デジタルリマスター 2022年2月26日

ウツボはうまい(デジタルリマスター)

とうとう釣れてしまったか。

デイリーポータルZの読者にはなじみの薄い話かもしれないが、海釣りの世界で「鱗のない三大外道」といえば、サメ、エイ、ウツボというのが常識である。

なじみが薄そうな話なので、とりあえずウソからはじめてみた。

サメとエイは今までに何匹も釣って食べてきたのだが、このたびはじめてウツボを釣ったので、食べてみたいと思います。

2007年9月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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ウツボはうまいらしい

ウツボを釣ったのは千葉県の富浦湾という穏やかな海。私が連載させていただいている「@niftyつり」の取材でいったので、なんでウツボが釣れたのかは来週くらいに記事が掲載されるはず。もちろん狙って釣った訳ではない。

ウツボの針をはずそうと「ミミズを触れない釣りドル(釣りアイドルの略)」みたいにキャーキャーいいながら、とり合えず写真をとってリリースしようか迷っていたら、一緒に釣りをしていたKさんというワイルドなナイスガイが、「いいなーウツボ。これどうやって食べてもおいしいんだよねー」といいながら、包丁を二刀流に持ってウツボの血抜きをしてくれた。持って帰れと。

※編集部注:「@nifty」つりは終了しております

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ウツボは噛まれると大変危険なので、素人は真似をしないようにしましょう。

Kさんは以前に海苔摘みを教えてくれた海遊びのプロで、私以上に食に対する守備範囲が広い人である。彼は別の人が釣ったウツボも持ち帰るくらいにウツボが好きなのだそうだ。

そのKさんがいうには、ウツボは「脂の乗ったフグ」みたいな味がするらしい。なんだその「イクラサイズのキャビア」みたいな、いや中学生が妄想する「顔は○○ちゃんで、体は△△さん」みたいな、実在しない最上級のコラージュは。ウツボは夢の味なのか。

そういえば何かの本でウツボはうまいとか、地方によってはごちそうだとか、コラーゲンたっぷりとか、母乳がよく出るようになるとか書いてあった気もするので、せっかくなので食べてみることにした。

「旬は冬」っていうのも書いてあった気がするがまあいいか。

トラ柄の皮の下にはうまそうな白身

ウツボみたいなニョロニョロした魚の下処理は、タコのように塩で揉めばどうにかなると思っているので、そのようにする。

だがウツボにはそれほどの滑りはなく、若干拍子抜け。タイなどの魚のうろこをとるよりも、よっぽど楽な下処理だ。

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触ってみると予想以上に張りと弾力がある。揉みながらどうやって料理しようか考えるのが楽しい。

塩を洗い流して、三枚に卸す。長さがあるので普通の魚のようにはいかないかなと思ったが、生きたウナギに比べれば全然余裕。皮はちょっと硬いけれど、普通の魚よりも捌きやすいくらい。

開いてみるとその身はうっすらピンクで美しく、どう料理してもおいしそうなきめ細かい質感だ。懸念された磯の臭みも一切なし。

身だけを見れば上品な白身、しかし裏を返せばド派手なトラ柄。神戸在住の阪神ファンOLか。

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最初は食欲をそそらない外見だなと思っていたが、捌いてみると上質の肉。これをきっかけに、トラ柄に対してポジティブな印象を持つようになったのだった。

 

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ウツボの刺身

捌いてみてわかったのだが、ウツボは尻尾の方は小骨が多いようなので、まず三等分してしまい、頭側を刺身、真ん中を焼き物、尻尾側を揚げものにすることにし た。

「これぞウツボ三権分立」という単語が頭をよぎったが、意味はよくわからなかった。

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皮がゴムボート並に硬いのだが、ここまで硬いとはぎやすい。

皮をはいで骨を取り除き、薄切りにしたらウツボのお刺身の完成。

いきなり刺身という一番危険な食べ方だが、これだけ出されたら、これがなんの魚かはまずわからないだろう。

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プルンプルンしているのがわかるかな。

水深20メートルの浅場で釣ったウツボだが、その身は深海系高級魚っぽい質 感。水っぽさがまったくない、保水力の強い筋肉。

わさび醤油で食べてみると、捌くときに包丁から伝わっていた筋肉質の弾力が口の中で気持ちよく、そして旨みが濃 い。

寿司にするなら、かなり薄くしないとシャリと合わないであろう弾力と味の濃さ。脂が乗っているというよりは、コ ラーゲンをたっぷり含んでいるという感じだが(本当にコラーゲンなのかは知らないが)、「脂の乗ったフグ」という表現に、食べてみてなるほどと思った。

