鍋に入れて持ち帰る、だと…?
黒いスープに黒はんぺん、仕上げにだし粉がかけられた静岡グルメ『静岡おでん』。静岡県民のわたしには馴染みのあるローカルフードだ。
デイリーポータルZでもたびたび取り上げられているので、静岡おでん本体についてはこちらの記事を見てほしい。
静岡おでん本体と述べたのには理由がある。
今回の企画にも静岡おでんが登場するのだが、注目したいのは静岡おでんそのものではなく“運び方”なのだ。
聞くところによると、静岡おでんはおでん屋や駄菓子屋で買ってテイクアウトする際、自宅から持参した鍋に入れて持ち帰る文化があるらしい。
静岡おでんはこれまで何度も食べてきたが、この持ち帰り文化は未経験。
鍋で持ち帰るなんて…こぼさず無事家にたどり着けるのか?鍋のおかげで家でも熱々のおでんが食べられるのか?そもそも熱い鍋をどう持ち帰るのか?などなど、疑問はわくばかり。
静岡県民として、寒い今の時期に静岡おでん持ち運び文化を体験しておきたい。
鍋を運ぶため、試行錯誤の準備
考えてみたら、熱い鍋を長距離運んだ経験がない。
自宅で鍋をした際コンロからテーブルへ移すくらいで、鍋を外出させる機会なんてそうそうない。
熱い鍋を安全に運ぶには、どんな準備が必要だろう。
まずは肝心の鍋選びからスタート。
予定では10~15本ほどおでんを購入するつもりだ。それに熱々のつゆが加わったら、どう考えても片手鍋ではアウトな気がする。
プルプル震えながら帰路につく未来が目に見えたので、急遽実家から両手鍋を拝借。
この両手鍋なら、おでんとつゆである程度重さが出ても安心して運べそうだ。勢いあまって出発する前に気づいてよかった。
しかしこの鍋が熱々になった場合、ずっと手で持ち上げながら運ぶのはだいぶしんどそう。力尽きてうっかり膝に置いたら…なんて、ありがちな拷問のパターンである。
そこで買い物かごにバスタオルを敷き詰め、鍋を置いて運ぶ作戦を考えた。
準備は万端。早速おでん屋へ向かおう。
鍋を持ってNEOPASA浜松へ
静岡県内ではさまざまな場所で静岡おでんが売られているが、わたしの住む浜松市ではここがベストな静岡おでん屋だと考えた。
どこがおでん屋だ!めちゃくちゃサービスエリアじゃないか!という声が聞こえてきそうだ。そうです、ここは新東名高速道路のサービスエリア、NEOPASA浜松です。
土産もの店やフードコートに次いで音楽に触れられるコーナーまであり、地元民でも胸が高鳴ってしまう。が、本命の目的地はこちら!
写真は人がいない隙を見て撮ったが、静岡おでんを取り囲むかたちでお客さんがひっきりなしに来ていた。施設内の少し奥まったところに店舗があるにもかかわらず驚くほどの来客数で、人気の高さがうかがえる。
わたしが天神屋を選んだ理由は2つある。1つは浜松市内にあること。もう1つは、鍋を持参して購入可能なことがオフィシャルに宣言されていることだ。
天神屋ウェブサイトの静岡おでんのページを見ると、『自宅から鍋を持ってきて、そのままおでんをたくさん入れて購入することも!』としっかり掲載されている。店側がそう言ってくれると、自信をもって鍋持参で入店できる。
とはいえ、わたし以外のお客さんで鍋を抱えている人はどこを見渡してもいない。サービスエリアという場所柄一見客が多いのは当然だが、徐々に不安になってきた。
鍋を抱えておどおどしていたら、ナイスタイミングで店員さんが近くに来た。静岡おでんを持参した鍋に入れて購入していいか聞くと「どうぞどうぞ自由に入れて!」と答えてくれた上、「具材表に数を記入しておけば会計時鍋をかき回されなくていいよ」と教えてくれた。
店員さんに認めてもらい、ひと安心。
鍋持参で静岡おでんを購入する際は「自分はこの鍋に入れて静岡おでんを買って帰るんだ」という覚悟が必要だと学んだ。
それにしても種類が多過ぎる。
先ほどの具材表には24種類、ウェブサイトには25種類と記載があったが、店内のPOPは29種類だった。だいぶ増えてる!
持てないほどではない。持てないほどではないが、かなりずっしりくる。
具材をしっかりつゆに浸して持ち帰りたいので本当はもっとつゆを入れたかったが、グッと堪えて少なめに抑えておいてよかった。欲張ると確実に後々自分に返ってきていた。
ここから30分、車にて鍋を運搬する。どうか家まで安全に帰れますように…!

