私たちは餅が焼きたかった
東京の駒沢公園の近くに三角屋根がみっつ並ぶ建物がある。コメダ珈琲店と和喫茶おかげ庵、ふたつの駒沢公園店だ。
1999年に名古屋市に登場し、以来愛知県内で増えたおかげ庵は、現在関東は神奈川の横浜市と大和市そして都内ではこの1軒があるのみだ。
おかげ庵に心奮わされるポイントはさまざまある。
- コメダ的な喫茶スイーツの和寄りメニューがゴリゴリに研ぎ澄まされている(シロノワールの抹茶味もある!)
- きしめんが気軽に食べられる
- 抹茶やほうじ茶などお茶系のドリンクに攻めたものがある
そして、わかりやすい魅力は卓上のヒーターで目の前で餅系メニューが焼けるサービスだろう。
人は肉が焼きたい。家でも店でも焼きたい。だから焼き肉屋へ行く。
同じように、人は餅も焼きたいのだ。家でも焼きたいし、店でも焼きたいのよ。
そこに気づいたのはさすがコメダとしか言えない。
夏、みんな餅を焼いている!
勇んで乗り込んだのは酷暑の8月上旬、この日も晴れて日差しが強い。
店頭にはかき氷のポスターが貼られ惑わされるが、今日は餅を焼きに来た。
ひとりだとあれこれ食べられないため同行を頼んだ友人も、かき氷の写真をじっと見ている。
「古賀さん、かき氷にも団子がのってるみたいだよ」
暗に、餅を焼かずにかき氷が食べたいと言っているな……?
焼かれたアスファルトをふみしめふみしめここまで歩いてやってきた。ひたいににじみ続ける汗をぬぐい、場合によっては普通にかき氷を食べるか……と気を弱くしながら入店する。
と、一気に気弱が吹き飛んだ。お客さんが座る多くのテーブルに、餅を焼くヒーターが乗っているのだ。
みんな、餅を焼きにこの店に来ている!!
もちろん、食事をしに来たらしいグループも、ドリンクだけを楽しむお客さんもいる。でも餅焼き率が思った以上だ。
かき氷を食べながら同時に団子を焼くお客もいる。人間は自由だ。
甘味セットで効率的に餅を焼く
メニューを確認してその理由がわかった。お店の側も思った以上に積極的に気軽に餅を焼けるようにしてくれているのだ。
甘味セットという、ドリンクと甘味がセットになった頼みやすいメニューがあり、そこに団子や餅、大福、五平餅が選べるようになっているのだ(値段は地域によよって変動するようなのだけど、駒沢のお店ではドリンクに+480円で食べやすい量の甘味が付いてくる)。
このシステムを使って、私たちは
- ほうじ茶シェーク
- 抹茶レモネード ※記事冒頭で攻めたお茶メニューがあると書いたが、こういうことですな
- 団子(醤油)
- 五平餅
をオーダーした。
長野や岐阜、愛知の一部で愛される郷土料理の五平餅が甘味メニューにあるのがさすがだ。