ウツボの塩焼き

生でおいしいウツボを、今度は皮ごと塩焼きにしてみることにした。

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ウツボ料理 は夢のオオウナギ料理のリハーサルに最適。上の的(マト)っぽいのはマトウダイという魚。

塩だけで味付けされたウツボは、スケール感の狂ったウナギのかば焼きのよう。 鬼のパンツみたいだったウツボの皮も、焼くと焦げ目がついて食欲をそそってきやがる。

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皮の厚みが魚類のそれではない。

生でうまかったウツボだが、焼いてもやっぱりうまかった。特に皮の下の脂肪、略して皮下脂肪がトロトロでたまらない。旬の冬なら、もっとこの脂肪が厚いのかな。

刺身にするとき、皮をはぐのではなくて、カツオみたいに皮を炙ってタタキにすればよかったと激しく後悔。とりあえずはいだ皮は捨てないでとっておこう。

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このフルフルな皮下脂肪がうまいのだ。

身の全体にもコラーゲン的なプルプル要素がふんだん。ウツボ、焼き魚にしてかなり上級の魚だ。味噌漬けや照り焼きにしてもうまそうだ。

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ウツボのムニエル

続けて塩焼きの反対側の身でムニエルをつくってみる。和風もいいけど洋風にたっぷりのオリーブオイルで焼いて、旬を外したウツボの脂を補ってやろうという魂胆である。

「ムニエルうつぼ」って、なにかの芸名っぽくていいよね。

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ムニエルってこれであっている?ソテーとなにが違うんだっけな。

ニンニクの焦げる香りと、ウツボの皮が焼かれる香り。香りの組み合わせとしては魔女が作った肉食系女子用フェロモン香水みたいだ。私は好きな匂いである。

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なんとなく身を上にしてみました。

ウツボ料理、三連勝。洋風にしてもうまい。

たっぷりの油で焼かれた皮の部分がたまらなく香ばしく、また身もしっとりとして高級感のある仕上がりになっている。ウツボが「高い魚」の味なのだ。

最後に醤油をちょっとたらしたら完璧。洋風じゃなくなるけど。

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この皮がう まい。フライパンに残った油をパンですくって食べよう。

 

ウツボのから揚げ

最後に残った尻尾側の身をぶつ切りにして、ニンニク、ショウガ、醤油、酒につけて一晩寝かせる(もうお腹一杯になったので)。

ついでに刺身を作る時にうっかりはいでしまった皮も入れておこう。

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揉みこむときに指先に小骨がチクチクと当たるが気にしない。

小麦粉と片栗粉をまぶして油で二度揚げをしたら、ウツボのから揚げの完成。こ れは間違いないだろうという一品である。

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これがうまくなかったら、明日からなにを信じていけばいいのだろうというくらいの自信作。

食べてみれば当然すぎるウツボ料理四連勝。やっぱりプルプルとした皮の部分がうますぎる。皮だけのから揚げが最高。

二度揚げにしてもかたくなに存在を主張する小骨が多少あるが、種のあるブドウを食べるときのように、骨があるということを前提で食べる分には問題なし。

このから揚げのうまさに匹敵する食材といえば、…鶏かな。そう考えると普通か。いやでも本当にうまいのである。


ウツボはうまい

ウツボはうまい。「見た目の割には」とか、「予想よりは」というレベルではなく、プルプルの皮、トロトロの脂、プリプリの身が、一つの食材としての絶対値でしっかりとうまい。

この日はウツボ以外にもいくつか魚を釣ったのだが、はっきりいってウツボが別格のうまさだった。リリースしなくて本当によかった。

普通、ウツボは狙って釣るような魚ではないのだが、私にとっては狙ってでも釣りたい魚に格上げされた。でも自分で針を外そうとすると指を噛まれそうなので、できればKさんと一緒の時だけ釣れてほしい。

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残った中骨 を塩麹漬にして焼いたら、「T(筆記体)」になった。

 

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