぎなので省略。

ご覧の通りほとんど岡山市の北側に集中していることが分かる。

岡山市の北側がマスカットの栽培が盛んな地域でもあるのだが、それらほぼ中心に位置しているのが岡山におけるマスカット栽培の発祥の地だ。

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川の堤防と幹線道路の間に公園のように整備された広場。

岡山のマスカット栽培の発祥の地があるのは栢谷(かいだに)という。

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温室葡萄創始者顕彰碑

写真向かって右手の大きな石碑には「温室葡萄創始者顕彰碑」とある通り、ここ栢谷で温室を使った葡萄栽培が開始された。

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広場の向かって左手側には当時の温室も復元されている。

現在主流のビニールハウスの温室とは異なりガラスを使っていることが分かる。当時ガラスはめちゃくちゃ高価なものだった。

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その横には解説看板がある。
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解説の看板には以下のように書かれていた。

原始温室
硝子室葡萄の産業的栽培は明治十九年にここ栢谷(かいだに)で山内善男氏が硝子室を建築し、欧州種葡萄を植え二十一年マスカット・オブ・アレキサンドリアの初結果を見たのに始まる。同二十三年大森熊太郎氏は内国勧業博覧会に出品し一等有功賞を受賞した。以来幾多人工の研究、努力によって今日の盛況を見るに至った。昭和三十一年四月 天皇・皇后両陛下は温室葡萄産業の現況を親しくご視察された。この盛時を記念すると同時に先覚者の偉業を偲び発祥の地の名声を高揚し益々温室葡萄の興隆を計るため、最初の硝子室を復元し原始温室とした。

この解説看板にある通りここ栢谷でスタートした岡山のマスカット栽培は盛んに行われていたが、マスカットの栽培は難しく岡山県以外ではほとんど行われなかった。

マスカットスタジアム完成から6年後、2001年(平成13年)のデータでは岡山県のマスカット生産量は全国の生産量の93%と、マスカットといえば岡山県になる。

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新旧の温室が並んでいた。

しかしその後、2006年に登録されたシャインマスカットが登場。

シャインマスカットはマスカット・オブ・アレキサンドリアや他のブドウを掛け合わせて、作りやすく、美味しく、食べやすくなり全国で作られるようになる。必ずしもかつての岡山県=マスカットの絶対的な状態からは徐々に変わっていく。

そうした状況が影響したのか岡山県のマスカット化もかつてのマスカットスタジアム完成時ほどの勢いは失いつつある気がする。あるいは岡山のマスカッタライゼーションは来るべき所まで来たのかもしれない。


とはいえマスカットをはじめとしたブドウ栽培が盛んなことには違いなくマスカットを使った特産品はたくさん。岡山空港で買い込んできた。

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左からチューハイ、キャラメルポップコーン、コンフィチュール、マスカット酒。

チューハイは冷蔵庫に入れていたらいつの間にかなくなっていたし、キャラメルポップコーンはイメージ通りの味だが、ボリュームは見た目以上。ジャムとお酒はまだ開けてないけどまあ味はまず間違いないだろう。

参考文献
岡山シティーミュージアムホームページ

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