旅先の野菜のおとも、もろみ味噌
2025年の外泊日数を数えたら、仕事と個人的な旅行を合わせて115泊だった。家賃を払うのがバカバカしくなるというほどではないけれど、我ながら多くて驚いた。どうりで、夏の間などはむしろ自宅にいるときの方が非日常を感じる気さえしていたわけだ。あらためて数字にしてみるとさもありなんという感じである。
旅先での楽しみであり、懸念でもあるのが食事である。できるだけ美味しくて、健康的で、できれば地元色のあるものが食べたい。それからとにかく野菜を食べることを意識している。カット野菜などではだめだ(食べることもあるけど)。はらぺこあおむしになった気分で丸のままの野菜をガジガジと齧るのが好きである。
ドレッシングやマヨネーズをつけて食べてもいいが、現時点でたどりついている最適解の調味料が、もろみ味噌なのである。
もろみ味噌を推しておきながら、もろみ味噌がいったい何なのかをちゃんと調べたのはつい今しがたである。
もろみ味噌が何なのかを知らないままに私が腹に納めたもろみ味噌は、優に10パックを下るまい。
調べたところによると、もろみ味噌とは大麦や大豆や米で作った麹を塩水で発酵・熟成させた調味料のことだそうである。なんとなくそんな気はしていた。
特徴として、材料の豆や麦がそのままの形で残っている。かつては醤油を絞った後の固形物を使って作られていたようだが、現代では最初からもろみ味噌として仕込まれることがほとんどらしい。
おわかりいただけただろうか。もろみ味噌は野菜がたくさん食べられるうえに素材もほぼ味噌と同じなので健康的、しかも地元色まで味わえる一石二鳥の調味料なのだ。私は毎日もろみ味噌を食べてもちっとも飽きないから、一石三鳥と言ってもいいかもしれない。
ひょっとしたら、国際線の手荷物に入れて持ち込むことだってできるかもしれない。もしそうなら、これは誰がどう見ても液体でしかない醤油と比べても大きなアドバンテージだ。
ただ、これは実際に確かめたわけではないから、本当に国際線に持ち込めるか挑戦する人は最悪廃棄を命じられる覚悟で臨んでほしい。そんなことをわざわざ言わなくてもいいよと思うかもしれないが、もろみ味噌を国際線に持ち込めると信じ込んで悲しい思いをする人が出ると困るから一応言っておいた。
デイリーポータルZは気楽なメディアに見えて、無責任な言動には意外と厳しいのである。
あらためて定番食材と味わってみて気がつく、もろみ味噌の力
さて、そんな旅のお供に最適なもろみ味噌だが、定番の野菜以外のものと合わせても味変として使えるのではないかということに最近になって思い至った。
いろいろ試してみる前に、まずはあらためて定番の食材と一緒に味わってみよう。
当たり前だがどれも美味しい。
こうして改めて味わってみると、三つの食材のそれぞれ違った特徴がもろみ味噌とマッチしているということが分かった。きゅうりは青臭さ、水っぽさが、トマトは酸味が、豆腐はもったりとした感じが、もろみ味噌によって引き出されている気がするのだ。
これはすごい。もろみ味噌の汎用性の高さへの確信が強まったところで、少しずつ意外なパートナー達と合わせていってみよう。
バナナに合う
少しずつ、と言いつつ、真っ先にバナナが出てきて驚かせてしまったかもしれない。
もともと、もろみ味噌はスティック状にした野菜をディップして食されることが多い。では、バナナではどうだろう?じつのところ、この飛躍した思い付きを確かめたくてはじめたのがこの企画である。
バナナの甘みともろみ味噌の塩辛さがうまく合っている。縁もゆかりもない者同士、喧嘩するのでは?という心配もあったけれど、案外うまくやっているようだ。
そもそもバナナは美味いが、一度に何本も食べると飽きてくるのが気になっていた。2本目以降の味変にもろみ味噌は最適かもしれない。
醤油の味の尖りに気がつく
バナナともろみ味噌が合うのでは?という疑問はあっさり解消された。
個人的にはこれだけでもかなりオルタナティブな発見だと思うのだが、せっかくなのでもろみ味噌のポテンシャルをさらに引き出すべく、ここからはいろいろな食べ物との食べ合わせを実験していこうと思う。
寿司は醤油で食べるのが定石。もろみ味噌は醤油の兄弟みたいなものだから、あんまり変わらないかもしれない。そう思っていたのだが、意外にも醤油ともろみ味噌の微妙な味わいの違いを実感することになった。
もろみ味噌は醤油に比べて味が優しいらしく、魚の味が強く感じられたのである。醤油という我々にとって絶対的な存在を相対化できる調味料、それがもろみ味噌。
どうやら、脂っこい魚との相性がとくに良いようだった。魚の脂のもつ甘味をふんわりと引き出してくれるからだろうか?
逆にネタの生臭さを隠蔽するのは苦手と見え、イカは醤油で食べた時と比べて臭みが目立っているように感じた。


