おでん粉
静岡でおでん屋さんに行くとおでん粉という粉が置かれている。
いろいろすっとばして書いたが、まず静岡ではおでんがさかんなのである。
僕は今年から静岡で仕事をしているのだけれど、春の歓迎会はおでん屋さんだった。静岡ではおでんをさかなに酒を飲むのが日常なのだ。
歓迎会がおでん屋さんだったことには驚いたのだけれど、それから約一年。こちらでできた友だちと飲みに行くにもやはりおでん屋さんだった。
静岡の人は夏でもおでんを食べながらビールを飲んでいるのだ。こっちに来るまでは静岡といえばお茶のイメージだったが、いまではすっかりおでんである。あとわさびとイチゴ、深海魚。
そんな静岡おでんに欠かせないのがおでん粉なのである。
しずおかの人はおでんを食べるときにおでん粉をふりかけて食べる。これによりぐっと風味が増すのだ。
僕は隣県の愛知出身なのだが、愛知ではだれも粉なんてかけていなかったように思う。
最初おでん粉を見た時は(最後に粉をかけるなんて)と思ったが、思い返せば愛知だって、きしめんにかつおぶしをたっぷりかけているので人のこと言えないのかもしれない。
おでん粉はおでん屋以外にも、スーパーやお土産物屋さんなんかで売られている。
最初は家でおでんやることなんてないだろうなと思い手を伸ばさずにいたのだけれど、もしかして他にも使い道があるんじゃないかと試しに買ってみたのが半年くらい前のこと。
正直言ってすでにおでん粉2パック目である。使えるのだ、おでん粉。
なんにでもおでん粉
たとえば冷ややっこにかけると一瞬で料亭の味になる。
先に言っておくがここでいう「料亭の味」というのは僕の中での、ということである。料亭で冷ややっこ食べたことないから知らない。
カレーにかけると魚介風味のカレーに早変わりである。
他にもあったかごはんにおでん粉(いいね!)、きゅうりにマヨネーズにおでん粉(そんなの無限に食べられるね!)、納豆におでん粉(家族!)、とにかく何にでもおでん粉をかけるだけで風味がぐっと豊かになるのである。
塩ラーメンにおでん粉
そんな愛すべきおでん粉に出会って半年、僕の発見した現時点におけるおでん粉の最高の活用法を紹介したい。
それは塩ラーメンに入れる、である。
もちろんラーメンでも味噌ラーメンでもおでん粉は合うんだけれども、中でも塩ラーメンに入れたときのマッチ具合のパーフェクションと言ったら他に類を見ない。わたしがこの人と出会ったのはこのためだったのね、と神様に感謝したくなる。
おでん粉を入れた瞬間、部屋がにぼしラーメンの有名店に変わる。
おでん粉を入れた塩ラーメンはスープの温かさでおでん粉が本領を発揮し、適度な生臭さを放つようになる。これが東京とかでみんなわざわざ並んで食べてる魚介系の、とくに煮干し強い系のラーメンにそっくりなのだ。
インスタントラーメンに入れても同じように風味を激変してくれる。
僕が一人で騒いでいても説得力がない気がするので、ちょうど近くにいた友人にも食べてもらった。
「めちゃくちゃ美味い!」
彼はその一言だけを残してぜんぶ食べた。途中で一度むせていたのはおでん粉がのどに張り付いたためだろう。わかる。やってみる人はそこだけ注意してください。おでん粉、わりとのどに張り付きます。
塩ラーメンにおでん粉を入れるとうまい
「静岡のおでん粉」みたいな、ちょっとした食文化の地域性にふれると嬉しくなってしまう。僕が年中おでんを食べるようになるのにはもう少し時間がかかるかもしれないが、おでん粉はおでん以外にかけても美味しいので、まずはおでん粉から静岡になじんでいきたい。
わが家のおでん粉はもうすぐ3袋目に突入します。


